海外派遣スタッフの声

初回派遣の反省を活かし、2度目の中央アフリカへ:菊地 紘子

ポジション
正看護師
派遣国
中央アフリカ共和国
活動地域
ンデレ
派遣期間
2015年3月~2015年11月

国境なき医師団(MSF)の海外派遣に再び参加しようと思ったのはなぜですか?また、今回の派遣を考えたタイミングはいつですか?

前回、中央アフリカ共和国への派遣を経て、帰国後1ヵ月頃を目安に、再び参加を希望いたしました。前回が初の参加で、その経験(よかったところ・できなかったところ)をすぐに次に活かしたかったからです。

派遣までの間、どのように過ごしましたか? どのような準備をしましたか?

前回派遣終了後、出発まで実質3ヵ月ほど期間があったため、離島医療に携わるべく、看護師として喜界島の病院で働かせていただきました。限られた資源の中で医療に取り組む離島医療は途上国の医療と似ている部分があり、大変勉強になりましたし、久しぶりの日本の臨床現場で、臨床技術の向上に努めることができました。また、Eラーニングにて英語学習を始めました。

過去の派遣経験は、今回の活動にどのように活かせましたか? どのような経験が役に立ちましたか?

前回の派遣と同様の業務を担うポジション(看護業務・薬剤業務のマネジメント)だったので、前回の活動での反省点がそのまま活かせました。反省点とは、長期的計画を立案実施すること、病院の統計分析業務に携わることです。それら2つを実践することができました。

また前回、薬剤管理システムにて在庫管理や発注、分析、報告書作成に携わっており、今回も薬剤部門管理が業務内容にあったため、よりスムーズにシステムを活用することができ、初回派遣の看護師に指導することもできました。

今回参加した海外派遣はどのようなプロジェクトですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?

現地スタッフの娘さんと、彼女の赤ちゃん 現地スタッフの娘さんと、
彼女の赤ちゃん

今回のプロジェクトは、中央アフリカ共和国のバミンギ・バンゴラン州の州都ンデレにあるンデレ病院と、チャド方面へ続く道にある4つの地域診療所の管理・管轄です。私は看護ケア全般と薬剤配給全般を担当していました。

海外派遣スタッフは常時8人程度で、プロジェクト・コーディネーター、医師、看護師、財務・人事、ロジスティシャン、フライングスペシャリスト(さまざまなプロジェクトで数日または数ヵ月滞在するスペシャリストで、小児科医師・助産師・啓発活動責任者・心理療法士・緊急援助活動の責任者・外科医師など)であり、現地スタッフは総勢200人程度です。私の管理する看護部門では60人程度の医療スタッフがいました。

スタッフは、小児科・産科(産科・婦人科・母子保健科)・手術部・入院棟・外来棟・HIV/エイズと結核の外来・薬剤部などでチーム構成されていました。

主な症例としてはマラリア(重症例含む)、栄養失調、切迫早産、ハイリスク分娩、ヘルニア、交通事故、結核、HIV/エイズなど多岐にわたりました。ンデレでは成人患者が多く、慢性疾患(糖尿病・高血圧など)を長く患っている患者さんも多かったです。

病院全般業務として、病院責任者である現地の看護部長と一緒にまずは病棟内の整理整頓・清潔からとりかかりました。回診車や、救急棚の点検・清潔保持、掲示板の整理などです。

そして、次に業務上問題となっている点をともに解決するよう各部署をラウンドし、また月2回の責任者会議で問題点の抽出と解決について話し合いました。薬剤配給が滞りなく行われているか、ケアの質が保たれているか、必要な器具や書類は各部署にあるか、事務物品(石けんやボールペンなど)の配給は滞りがないか、スーパーバイザーとして日々、病院内を駆け巡っていました。

毎月初めに統計データと報告書を提出する義務があり、看護部長とともにデータの入力・信ぴょう性の確認、分析など行っていました。これは前回の派遣であまり触れられなかった部分で、反省点のひとつでもあり、わからないことも多かったのですが、上司からレクチャーを受け、ひとつひとつ学んでいきました。

また、長期的に計画している研修計画に、フライングスペシャリストを迎えて適宜必要な研修を取り入れ調整していました。

また今回は、日本人の小児科医師とご一緒する機会に恵まれ、一緒にカンガルーケアの研修や、栄養失調児の新プロトコルの研修を開催することができました。

薬剤部門の業務としては、薬局責任者とともに病院部・地域診療所への薬剤配給・首都からの薬剤受領(コールドチェーン含む)などの在庫管理、毎月初めの報告書提出、棚卸し作業、3ヵ月毎の薬剤請求・受領、薬剤使用状況確認など行っていました。

本部薬局の在庫管理はほぼ正確にできていたのですが、病院部の在庫管理が不十分であり不足薬品や用途不明など多々あったため、改善が必要でした。そこで病院内薬局を入院患者部門と外来部門に分けるという取り組みを行いました。慣れるまでは困難もありましたが、これにより業務が円滑になり、在庫管理がより正確に的確にできるようになりました。

派遣先ではどんな勤務スケジュールでしたか? また、勤務外の時間はどのように過ごしましたか?

