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海外派遣スタッフの声

有能な外科チームと協力的なスタッフに恵まれて: 渥美智晶
- ポジション
- 外科医
- 派遣国
- ナイジェリア
- 活動地域
- ポートハーコート
- 派遣期間
- 2010年6月~2010年8月
なぜMSFの海外派遣に参加したのですか?
2005年、パキスタン北西部地震災害では別のNGOに所属し、マンセーラ州立病院で救急救命活動を行っていました。数日後、そこで国境なき医師団(MSF)が活動を開始して、大型テントを設営・展開するまでの期間、救急救命を手伝ってもらいました。しっかりとしたロジスティック(物資調達、施設・機材・車両管理など幅広い業務)のサポートがある大きな団体での治療活動に将来は参加してみたいと、その時に感じました。
また、長崎大学熱帯医学研究所の短期研修コース在籍中にMSFの講義があり、その内容やMSF日本の会長である黒﨑伸子先生とお話する機会があったことも理由の一つです。
今までどのような仕事をしていたのですか? また、どのような経験が海外派遣で活かせましたか?
都内の大学病院附属救命救急センターで2年間勤務後、一般外科の研修を経て現在に至っています。患者管理・手術手技はもちろん、JATEC*1、ACLS*2などを含め、初期診療からその継続治療、救急疾患に対する治療の流れを日常的に経験していることが、今回の外傷に特化した治療でも、大いに活かされていると思います。
また、MSFに参加する以前に、海外医療支援として参加したインドネシア津波災害・パキスタン地震災害では、現地のカウンターパートナーと活動しており、日本人のみで構成される団体の活動ではなかったことが、多国籍で構成されるMSFのチームで、特に違和感もなく働けたのかと思います。
- Japan Advanced Trauma Evaluation and Care™の略。日本救急医学会および日本外傷学会が策定したガイドラインと、それに基づく外傷診療研修課程。
- Advanced Cardiovascular Life Supportの略。二次救命処置。気管挿管、薬剤投与といった高度な心肺蘇生法を示すが、心停止時のみならず重症不整脈、急性冠症候群、急性虚血性脳卒中の初期治療までを網羅したもの。
今回参加した海外派遣はどのようなプログラムですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?

MSFが運営する外傷病院で治療を行うプログラムです。このプログラムは、すでに5年間継続されています。主に交通外傷、銃創、刺創のほか、整形外科疾患の手術介助を行いました。勤務は月曜から土曜日の朝から晩まで手術、日曜は回診のみ、その他、適宜緊急手術の呼び出しがあります。具体的には開胸・開腹手術をはじめ、頚部血管損傷の修復、腱・神経縫合、四肢切断、感染を起こした傷や壊死した組織の切除・皮膚移植のほか、整形外科医の補助として筋皮弁法*1、創外固定法*2、髄内釘法*3などを行いました。
- 自分の組織を身体のある場所から他の場所へ移動することによって再建する方法。
- 骨片に金属製のピンを刺入し、金属のピン同士を皮膚の外で固定する方法。
- 骨折した骨の骨髄内に人工の長い金属製釘(ネイル)を挿入して固定する方法。
週末や休暇はどのように過ごしましたか?
日曜の回診後がフリーでした。緊急で呼ばれない限り、外出許可区域内にあるプール付きレストランまで、昼・夕兼の食事に外科チームでよく歩いて行きました。メンバーはよくプールで泳いでいました。日中は宿舎のジェネレータが止まるため、扇風機も使えず暑くて昼寝もできないので、近くの高級ホテルに行って冷房が効いた部屋でゆっくりしました。
現地での住居環境についておしえてください。
病院から車で20分ほどに位置する大きな宿舎でした。シーリングファン付きの個室が割り当てられます。
マラリアが1年を通して流行している土地で、配給される蚊帳を初めて使いましたが、かなり蚊に刺されました。メフロキン(抗マラリア剤)を帰国後も2週間飲み続け、いまも発症せず安心しています。
宿舎の周囲は比較的安全らしいのですが、時折銃声が聞こえることもありました。私が派遣されたときは外出許可区域(宿舎から半径5~600m程度でしょうか)の設定もあり、夜10時までは外出可能となっていました。
良かったこと・辛かったこと

よかったこと:
出会った外科チームが素晴らしく有能であったこと。
病院スタッフも有能な方が多く、協力的で仕事がしやすかったこと。
日本に戻って、日本は安全な生活環境であることを再確認できたこと。お湯がふんだんに使えることを実感できたこと。
辛かったこと:
現地のピジンイングリッシュ*1をすべては聞きとれず、毎朝の病棟回診が大変でした。
あとは気晴らしが少ないことです。日用品を扱うスーパーマーケットが1店舗あるのですが、歩行許可区域内にほかには一般商店や露天商などがなく、仕事からの限られた解放時間である日曜午後に出歩こうにも、お土産を買うことはもちろん、ウィンドウショッピングすらできませんでした。
常時オンコール(待機)ということもあり、もともと機会飲酒なのですが、ほかの海外派遣者のようにアルコールを飲んでリラックスする、というようなこともしませんでした。
- 通商英語の一種。現地の言語が混合した変則的な英語。
派遣期間を終えて帰国後は?
職場に復帰し、早速、胃・大腸がんなどの腹腔鏡手術や、開腹手術、上部・下部消化管内視鏡、救急外来診療を再開して、すっかり日常診療に戻っています。アフリカでの日々がすでに懐かしいです。
今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス
どこでだれとでもやっていける協調性や柔軟さが大事だと思います。そういう国民性がもともと日本人にはあるのではないかと思います。MSFに参加しようと思っている方なら大丈夫だと思います。あとは健康管理とコミュニケーションがキモかと思います。
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