海外派遣スタッフ体験談

自動車整備士もMSFの現場で活躍「世界の役に立ちたい」

2019年10月22日

川内 勇希

職種
フリートマネジャー
活動地
スーダン
活動期間
2019年1月~7月

車両の整備と運行マネジメント業務を担うフリートマネジャー。医療従事者でなくても働けると知り、「自分の専門分野を活かして世界の役に立ちたい」とMSFに参加。パプアニューギニアに続き、2回目の活動となった。

整備士が世界で活躍 MSFで働くきっかけ

ノースダルフール州にある病院敷地 © Yuki Kawauchi/MSF
ノースダルフール州にある病院敷地 © Yuki Kawauchi/MSF
転機は自動車整備の専門学校時代の19歳のとき。専門学校のプログラムで、アメリカ・ユタ州に3週間、ホームスティしました。その経験から、「海外に出て働きたい」と思いました。専門学校卒業後に、整備士として自動車販売会社に就職。入社3年目にカナダのオフィスで働くための社内試験を受けて合格し、トロントで5年働きました。
 
帰国後しばらくしてから退職し、国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊に整備士として参加。タンザニアの自動車整備学校の教員として2年働きました。帰国後、JICAの就職支援の企業交流会で、MSF日本の海外スタッフの採用担当者に出会い、MSFが医療従事者だけでなく、整備士も募集しているのを教えてもらって、応募しました。MSFで何か自分にもできること、そして自分にしかできない仕事があるのではないかと思いました。自動車整備士の新しい可能性を拓くと共に、世界の役に立てるのであればこの上ないと思いました。2018年に、パプアニューギニアで約4カ月間活動。今回のスーダンが2回目の活動となりました。 

フリートマネジャーの仕事とは?

スーダンの活動場所を走っている四輪駆動車 © Yuki Kawauchi/MSF
スーダンの活動場所を走っている四輪駆動車 © Yuki Kawauchi/MSF
フリートマネジャーは原則、遠隔マネジメントです。車両の管理運営、整備、部品や発電機の管理などに携わりました。現地スタッフをいずれフリートマネジャーに育てたいということで、現地スタッフの採用とトレーニングにも関わりました。
 
MSFで使っている車といえば四輪駆動車、中でもランドクルーザーをイメージされる方が多いと思いますが、ノースダルフール州で走っている車は、ランドクルーザーではありません!ランドクルーザーは人気があり盗まれてしまう可能性があるため、他メーカーの四輪駆動車を使っていました。
 
また、スーダン国内のプロジェクトの全ての車両管理をしていました。2カ月おきに全ての活動場所を訪問し、車両整備にあたりました。MSFのプロトコールに則り、車が何キロ走ったのか、ガソリンを何リットル消費したのかといったデータも管理していました。 

大変だったこと

現地スタッフの作業が適切に行われたかを点検 © Yuki Kawauchi/MSF
現地スタッフの作業が適切に行われたかを点検 © Yuki Kawauchi/MSF
大変だったのは、コーディネーションでプロジェクトを移動する時、スーダン政府から許可が必要だったこと。車の整備のための荷物送る時も許可がいるので、時間がかかりました。
 
オフィス間の移動も大変でした。首都のハルツームオフィスの他に、ノースダルフール州、ホワイトナイル州など計4つのオフィスがありました。2カ月に4つのオフィスを訪問し、必要機材や部品の手配をする一方、ビザの更新期間には、ケニアから遠隔で仕事をしました。ノースダルフール州では、活動場所からトランジットオフィスまで、国連の飛行機やヘリコプターで移動しました。100キロもなかったのですが、安全上の理由でした。活動期間中はクーデターが起きて、飛行機が飛ばないことなどもありました。
 
活動地では、道路事情が悪かったり、長距離移動が多かったりと、使用環境がシビアなので日々、車両を酷使しているような状況。日本では考えられないところに、車両の不具合が出たりします。作業効率を良くするため、現地スタッフには、整備士が訪問する前に不具合を報告するようお願いしていましたが、その意図が浸透しておらず、作業の進め方に影響が出ることがありました。ですが、訪問時に不具合の報告を受けることがあっても、これまでの整備士の経験から、なんとかカバーすることができました。
 
日中、気温が45度にもなる中で、外に出ての車両整備も忘れられません!日焼けもしましたし、体力も消耗するので大変でした。 

活動で役に立ったもの

整備中の車両 © Yuki Kawauchi/MSF
整備中の車両 © Yuki Kawauchi/MSF
日本から、自動車用整備工具とエレクトリカルテスターを持っていきました。製品の質、精度が高いためです。
 
過去培ってきた、英語力や、コミュニケーション力は十分に生きたと思います。特に、青年海外協力隊で活動したタンザニアでは物事が思ったとおりに進まないこともあり、アフリカ人とのコミュニケーションにも苦労し、忍耐力や我慢強さを培いました。その経験が今回とても役に立ちました。 

最後に

MSFの同僚と © Yuki Kawauchi/MSF
MSFの同僚と © Yuki Kawauchi/MSF
活動中、支えとなったのは、仲間である海外派遣スタッフ。苦労話や愚痴をその都度共有できて、ありがたく思いました。新しいことへの挑戦には、立ち止まる必要があったり、うまく物事が進まなくてイライラしたりすることもあると思います。でも、それを乗り越えることで、身につく何かがあるはずです。僕自身も、MSFで活動を終えて帰国した今、「この活動に関わって良かった」「今回の経験を、また次に活かしたい」と思っています。一歩踏み出して、良かったと思います。これからも、世界を舞台に、自動車整備士の新しい可能性を広げていきたいです。 
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