所属組織の声

医療の原点は「人を助けたい」という思い
世界に向かう医師を職場で支え、人道援助を支援

  • 東京北部病院

    荒武 寿樹 院長/河 哲京 事務長 & 村上 大樹 (外科医)

    東京北部病院(東京都足立区)で外科医として働きながら、国境なき医師団(MSF)の海外派遣スタッフとして毎年現場へ赴く村上大樹医師。職場のサポート体制は? MSFの活動に賛同し海外派遣スタッフを送り出す病院の取り組みを聞いた。

    写真:(左から)
    東京北部病院の河事務長、荒武院長、村上医師

人道援助をする医師をサポートできる組織でありたい (河事務長)

村上医師を採用された経緯をお聞かせください。

河事務長(以下、河):MSFは紛争地の最前線で命をかけるイメージだったので、ひげ面の熊みたいな人を想像していました(笑)。でも、面接に現れたのは、こんなに優しい先生。強い信念を感じ、その場で「お願いします」と伝えました。

日本は人口も多く、経済的にも豊かなのに、人道援助活動に関わる医師の数が少ない。病院側の受け入れ体制が整っていないことも理由の一つでしょう。我々は、村上先生のような医師の思いをサポートできる組織でありたいと思っています。

荒武院長(以下、荒武):医師になったからには人道援助に行きたいですが、諸条件が揃わないと難しいのが現状。そんななか、村上先生が継続的にMSFで活動しているのは素晴らしいことです。「陰ながら力になれれば」という気持ちです。

理事・事務長の河さん

どのような勤務形態でMSFに参加されているのでしょうか。

村上医師(以下、村上):病院に籍を置きながら、サバティカル休暇で2~3ヵ月MSFの現場に行っています。その間、担当の患者さんは外科の他の先生たちが診てくれます。きちんと引き継げるように、MSFからは出発2ヵ月前までに派遣のオファーをもらいます。

ここ足立区は“ザ・下町”という雰囲気で、患者さんも人情味溢れる方が多い。私のMSFでの活動をご存知で、「今年はいつ行くの」「頑張ってね」と声をかけてくれます。

:村上先生のような勤務形態の医師は初めてですが、道は一緒に作っていけばいいと思っています。現場で業務を引き継ぐ医師や看護師のサポートがあるのは、村上先生の人柄があってこそ。みんなが帰国を楽しみにしている先生なんです。

荒武いまは医師も「働き方改革」が必要。もう24時間待機する時代ではありません。さまざまな雇用形態で、それぞれの能力を生かせる職場環境を整えられれば、切磋琢磨して成長できるかもしれません。あと数人MSFの医師がいて、ローテーションで行ければ理想的ですね。

荒武院長

多様なバックグラウンドの患者に対応できるのも助かります (荒武院長)

MSFでの活動はどう病院に役立っていますか?

荒武:帰国後、病院の医局会で活動を報告してもらいます。設備は半世紀前の日本と同じような状況でびっくりします。我々が恵まれた医療環境にあると気付かされます。

村上:MSFに慣れると途上国の環境が当たり前になりますが、皆さんに驚かれることは多いですね。

荒武:一緒に手術に入ると、学ぶこともあります。村上先生は電気メスを使わずに開腹していたことがありました。ベストな方法は状況によりますが、電気器具を使わなくても手術できることは意味があります。

:医療が進歩し、ハイテク医療しかできない若い先生が増えています。震災や停電などの非常時に電気機器が使えないことも起こり得る。

村上:MSFだけ続けていると、途上国の医療に偏りがちです。院長にもオペに入っていただいて日本のやり方を勉強し、いいバランスを保てています。

荒武:最近は患者さんも多様化している。外国の方に対応してもらえるのは助かります。さまざまな風習や宗教に慣れていて、異文化コミュニケーション能力がとても高いんです。

村上:イスラム教徒の患者さんで豚肉がだめだったり、お祈りする場所が必要だったりする場合、栄養士やスタッフに気をつける点を伝えますね。

:地域には、給食費未払いや独居老人など貧困に端を発する問題もあります。村上先生は世界各地で困窮している人を助けていますが、足元の医療難民も助けてくださいとお願いしています。

村上:ここで働いていると、日本の現実と直面します。困っている患者さんを支援するために、熱意あるスタッフが一生懸命働いています。

救急医療機関に指定されている東京北部病院

日本の医療の未来に、MSFの経験は必要 (村上医師)

MSFを目指す医療者へメッセージをお願いします。

:医療の原点は「人を助けたい」という気持ち。それはずっと持ち続けてほしいです。世界へ出ていくことは長い目で見て、日本のためにもなると思います。国際貢献は建物を造るだけではない。マンパワーを送って命を助ける人道支援も大切です。

病院は、MSFの活動スタッフが戻ってこられる港でありたいと思っています。帰れる場所があると心持ちが違う。村上先生には「疲れてボロボロになったら戻っておいで」と伝えています。

村上:MSFはお金持ちや能力に恵まれた一部の人しか活動できない団体ではありません。裾野が広がればと願っています。キャリアパスとして参加してもいいと思います。

大学病院で働いたり、外務省の医務官としてアフリカに赴任したりと、世界と日本の医療現場を見てきました。過疎化や貧困化など、日本の医療がこれから直面する問題も放っておけません。将来、日本の医療現場で、MSFの経験は絶対に必要になると思います。

初回派遣地のスーダン南部(現・南スーダン)で

村上 大樹

2007年鳥取大学医学部大学院臨床外科学博士課程卒業。2011年、ロンドン大学医学部熱帯医学研究所熱帯感染症修士コース修了。鳥取大学医学部附属病院、益田赤十字病院などでの勤務を経て2008年からMSFの活動に参加。2011~2014年ベナン共和国や南スーダンの日本大使館において一等書記官兼医務官を務める。2016年より東京北部病院外科に勤務。

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