海外派遣スタッフ世界の現場から

酸素もレントゲンもない救急室で「エコーの神様」と呼ばれる

氏川 智皓

ポジション
内科医
活動地
南スーダン
活動期間
2018年8月~2019年2月

MSF経験者の同僚に勧められて活動に参加。勤務していた総合病院を退職して今回初めてのミッションへ。職場には海外経験のあるスタッフが多かったため、決断を好意的に受け入れてもらえた。

柵の竹をギプス代わりに

ムンドゥリの病院 入院病棟での回診 © MSF

ムンドゥリの病院 入院病棟での回診 © MSF

南スーダンの西エクアトリア州で、ムンドゥリという町を拠点に、医療が受けられない地域の人のためにアウトリーチ活動と救急(ER)をやっていました。自分は主にERを担当しましたが、日本と状況は全く違って、呼吸器も心電図も、酸素も、レントゲンもない。自分が着任してからすべて準備する形で、あまりに何もないのでビックリしました。

骨折した患者さんがいて、固定するために外の柵に使っていた竹を取ってきてギプス代わりに使っていたほど。物はないけれど、無ければ無いなりに何とかする。驚きもありましたが、たくましくも感じました。 

赤ちゃんの名前は「ともひろ」くん

ムンドゥリの病院で診察した「ともひろ」くん © MSF

ムンドゥリの病院で診察した「ともひろ」くん © MSF

現地では自宅分娩が主流です。生まれた赤ちゃんのおへそに、木を燃やして灰にした炭を塗るのが習慣のようで、生後2日の赤ちゃんが、おへそが感染して発熱してしまい病院にやってきました。お母さんはまだ15歳。無事に元気になって、1ヵ月後にまた顔を見せに来てくれました。赤ちゃんには僕の名前をつけてくれて、「ともひろ」くんでした。うれしかったです。

マラリアは南スーダンで初めて診ました。雨期だったので重症マラリアの子どもが多く、MSFのガイドラインに沿って、あとは経験豊富な現地スタッフにも助けられて対応しました。現地スタッフは、全然違う症状の患者さんを「この人もマラリア、あの人もマラリア」と言っていて、本当か?と思いましたが、テストするとみんな陽性。症状は実にさまざまだと分かりました。 

エコーの神様

現地スタッフにエコーのトレーニング © MSF

現地スタッフにエコーのトレーニング © MSF

設備が整わないなか、現地にあったのがエコー。自分は日本では家庭医をしているので、地域医療でエコーも普段から使っていたし、妊婦検診もやっていたので、使い方に慣れていました。妊婦検診では、赤ちゃんの顔が見えるので「すごい!」と感動され、おかげで現地スタッフの間では「エコーの神様」と呼ばれていました(笑)。

腹痛の症例が多かったのですが、レントゲンはないので、頼れるのは触診とエコーだけ。 重症例として搬送すべきかどうかの判断も、エコーが役に立ちました。日本の若い医師が普通に使えるくらいの技術があれば、とても便利です。現地のスタッフにもエコーのトレーニングをしてきました。 

マイペースを保って活動

現地の生活ではバランス感覚が大事!© MSF

現地の生活ではバランス感覚が大事!© MSF

海外派遣スタッフも現地スタッフもみんな協力的で、いい雰囲気で苦楽をともにしました。自分はわりと1人でいることが好きで、パーティーなどは遠慮するタイプでしたが、チームは個人のリズムを尊重してくれていたので、バランスよく過ごすことができました。起きてから寝るまでの自分なりのルーチンを決めて、オンとオフをきちんと切り替えて過ごすことで、自分のペースを大事にして気持ちに負担のないように過ごしていました。

コミュニケーションも同じで、仕事が終わると英語スイッチをオフにして日本の家族と日本語で話すなど、切り替えていました。でも、現地の言葉で現地スタッフに話すとやっぱりいい雰囲気になります。南スーダンは多言語なのでムンドゥリでしか使えませんが、「ありがとう」という意味の「アロボヤ」は、どんな場面でも役立ちます! 


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