調査報告書

国境なき医師団は、活動現場で目撃した危機的状況を国際社会に伝えるため、個別のテーマで独自に調査・編さんした報告書を随時発表しています。

ピックアップ

報告書『包囲、攻撃、飢餓:スーダン、エル・ファシールとザムザムにおける集団虐殺(Besieged, Attacked, Starved: Mass atrocities in El Fasher and Zamzam, Sudan)』(2025年7月)

国境なき医師団(MSF)は、スーダンの北ダルフール州で集団虐殺が進行していると警告する報告書を発表した。この報告書は、2024年5月から2025年5月にかけて集められたMSFのデータ、スタッフの証言、州都エル・ファシールや近隣のザムザム・キャンプからの避難民に対する80件以上の聞き取り調査に基づくもので、現地で起きている略奪、集団殺害、性暴力、拉致、飢餓、そして医療施設や市場など民間インフラへの攻撃など、組織的な暴力の実態を明らかにしている。

MSFは紛争当事者に対し、特定の民族への攻撃を即時停止すること、また大規模な人道援助を速やかに促進するよう求めている。

報告書『スーダン:南ダルフールからの声(Voices from South Darfur)』(2025年6月)

スーダン・南ダルフール州で人道援助活動を続ける国境なき医師団(MSF)はこのたび、報告書『南ダルフールからの声(Voices from South Darfur)』を公開した。報告書の中でMSFは、まん延する暴力、不安定な治安、飢餓、崩壊した医療制度、そして、不十分な国際社会の対応が相まって、現地の生活がいかに限界まで追い込まれているかを、人びとの証言を通じて明らかにしている。

「人びとの声や物語からは、南ダルフール州全域に広がっている苦難や虐待、残酷さが浮き彫りになるだけでなく、人びとの忍耐力と思いやりも見えてきます」と、スーダンでMSF緊急対応マネージャーを務めるオザン・アグバスは話す。
「民間人の保護が崩壊し、人道援助も依然として十分でないなかで、人びとは自分たちの声に耳を傾け、注目し、行動を起こしてほしいと訴えています」

報告書『ヨルダン川西岸:人びとへの危害と医療破壊(Inflicting harm and denying care in the West Bank)』(2025年2月)

パレスチナ・ヨルダン川西岸地区で人道援助活動を続ける国境なき医師団(MSF)はこのたび、報告書『ヨルダン川西岸:人びとへの危害と医療破壊(Inflicting harm and denying care in the West Bank)』を公開した。報告書の中でMSFは、2023年10月にガザで紛争が始まって以来、イスラエル軍と入植者は、占領下にあるヨルダン川西岸地区で、パレスチナ人に対し極端な暴力の使用を増加させていると伝えている。

2023年10月から2025年1月までの間に、西岸で少なくとも870人のパレスチナ人が殺害され、7100人以上が負傷した。報告書によると、ヨルダン川西岸地区での暴力の激化により、人びとの医療へのアクセスが著しく妨げられており、これは国際司法裁判所(ICJ)が人種隔離およびアパルトヘイトに相当すると評した、イスラエルによる組織的弾圧の一部であるとしている。MSFはイスラエルに対し、医療従事者、患者、医療施設への暴力を止めるよう、そして、医療関係者による救命活動を妨害しないよう訴える。

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