特集

~人道危機の現場から~

写真で振り返る2022年

2022.12.29

国境なき医師団(MSF)は、2022年も世界各地でさまざまな人道危機に対応した。2020年に世界規模で流行した新型コロナウイルス感染症は、例年のような緊急事態ではなかったが、新たな課題も多かった。2月にはロシアの攻撃によりウクライナは戦争状態となった。ハイチでは人道危機がさらに悪化し、いくつかの国でコレラが異例の規模で広まった。
 
2022年に撮影された写真から1年を振り返り、MSFの活動と過酷な環境下で生きる人びとの姿を伝える。

自然災害──暮らしが破壊され、命が脅かされる

大規模な洪水により深刻な被害を受けた南スーダンのベンティウ。洪水は80キロの範囲に及んだ。建設中の道路と堤防を空から撮影した=2022年8月 Ⓒ Christina Simons
大規模な洪水により深刻な被害を受けた南スーダンのベンティウ。洪水は80キロの範囲に及んだ。建設中の道路と堤防を空から撮影した=2022年8月 Ⓒ Christina Simons
カヌーを修理する漁師。東アフリカの島国マダガスカルでは、2月上旬にサイクロン「バチライ」が地域を襲い、人びとの暮らしに壊滅的な打撃を与えた=2022年3月 Ⓒ iAko M. Randrianarivelo/Mira Photo
カヌーを修理する漁師。東アフリカの島国マダガスカルでは、2月上旬にサイクロン「バチライ」が地域を襲い、人びとの暮らしに壊滅的な打撃を与えた=2022年3月 Ⓒ iAko M. Randrianarivelo/Mira Photo
教科書を読む少年。大雨で家が倒壊したため、家族6人で1部屋のシェルターに暮らす。パキスタンの豪雨による洪水の被害は大きく、何カ月にも及ぶ恐れがある=2022年10月 Ⓒ Asim Hafeez
教科書を読む少年。大雨で家が倒壊したため、家族6人で1部屋のシェルターに暮らす。パキスタンの豪雨による洪水の被害は大きく、何カ月にも及ぶ恐れがある=2022年10月 Ⓒ Asim Hafeez

結核──より患者にやさしいケアを

ソマリランドの首都ハルゲイサにある、MSFの薬剤耐性結核病棟で休むニモ・アブディさん(仮名)=2022年2月 Ⓒ Sean Sutton
ソマリランドの首都ハルゲイサにある、MSFの薬剤耐性結核病棟で休むニモ・アブディさん(仮名)=2022年2月 Ⓒ Sean Sutton
インドのムンバイで、MSFの看護師が訪問診療を行う。看護師と話す薬剤耐性結核患者のヴァイシュナヴィさんと、それを見守る母ヴィシャカさん=2022年2月 Ⓒ Prem Hessenkamp
インドのムンバイで、MSFの看護師が訪問診療を行う。看護師と話す薬剤耐性結核患者のヴァイシュナヴィさんと、それを見守る母ヴィシャカさん=2022年2月 Ⓒ Prem Hessenkamp

難民・移民・国内避難民──故郷から遠く離れて

モルドバのパランカで、バスの出発を待つ間に母親が娘を抱きしめる。2月に戦争状態となったウクライナでは、激しい戦闘により多くの人が家を追われ、国内外での避難を余儀なくされている=2022年3月 Ⓒ Maxime Fossat
モルドバのパランカで、バスの出発を待つ間に母親が娘を抱きしめる。2月に戦争状態となったウクライナでは、激しい戦闘により多くの人が家を追われ、国内外での避難を余儀なくされている=2022年3月 Ⓒ Maxime Fossat
ロヒンギャ難民キャンプで暮らす、モハメド・フセインさん。ミャンマー国軍の残虐な掃討作戦により、ロヒンギャの人びとが故郷を追われて5年。いまもバングラデシュ、コックスバザールでは、約100万人が避難生活を送る=2022年6月 Ⓒ Saikat Mojumder/MSF
ロヒンギャ難民キャンプで暮らす、モハメド・フセインさん。ミャンマー国軍の残虐な掃討作戦により、ロヒンギャの人びとが故郷を追われて5年。いまもバングラデシュ、コックスバザールでは、約100万人が避難生活を送る=2022年6月 Ⓒ Saikat Mojumder/MSF
トゥンベス川沿いで休息する親子。南米ベネズエラから毎週何千人もの人びとが、国境を越えペルーに入国している。およそ3000キロの旅路につく人の多くが、幼い子どもを連れた家族だ=2022年3月 Ⓒ MAX CABELLO ORCASITAS
トゥンベス川沿いで休息する親子。南米ベネズエラから毎週何千人もの人びとが、国境を越えペルーに入国している。およそ3000キロの旅路につく人の多くが、幼い子どもを連れた家族だ=2022年3月 Ⓒ MAX CABELLO ORCASITAS
コンゴ民主共和国では11月、反政府武装勢力とコンゴ軍との間に新たな戦闘が起き、数万人が避難した。水、食料、シェルターが足りず、人道危機は一層深刻になっている=2022年11月 Ⓒ Moses Sawasawa
コンゴ民主共和国では11月、反政府武装勢力とコンゴ軍との間に新たな戦闘が起き、数万人が避難した。水、食料、シェルターが足りず、人道危機は一層深刻になっている=2022年11月 Ⓒ Moses Sawasawa

