海外派遣スタッフの声

非感染性疾患プロジェクトで現地医師を監督:伊藤 謙

ポジション
内科医
派遣国
ヨルダン
活動地域
イルビド
派遣期間
2015年8月~2016年2月

国境なき医師団(MSF)の海外派遣に再び参加しようと思ったのはなぜですか?また、今回の派遣を考えたタイミングはいつですか?

個人的な用事が一段落して、再び、医師として医療を十分に受けることができない人びとに尽くしたいと強く思うようになり、出発の2ヵ月ほど前から派遣先を探していただきました。

派遣までの間、どのように過ごしましたか? どのような準備をしましたか?

日本で、複数の病院で当直をしながら生計を立てつつ派遣日を待ちました。英語に関しては、普段から日常のあらゆることを英語で表現しようと努めました。リスニング力向上には、ディクテーション(※1)とシャドーイング(※2)を連日行いました。

あとは、MSFから送られてきたプロジェクトに関するファイルを熟読しました。

  • 聞き取った英語を書き取る勉強法
  • 聞き取った英語を、自分も発音してついていく勉強法

過去の派遣経験は、今回の活動にどのように活かせましたか? どのような経験が役に立ちましたか?

今回は自分のパソコンを持参しました。これは今回、大切な仕事の道具となりました。

過去の活動の内容と今回のそれはまったく違っていたので、目に見えた過去の経験の活用を思い浮かべることはできません。しかし、異国から集まったスタッフでの共同生活には違和感なく溶け込むことができました。おそらく、前回の経験が生きたのでしょう。

今回参加した海外派遣はどのようなプログラムですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?

現地の看護師と受付スタッフとともに 現地の看護師と受付スタッフとともに

ヨルダンにいるシリア難民の80%前後は、難民キャンプでなく都市にて生活しています。彼らの中で、糖尿病、高血圧、心疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息のような非感染性疾患(NCDs:Non Communicable Diseases)に苦しむ患者さんは、十分な継続的医療支援を受けることができていない現実がありました。

それに対応しようと、MSFは2014年9月から北部都市のイルビドでNCDプロジェクトを開始しました。イルビドの2ヵ所の診療所に、上記慢性疾患への医療サービスを提供します。1つの診療所に、現地スタッフとして2人の医師、4人の看護師、1人の薬剤師、1人の受付係が配属されています。このヨルダン医師を監督することが私の業務でした。

業務内容は、臨床訓練、ヨルダン人医師が提供している医療サービスの定期的評価・報告、過剰に処方された処方薬の妥当性の調査、指示された血液・尿検査の妥当性の評価、診療所での守備範囲外の疾病罹患患者の他医療施設への紹介の促進、医師への有給休暇の消化を促進、医師が休んだ際の代わりの医師の招集、そして、新たな医師採用の際の筆記試験と面接の施行です。

海外派遣スタッフは、プロジェクト・コーディネーター、医療チームリーダー、疫学者、人道的側面で患者をサポートするスタッフ、そして、医師である私の5人でした。

派遣先ではどんな勤務スケジュールでしたか? また、勤務外の時間はどのように過ごしましたか?

スシを作って仲間にごちそうした スシを作って仲間にごちそうした

治安の良い環境でしたので、しばしば歩いて移動しました。朝、事務所に集合して仕事を始めます。毎日2ヵ所の診療所を訪れ、昼頃まで現地医師の傍にて臨床に間接的にかかわりました。昼から事務所に戻りデスクワークをこなしました。

イスラム教の国では、金曜日が休みです。日本でいう日曜日に当たります。とにかく、街を散歩することが好きでしたので散歩を楽しみました。夜は、読書やインターネットを楽しみました。

現地での住居環境についておしえてください。

アパートに、私を含めて4人で共同生活をしていました。部屋の掃除、洗濯、夕食の準備は、現地で雇った担当のスタッフが行ってくれました。すこし、脂っぽい食事であった印象です。

イルビドは砂漠の上にある都市なので、各アパートの水は、建物の外にある大型の水槽に蓄えられています。時々、水不足となり、シャワーを浴びるために朝の出勤時間を早めにして、事務所でシャワーを利用しました。1月の最後の週は、気温が本当に下がり氷点下となりました。本当に寒かった!みんな鼻声で仕事をしていました。

活動中、印象に残っていることを教えてください。

ヨルダン、シリアの人びとは日本に対して大変に友好的であり良い評価をしていることを知りました。アラビアの文化は、大変に奥が深くすぐに尊敬するに至りました。そこに住む人びとは誇り高く気高かったです。今まで触れたことのないアラビア文化にほれ込みました。

今後の展望は?

活動を2ヵ月ほど残したところで、体調不良になってしまい志半ばで帰国となりました。しっかり体調を戻し、その後、今後について考えたいです。

今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス

挑戦したいなと少しでもお考えでしたら、挑戦されてはいかがですか。是非、おすすめいたします。

MSF派遣履歴

派遣期間
2014年10月~2015年1月
派遣国
南スーダン
活動地域
パマト
ポジション
内科医