朝7時に薬局へ行き冷蔵庫の温度チェック(保冷薬剤・保冷ワクチンの管理)、その後、病院にて全体申し送りまたは全体研修があり、その後、各部署へのラウンドを行います。看護部長と週間スケジュールを組んでいましたが、重症患者や症例に合わせて適宜変更していました。

ラウンド後、改善点や連絡事項を看護部長と話した後、病院薬局部にて過不足をチェックし、午前11~12時頃には本部薬局に戻ってメールの確認や薬局業務に取り組みます。病院業務(統計や計画など、看護部長との仕事)が終わらない場合はそのまま休憩まで病院にいることが多いです。

休憩をはさみ、午後からは会議が入ることが多く、会議後は夕方まで薬局業務に打ち込みます。在庫の確認や配給の準備、首都バンギにある運営本部とのやりとり、上司との連絡相談、報告書作成などです。治安状況にもよりますが午後6時頃には帰宅することが多く、仕事後はスポーツやヨガなどでリラックスし、チームメイトと食事・歓談、午後9時には眠くなることが多かったです。

土曜日は半日業務といいつつ、ほぼ丸1日業務に没頭していることが多かったのですが、日曜日はゆっくり休んでスポーツをしたり映画をみたりしました。治安状況により、外へジョギングや市場へ行くこともありました。

現地での住居環境についておしえてください。

1人1部屋の個室が与えられ、快適でした。トイレ・シャワーは共同で水ですが、現地はほぼ通年暑いので問題ありません。よっぽど寒いときはお湯を沸かしてシャワーに利用することでかなり快適に使えました。あまりに暑くて眠れない時期は、外で寝ることもありましたが、ほとんどは室内で眠れる気温でした。

食事は料理担当スタッフが3食作ってくださり、西洋風な食事がとても美味しかったです。パンがとても美味しい土地で、最高でした。

治安の悪化により外出禁止となった際には、閉鎖環境での休日もありましたが、窮屈に感じないよう、チームメイトと料理を作ったりスポーツをしたり、気分転換をしました。日本料理を作ってほしいと言われ、材料が乏しいのでキュウリと玉子焼きで巻き寿司を作ったり、餃子作りをしたりしました。餃子の皮はイタリア人が自家製ピザの作り方から応用し、具のお肉をミンチにするのは力持ちのコンゴ人に、それぞれ助けてもらいました。

活動中、印象に残っていることを教えてください。

地域巡回活動へ出発するチーム(筆者右から2番目) 地域巡回活動へ出発するチーム(筆者右から2番目)

今回の活動で、人生初、マラリアに罹患してしまいました。ある日の夕方、とてもだるく熱っぽい感じがあり、早めに床につきました。その夜、震えが止まらずガタガタと寒かったことを覚えています。翌朝マラリア検査をしてみると陽性でした。

すぐに治療薬を飲み始めましたが、だんだんと頭痛がひどくなり、発熱を繰り返し、のたうち回る苦しさになりました。治療薬の副作用で食欲がなく吐き気がしましたが、食事をとることが克服の第一歩とチームメイトに励まされ、無理にでも食事をとり、しっかりと休みました。そして3日目に復活することができました。

これ以降、もう2度とこんな体験はしたくない、と、予防薬の服用に加え、長ズボンやスプレーなど、防蚊対策をさらに念入りにしました。

今後の展望は?

次回派遣を希望しています。これまで、フランス語圏の活動ばかりでしたので、新たな挑戦として英語圏の活動へ参加できるよう、英語の習得も目指しています。

今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス

迷っているなら、ぜひ挑戦してみてください!私も応募した時は、まだまだ時期尚早かな・・・・・・と思っていましたが、思い切ってチャレンジして、今ここにいます。不採用の場合でも、どこを強化すればいいのか明確に伝えてくれるのがMSFです。必要なのはあなたのチャレンジする情熱です。ぜひ一緒にMSFで働きましょう。あなたの長所を生かせる場所が世界にあります。

MSF派遣履歴

派遣期間
2014年5月~2014年12月
派遣国
中央アフリカ共和国
活動地域
カボ
ポジション
看護師