医療列車──患者をより安全な場所へ

ウクライナ東部ポクロフスクから、西部リビウまで患者を搬送するMSFの医療列車。車内の集中治療室では、医療チームが重傷を負った患者の容体を診察する=2022年5月 Ⓒ Andrii Ovod
ウクライナ東部ポクロフスクから、西部リビウまで患者を搬送するMSFの医療列車。車内の集中治療室では、医療チームが重傷を負った患者の容体を診察する=2022年5月 Ⓒ Andrii Ovod

移動診療──孤立する人びとに医療を

MSFのチームが、下痢やマラリア、栄養失調などの治療を行うため、川を横断して地域社会に向かう。コロンビアのアルト・バウドでは衝突や封鎖により、人びとは食糧や物資の不足、精神的な問題に直面している=2022年11月 Ⓒ MSF/Santiago Valenzuela
MSFのチームが、下痢やマラリア、栄養失調などの治療を行うため、川を横断して地域社会に向かう。コロンビアのアルト・バウドでは衝突や封鎖により、人びとは食糧や物資の不足、精神的な問題に直面している=2022年11月 Ⓒ MSF/Santiago Valenzuela

心のケア──見えない深い傷を癒す

イエメン、ハッジャで患者を抱きしめるMSFの心のケア担当者。「何かが欠けているような虚しさを感じていました。そんなとき、MSFが心のケアを提供していることを知ったのです」と患者は語った=2022年9月 Ⓒ Jinane Saad/MSF
イエメン、ハッジャで患者を抱きしめるMSFの心のケア担当者。「何かが欠けているような虚しさを感じていました。そんなとき、MSFが心のケアを提供していることを知ったのです」と患者は語った=2022年9月 Ⓒ Jinane Saad/MSF
2021年にパレスチナ、ガザ市での空爆で負傷し、右足を切断したワヒディさん。妻や地域社会、MSFの心理士の支援により、理容師としての仕事を続けることができるようになった=2022年4月 Ⓒ Giles Duley
2021年にパレスチナ、ガザ市での空爆で負傷し、右足を切断したワヒディさん。妻や地域社会、MSFの心理士の支援により、理容師としての仕事を続けることができるようになった=2022年4月 Ⓒ Giles Duley
コンゴ民主共和国、クワマスの避難民施設でMSFの心理士と話す11歳の患者。MSFは暴力を目の当たりにして心の傷を抱えた人びとを支援するため、心のケアを提供している=2022年9月 Ⓒ Johnny Vianney Bissakonou/MSF
コンゴ民主共和国、クワマスの避難民施設でMSFの心理士と話す11歳の患者。MSFは暴力を目の当たりにして心の傷を抱えた人びとを支援するため、心のケアを提供している=2022年9月 Ⓒ Johnny Vianney Bissakonou/MSF

