国境なき医師団 日本が行く2024
ミャンマー、マレーシア、バングラデシュ──活動地からの声
2024.11.27
国境なき医師団 日本が行く
今回、活動地を訪れたMSF日本のスタッフはこちら
2005年よりMSFの海外派遣スタッフとして、スーダンやシリアなどで活動に従事した。2020年、MSF日本の事務局長に就任。2022年にはバングラデシュ、コックスバザールのロヒンギャ難民キャンプを視察した。今回はミャンマーの最大都市ヤンゴンと西部ラカイン州のプロジェクトを訪問。
広報部エディトリアル・プロダクションチームで活動ニュースやSNSの編集・執筆などを担当。MSFの活動地取材は2024年の能登半島地震に続き2回目。マレーシアとミャンマーを訪れ、ミャンマー西部ラカイン州のプロジェクトも視察した。
国連機関やNGOを経てMSF日本に入職。日本の政府機関や他の援助機関、学術・研究機関などとの協議や関係構築に従事する。2022年は事務局長の村田とともにロヒンギャ難民キャンプを視察。今回はマレーシアとミャンマーを訪れた。
フェンスの中のロヒンギャ──Behind the Wire
MSF日本の事務局長、村田慎二郎はミャンマーを訪問し、最大都市ヤンゴンと西部ラカイン州のプロジェクトを視察しました。ラカイン州から状況を伝え、ロヒンギャの人びとが置かれた苦境に今こそ沈黙を破るべきだと訴えます。
ロヒンギャ——人として自由ではない人びと
ロヒンギャが生きるあらゆる場所で、より多くの外交努力と政策の選択が一刻も早く求められています。
ミャンマー:危機を生きる人びとはいま
2021年2月の軍事政権の発足以降、ミャンマーの人びとは絶え間ない困難に直面しています。国軍と武装勢力や少数民族勢力との衝突が各地で起こり、医療への影響も深刻です。最大都市ヤンゴンと西部ラカイン州のMSFの活動現場から伝えます。
ヤンゴン市内の結核病院を訪れ、MSFのスタッフに状況を聞きました。2021年の軍事政権の発足以降、治安の悪化により、人びとが医療を受ける機会は大きく妨げられています。それでも、さまざまな制約や困難に直面しながらも、患者さんや地域の人びとに貢献すべく医療活動に取り組む現地スタッフの姿に感銘を受けました。あるスタッフが語った、ミャンマーの人たちへ向けたメッセージは今もずっと心に残っています。
【連載】ミャンマーに生きる──「あの日、すべてを失った」 最大都市ヤンゴンの結核病院から
私たちがミャンマーを訪れた7月上旬。ラカイン州のロヒンギャの人びとが多く暮らす地域では紛争が激化していました。紛争から逃れてきた男性は、涙を流しながら、たくさんの人が殺されたと私たちに語りました。まずは紛争下においても人道アクセスが確保されるよう、関係国、ドナー国及び国際機関による、全ての紛争当事者に対する継続的な働きかけを求めます。
【連載】ミャンマーに生きる──戦闘の再燃したラカイン 絶え間ない恐怖にさらされるロヒンギャの人びと
マレーシア:危険な旅の末に──ロヒンギャが直面する苦難
ミャンマーやバングラデシュから、マレーシアへ——。ロヒンギャの人びとは、過酷な旅を経てたどり着いたマレーシアにおいても、医療や保護を受ける際にさまざまな障壁に直面しています。ペナン州のプロジェクトを訪れたMSF日本のスタッフが、診療所で働くMSFのチームに話を聞きました。
過酷な船旅や、陸路での移動を経てマレーシアに逃れたロヒンギャの人びとは、同じ人間とは思えない扱いや暴力を受け、飲まず食わずの日々を経験していました。あのような経験は誰にもしてほしくはありませんし、すべきではありません。私は2001年にバングラデシュのキャンプを初めて訪問して以来、ロヒンギャの人びとを取り巻く状況に関心を持ち続けてきました。ロヒンギャの人びとの状況はアジアの抱える大きな人道問題として対処すべきです。ロヒンギャの人びとが尊厳を持って生きていけるよう、当事国、周辺国、ドナー国、そして国際社会によるさらなる取り組みを求めます。また、私たち一人一人がこの問題に関心を持ち、「関心を持って見ていること」を示していくことも必要だと思います。
「私たちは地球上で望まれない民族」──逃れたマレーシアでも苦境に立たされるロヒンギャ
あるロヒンギャの女性ボランティアスタッフは「私たちには人間としての尊厳や権利、仕事や教育の機会、精神的・肉体的に保護されること。そのすべてがありません」と語りました。それでも今はボランティアとしてロヒンギャのコミュニティを支援できることに喜びを感じる、とも。ロヒンギャの人びとは、移動や教育、雇用、医療を受けることなど人間としての権利そのものが奪われています。この状況を一人でも多くの人に知ってもらい、変化のきっかけになればと思います。
「もし自分が国を追われ、逃げることになったら」 国境なき医師団のスタッフが語る、ロヒンギャのこと
バングラデシュ:いとうせいこうさんが見た、ロヒンギャ難民キャンプ
いとうせいこうさんの取材に同行し、コックスバザールのロヒンギャ難民キャンプを訪れました。この場所は「メガキャンプ」とも呼ばれ、周辺キャンプを含めると100万人近い難民が暮らしています。今も人口は増え続け、ここで生まれた子どもたちもたくさんいます。この場所がメガキャンプとなって7年。ロヒンギャの人びとの置かれた状況は、改善するどころか、世界の多くの紛争の陰に隠れ、関心を集めにくくなる傾向にあります。日本を含む国際社会は、当事国とともに、問題の解決を早急に探る必要があると思います。
「無関係ではいられない」──いとうせいこうトークイベント:ロヒンギャ難民キャンプをたずねて
トップ画像:フェンスの中のロヒンギャ──Behind the Wireイラスト Ⓒ Chiaki Suzuki
7月上旬にミャンマーを訪れました。ミャンマーの人びとが苦しい暮らしを送るなか、とりわけ厳しい状況に置かれているのが、ロヒンギャです。彼らが多く暮らすラカイン州では、2023年後半以降、暴力の激化でMSFの医療活動にも深刻な影響が出ています。私がラカインを訪問した時、8カ月ぶりに1カ所だけ、移動診療が再開されました。診療所では数百人が診察を待ち、その多くは女性でした。その様子は、今回の動画に収められています。