海外派遣スタッフ体験談

初めての活動、初めての業務が大きな学びに:吉田 亜梨沙

2018年03月30日

吉田 亜梨沙

職種
看護師
活動地
コンゴ民主共和国
活動期間
2016年6月~12月

Qなぜ国境なき医師団(MSF)の海外派遣に参加したのですか?

小学3年生の時に読んだ「アンネの日記」がきっかけでした。自分と同世代の子が大変な状況で生活をしていた事実にとても大きなショックを受け、自分が大人になったらそういった状況の人たちのために働きたいと考えるようになりました。

Q派遣までの間、どのように過ごしましたか?どのような準備をしましたか?

語学はとても大切だと考えていたので、日本で仕事をしながら語学学校に通い、語学力の向上に努めました。また、今回の派遣地であるコンゴ民主共和国で実際に活動をしていたMSFスタッフを紹介してもらったので、連絡をとり、現地での生活をイメージしていました。

Q今までどのような仕事をしてきましたか?また、どのような経験が海外派遣で活かせましたか?

看護学校卒業後は、東京都内の総合病院の脳神経外科で3年、集中治療室で約3年勤めました。その後、青年海外協力隊としてセネガルのクンペントゥームという村の保健センターで2年活動し、帰国後は日本の総合病院やクリニックで働きつつ、MSFに応募して、2度目の応募で今回の派遣に至りました。

日本の病院できちんと基本的な看護技術と知識を学べたのは、もちろん看護師として活動していく上で必須であったと思いますし、青年海外協力隊での生活は、MSFとして活動をする上で良い経験、ステップになったと思います。

今回、MSFで初めての活動だったため、現地スタッフや外国人派遣スタッフに「アフリカの生活は大変だろ~」と言われましたが、生活面において大きなショックはありませんでした。

Q今回参加した海外派遣はどのようなプロジェクトですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?

調査活動の対象となっていた保健センターで
調査活動の対象となっていた保健センターで
外国人派遣スタッフは10人ほどのアットホームなチームでした。現地スタッフは、私が直接多く関わったのは総合病院の13人のMSF看護師と看護師長でした。ほかにも現地保健省のスタッフや移動診療チーム、コメディカルスタッフなどがおり、数え切れません。

MSFは保健省と半分ずつ活動する総合病院と、他に保健センター4ヵ所為、小さな診療所2ヵ所を受け持っていました。診療所では下痢やマラリア、呼吸器疾患など簡単な疾患のみ治療していました。
 
私は、現地の看護師長を監督する立場として派遣されました。主な業務としては、MSFのプロトコルやルールを守って看護業務ができているかチェックしたり、必要があれば看護に関する研修を実施したり、日々の業務としてスタッフの勤務表管理や、薬剤・物資の注文の最終確認をしたりしていました。
いつも子どもたちが駆け寄ってくれる
いつも子どもたちが駆け寄ってくれる
主な疾患としては、マラリアや呼吸器疾患、下痢症、栄養失調、外傷(交通事故や熱傷)などでした。また、特徴的な疾患として、赤痢や住血吸虫、髄膜炎、また伝統習慣のタトゥーから感染症を起こす例などがありました。

任期の前半は主に病院内での業務をしていたのですが、後半から、MSFが支援する全ての施設がきちんと運営されているか調査する業務が始まり、そのリーダーを任されました。
 
遠方にある保健センターにまで足を運んで調査できたことや、疫学者の疾病死亡調査にも参加させてもらったことは、病院にアクセスできる患者さんだけでなく僻地に住む人びとの、生活や疾患に対する意識、受診行動などを知る良い機会となりました。
Q派遣先ではどんな勤務スケジュールでしたか?また、勤務外の時間はどのように過ごしましたか?

基本的には、月曜から金曜までは午前7時30分~午後4時30分まで仕事で、昼に1時間の休憩がありました。土曜は午前中のみの勤務です。しかし、上述の調査の業務では、村の人びとが早朝から農作業に出かけてしまうため、その前にインタビューができるよう朝5時半に起きて村へ行って調査をする期間もありました。

勤務外の時間は、共有スペースでみんなとおしゃべりをしたり、映画を見たり、カードゲームをして過ごす事が多かったです。また、一緒に働いた英国人医師ととても気が合い、仕事やプライベートなど何でも相談できたことが、今回の派遣においてとても大きな支えでした。

休日はみんなで料理をしたり、ワリカレの名所(?)の滝へ出かけたりしました。基本的に笑いの絶えない本当に楽しいチームでした。

Q現地での住居環境について教えてください。

宿舎では1人1部屋、個室が割り当てられた
宿舎では1人1部屋、個室が割り当てられた
敷地内に2棟の建物があり、全部で11部屋と共有スペース、共有トイレ、水浴び場がありました。部屋はみんな個室でした。ゆっくりですがインターネットも繋がったため、日本の家族や友人とのメールのやり取りは問題ありませんでした。

宿舎はやや小高い丘の上にあり、中庭から遠くの山々、夕日が沈むのが見えてとてもきれいでした。また、庭にはパパイヤやココナッツ、ジャックフルーツの木があったので、木登り名人の現地スタッフにお願いして美味しくいただきました。
 
また、農作業が好きな外国人派遣スタッフは、中庭の土を耕して野菜などを作っていました。門限はありましたが(徒歩での移動は18時まで)それまでは基本的に自由に歩けたので、ジョギングに出かけるスタッフや、マルシェ(市場)へ行くこともありました。
Q活動中、印象に残っていることを教えてください。

業務の拠点にしていたオフィスで同僚と
業務の拠点にしていたオフィスで同僚と
たくさんありすぎますが、後半に行った医療施設の運営調査に関しては、大変苦労しました。今までは総合病院のみでこうした調査を行っていたものの、今回は初めて保健省スタッフも巻き込んで、全ての医療施設で実施することになり、初回派遣の私にとって、調査の仕方自体が初めはよくわからず舵取りが大変でした。

調査後に、フィードバックとして大きな会議を開きました。帰国間際だったこともあり、調査結果をまとめたり会議の準備をしたりと、とても忙しかったのですが、会議の中で調査対象となっている病院スタッフが、「今までも調査しているのは知っていたが、フィードバックがなく、何を見られているのか不透明だった。でもこの会議のお陰で自分たちの長所と短所がわかり、今後の改善点につなげていけそうだ」とコメントしてくれて、とてもやりがいを感じました。
 
調査中、厳しいながらも時折ツンデレのように気にかけてくれたドイツ人医療チームリーダーや、いつも優しく相談に乗ってくれる英国人医師、困っているときに必ず彗星のごとく現れ、察してサポートしてくれる現地スタッフなど、日々いろいろなスタッフとコミュニケーションを取って、支えられて学べたことは、自分をとても成長させてくれたと思います。
Q今後の展望は?

次の活動参加のために語学の継続学習と、MSFのプロトコルの再確認などをしています。今回、私よりも経験の長い現地スタッフは(当然のことですが)私よりもプロトコルに詳しかったので、より建設的な話し合い、活動ができるように、しっかりと理解をしておきたいと思っています。

また、派遣中には家族にたくさんの心配をかけてしまったので、日本にいる間はできるだけ多くの時間を家族と過ごしたいと思っています。

Q今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス

出発前のブリーフィングで、初めて活動に参加する不安を話したとき、MSFの看護師スタッフから「誰でも、誰からも学べるし、教えることができる」と言われ、あまり自信のなかった私の背中を押してくれました。でも、きっとそういうことなのだと思います、一緒に頑張りましょう!

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