女性と子どもの健康──幼い命と女性の身体を守る

シエラレオネのトンコリリにあるMSFが支援する地域保健センターで、出産した新生児を見守る母親のアミナータさん=2022年3月 Ⓒ Oliver Barth/MSF
シエラレオネのトンコリリにあるMSFが支援する地域保健センターで、出産した新生児を見守る母親のアミナータさん=2022年3月 Ⓒ Oliver Barth/MSF
イラクのモスルで、数時間前に生まれた赤ちゃん。彼の母親は、出産のために77キロ離れたタル・アファルから来院した=2022年6月 Ⓒ MSF/Florence Dozol
イラクのモスルで、数時間前に生まれた赤ちゃん。彼の母親は、出産のために77キロ離れたタル・アファルから来院した=2022年6月 Ⓒ MSF/Florence Dozol

顧みられない熱帯病──無視されてきた病気と闘う

パキスタン、ペシャワールにある兄の家で娘と遊ぶグルナズさん。彼女はサシチョウバエが媒介し皮膚に大きな病変を起こす感染症、皮膚リーシュマニア症の治療を受けるため、<br> ペシャワールの親族のもとへ身を寄せた。皮膚リーシュマニア症は、世界で最も広範囲に見られるにも関わらず、最も軽視されてきた「顧みられない熱帯病」の一つだ=2022年5月 Ⓒ Saiyna Bashir
パキスタン、ペシャワールにある兄の家で娘と遊ぶグルナズさん。彼女はサシチョウバエが媒介し皮膚に大きな病変を起こす感染症、皮膚リーシュマニア症の治療を受けるため、
ペシャワールの親族のもとへ身を寄せた。皮膚リーシュマニア症は、世界で最も広範囲に見られるにも関わらず、最も軽視されてきた「顧みられない熱帯病」の一つだ=2022年5月 Ⓒ Saiyna Bashir

栄養失調──危機にさらされる子どもの命

ナイジェリア、ソコトの入院栄養治療センターで、回復しつつある子どもの世話をするアマカ・ジョセフさん。「治療を始めて元気になってきました。今では、よく食べて遊ぶことができるようになり、うれしく思っています」と話した=2022年7月 Ⓒ KC NWAKALOR
ナイジェリア、ソコトの入院栄養治療センターで、回復しつつある子どもの世話をするアマカ・ジョセフさん。「治療を始めて元気になってきました。今では、よく食べて遊ぶことができるようになり、うれしく思っています」と話した=2022年7月 Ⓒ KC NWAKALOR

コレラ──汚染された水で感染、各地で流行

ハイチの首都、ポルトープランスで浸水した道路を渡る子ども。下水の処理が不十分で、清潔な水が手に入らない環境では、コレラが急速に蔓延する=2022年10月 Ⓒ MSF/Alexandre Marcou
ハイチの首都、ポルトープランスで浸水した道路を渡る子ども。下水の処理が不十分で、清潔な水が手に入らない環境では、コレラが急速に蔓延する=2022年10月 Ⓒ MSF/Alexandre Marcou
コレラが発生した際の困難について語るザイナブさん。「レバノンでは水道網が機能していません。コレラは汚染された水で広がることを知っていたので、怖かったです」=2022年11月 Ⓒ Carmen Yahchouchi/MSF
コレラが発生した際の困難について語るザイナブさん。「レバノンでは水道網が機能していません。コレラは汚染された水で広がることを知っていたので、怖かったです」=2022年11月 Ⓒ Carmen Yahchouchi/MSF

地中海──自由を求め、海を渡る

MSFは、アフリカや中東からリビアを経由して欧州を目指し、命がけで地中海を渡る移民・難民の海難捜索救助を行っている。5月11日の夜、遭難したボートから計96人を救助した=2022年5月 Ⓒ Anna Pantelia/MSF
MSFは、アフリカや中東からリビアを経由して欧州を目指し、命がけで地中海を渡る移民・難民の海難捜索救助を行っている。5月11日の夜、遭難したボートから計96人を救助した=2022年5月 Ⓒ Anna Pantelia/MSF
MSFの捜索救助船ジオ・バレンツ号の女性用エリアで、アニメを見る子どもたち=2022年3月 Ⓒ Kenny Karpov
MSFの捜索救助船ジオ・バレンツ号の女性用エリアで、アニメを見る子どもたち=2022年3月 Ⓒ Kenny Karpov
海上で救助された生存者が安全な場所への下船を待つ中、水平線に夕日が沈む=2022年10月 Ⓒ MSF/Candida Lobes
海上で救助された生存者が安全な場所への下船を待つ中、水平線に夕日が沈む=2022年10月 Ⓒ MSF/Candida Lobes

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