海外派遣スタッフの声

5年ぶりの活動参加で医療チームをリード:大谷 敬子

ポジション
医療チームリーダー
派遣国
イラク
活動地域
ドミーズ
派遣期間
2015年6月~2015年11月

国境なき医師団(MSF)の海外派遣に再び参加しようと思ったのはなぜですか?また、今回の派遣を考えたタイミングはいつですか?

2010年に看護師として活動に参加後、しばらくMSFの活動地からは離れていましたが、その間、MSFの日本事務局の仕事に就いたり、またMSF以外の国際開発援助を行っている組織に参加してみて、MSFがより援助対象者の近くにいて、対象者へのニーズを考慮して活動を行っていることを実感しました。

また、自分の医療援助に対する価値観が、MSFの憲章に近いと考えているため、機会があればいつでも参加したいと考えていました。今回、2015年4月にオファーがあり、そのまま了承しました。

派遣までの間、どのように過ごしましたか? どのような準備をしましたか?

MSFより送られた資料に目を通し、現地状況の把握および、派遣国に関しての情報収集(政治・経済状況、貧困、人口、保健医療事情など)を行いました。

過去の派遣経験は、今回の活動にどのように活かせましたか? どのような経験が役に立ちましたか?

今回の活動は、前回の参加よりおよそ5年が経過していたので、組織構成など多少変わっていると予測できたため、これまでの経験というより、現時点でのシステムに慣れることを考えるようにしました。

特にMSFがどのような組織であるか経験を通じでわかっていたことで、意思決定をするに当たって、またトレーニングやミーティングを行う上で、かなり役に立っていると感じました。

今回参加した海外派遣はどのようなプロジェクトですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?

プロジェクトでともに働いたチーム プロジェクトでともに働いたチーム

プロジェクトの内容は、シリア難民、イラクの国内避難民を対象に、非感染性疾患のケア、性と生殖に関する健康(SRH)、心理ケアを含む基礎医療を提供するものでした。

人口約4万人のキャンプで、シリア難民に対しては基礎医療チーム、SRHチーム、心理ケアチーム、健康教育チームがあり、各チームには、その部署を管理するスーパーバイザーが1人ついていました。各チームは、さまざまな目的に応じて活動計画を実施していました。

イラク国内避難民および地域住民に対しては、移動診療という形で医療を提供していました。移動診療は1チーム7~8人(医師2人、看護師2~3人、心理療法士1人、地域保健担当者および健康教育担当者2人)で行っていました。

移動診療は、当初は6ヵ所の活動場所で4チームが医療サービスを提供していましたが、その後、活動場所は4ヵ所になり、2チームでの活動となりました。週2~4回の割合で各地域に医療サービスを提供していましたが、各地域に出かけるときは、車で片道60~90分程度かかりました。

私は医療チームリーダーの役割を担い、各チームのスーパーバイザーに対するサポートと調整を担いました。

派遣先ではどんな勤務スケジュールでしたか? また、勤務外の時間はどのように過ごしましたか?

週に1~3日は、難民キャンプで業務にあたる各チームあるいは移動診療チームと一緒に現場の活動改善に直接つながる業務を行っていました。各スタッフとスーパーバイザーの業務内容が適切かどうか、チーム内で問題があれば問題解決に対して各スーパーバイザーと一緒に取り組みました。

また、3ヵ月ごとに医療レポートを作成し、翌年度の活動計画および予算の見積を立て、医療チームのミーティングで情報提供・収集などを行いました。

さらに、毎週、感染症の治療数の変化を比べ、上昇傾向にある疾患に関しては、保健省と世界保健機関(WHO)に報告し、予防に対する活動を健康教育チームと共に行いました。

現地での住居環境についておしえてください。

これまで私が経験した活動地域(主にアフリカ)に比べ、かなり恵まれた住居環境で仕事ができました。夏は45度を超える日も多くかなり暑く感じましたが、冷暖房が各部屋に設置されているため、電気の供給がある限り問題なく過ごせました(温度の調整ができず、逆に寒く感じることはありましたが)。

電気は、頻繁に停電になっていたように感じますが、1日中使えない、ということはなかったので、比較的快適な環境で仕事ができたと思います。

活動中、印象に残っていることを教えてください。

難民キャンプの医療活動では、ヨーロッパへの移民・難民に関する問題が活動にも影響を及ぼしました。難民からスタッフになった人のなかにも、3年にもおよぶキャンプ生活、将来への見通しが不安定な状況から、ヨーロッパへの移住を決めたスタッフが少なくなかったです。ほとんどの場合、急な決定であるため、突然辞めてしまったスタッフに対する補充(雇用)、新しいスタッフのトレーニングなどにかなりの時間が取られました。

彼らからすれば、子どもの教育や生活の安定など、基本的な権利を含む個人の利益を求めるのは当然のことです。一方、医療を提供する側からは、質の高い医療の提供や責任などの面で問題が生じます。辞めていくスタッフの事情も考慮したうえで、全体に対する最善のマネジメントに関し、どうすればいいのかという点で苦労しました。

今後の展望は?

今後は、マネジメントに関しての知識・技術を向上していくことで、より質の高い援助を提供できるよう経験を積んでいきたいと思います。例えば、同じ予算で、より多くの援助対象者への医療援助などが実現できればいいと思います。

今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス

5年ぶりの活動でしたが、以前に比べ、MSFでの仕事の専門性が細かくなってきているように感じました。仕事が細分化している分、お互いの活動をより尊重していくことが望まれるかもしれません。

どのプロジェクトでも、達成したい目的は職種を問わず共通しているので、そこから何が大切かを見つけていってほしいと思います。チーム内で上手くいかないことは、MSFでは結構あることだと思うので、自分の仕事内容だけでなく、全体を見られるように努める必要があると考えます。

MSF派遣履歴

派遣期間
2008年10月~2010年1月
派遣国
ジンバブエ
活動地域
ムラムビンダ
ポジション
看護師
派遣期間
2004年6月~2004年8月
派遣国
ケニア
活動地域
マルサビット
ポジション
看護師
派遣期間
2003年9月~2003年11月
派遣国
ウガンダ
活動地域
ソロティ
ポジション
看護師
派遣期間
2002年9月~2003年1月
派遣国
ジョージア
活動地域
アブハジア共和国
ポジション
看護師
派遣期間
2001年7月~2001年11月、2001年12月~2002年4月
派遣国
シエラレオネ
活動地域
モヤンバ、フリータウン
ポジション
看護師
派遣期間
2000年4月~2001年4月
派遣国
アフガニスタン
活動地域
パンシール
ポジション
看護師
派遣期間
2001年1月
派遣国
ケニア
活動地域
トゥルカナ
ポジション
看護師
派遣期間
1999年6月~2000年1月
派遣国
ウガンダ
活動地域
ブディブギョ
ポジション
看護師