特集

ウクライナ 2022年活動報告──戦争で危機にさらされた命を守る

2023.03.27

食料も飲み水も、電気も薬も手に入らない──。攻撃が続くウクライナで、人びとは計り知れない困難に直面しています。
 
2014年から戦争が続いてきたウクライナ。2022年2月、ロシア軍がウクライナ各地を攻撃し、激しい戦争に発展しました。戦闘によりウクライナから逃れヨーロッパ各地で難民となった人は800万人を超え、ウクライナ国内では530万人以上が避難生活を余儀なくされています(※)。
 
医療への影響も深刻です。病院では救命救急や外傷治療をはじめとした現場で物資が不足した状態が続き、糖尿病やぜんそくといった慢性疾患の医薬品も足りていません。ミサイル攻撃によりインフラが被害を受けたことで、医療機関の稼働にも大きな影響を与えました。
 
国境なき医師団(MSF)は、戦争で危機にさらされた人びとの命を守るため、ウクライナ国内と近隣諸国で活動。現地の医療従事者やボランティアとの連携のもと、変化を続ける状況に対して臨機応変に対応し、現場のニーズに応じた援助を行っています。
 
これらの活動は、活動に賛同してくださる個人および法人の皆さまのご支援なしでは行うことはできません。すべての支援者の皆さまへ、心より感謝を申し上げます。MSFは引き続き、戦争の被災者への医療・人道援助に注力します。その人が誰であろうと、どこにいようと、助けを必要としている限り、援助を届けていきます。
 
※国連難民高等弁務官事務所(2023年3月)、国際移住機関(2023年1月)

ウクライナでの活動 最新情報を見る

2014年から続く戦争──MSFのこれまでの活動

MSFは1999年からウクライナで、HIV/エイズ、結核、C型肝炎の治療を中心に活動を行ってきた。
 
2014年からウクライナ東部では戦争が続いており、戦闘地域に近い小さな村に住む人びとにとって、医療へのアクセスは困難な状態が続いていた。そのような中、MSFは2014年から2019年にかけて、 移動診療の運営、医療従事者へのピアサポート、患者に心のケアを行うための研修などを通じて、戦争の影響を受けている人びとを支援してきた。2020年にはミコライウで3年間のC型肝炎プロジェクトを終了し、現地保健当局に移譲した。
 
2020年と2021年、MSFはジトーミル州とドネツク州において新型コロナウイルス感染症の流行への対応に当たり、個人防護具、迅速診断検査、酸素濃縮器を医療施設に寄贈。また、心理的負担の大きい医療従事者や、新型コロナの患者に対して心のケアを提供した。ドネツク州では移動診療を行い、軽度から中程度の症状の患者に自宅にて治療を行った。
2015年初頭の攻撃で被害を受けたウクライナ東部の民家<br> © Robin Hammond/Noor<br>
2015年初頭の攻撃で被害を受けたウクライナ東部の民家
© Robin Hammond/Noor

2022年、戦争激化後のMSFの緊急対応

医療施設への支援

ザポリージャ医科大学病院で多数の負傷者対応の研修を行う、<br> MSFの門馬秀介医師=2022年3月  © MSF<br>
ザポリージャ医科大学病院で多数の負傷者対応の研修を行う、
MSFの門馬秀介医師=2022年3月  © MSF
戦闘による負傷者数は非常に多く、ウクライナの既存の医療体制では技術や体制の面ですべての手術に対応するのは難しい状況だ。
 
2022年7月、MSFは内務省が運営するキーウの病院で理学療法の支援を開始。約300の病床すべてで、戦争で負傷した人を受け入れている。 術後ケアのニーズは高く、患者は適切なリハビリを受けなければ、可動域制限などの後遺症が現れる恐れもある。MSFの理学療法士は医療者へ実地研修を行い、現地の理学療法士の能力を高めている。
また、前線に近い病院に対しては、施設独自の電力供給を確保して医療が継続できるよう、発電機やソーラーパネルを提供している。
 
ウクライナにおいて医療・人道活動を中心となって担うのは、ウクライナのボランティアネットワークや非営利団体、市民社会グループだ。ウクライナの医療体制は現在ほぼ機能しているが、医薬品へのアクセスや医療物資の供給では依然として課題を抱えている。地元の人びとと連携し、引き続き対応を行っていく。
脚の手術を受けた患者にマッサージを施す<br> MSFの理学療法士=2022年9月 © Hussein Amri/MSF
脚の手術を受けた患者にマッサージを施す
MSFの理学療法士=2022年9月 © Hussein Amri/MSF

避難生活を送る人びとへの移動診療・物資提供

ポーランドへ避難する人びとへの医療援助のため、<br> ウクライナ・ポーランド国境地帯で移動診療を実施<br> =2022年3月 © MSF<br> <br>
ポーランドへ避難する人びとへの医療援助のため、
ウクライナ・ポーランド国境地帯で移動診療を実施
=2022年3月 © MSF

MSFは複数のチームによる移動診療を行い、医療相談、慢性疾患(高血圧、ぜんそく、糖尿病、心臓病、てんかん)のモニタリング、性暴力被害者のケア、心のケア、重症患者の病院紹介などを行っている。特に慢性疾患の患者にとって、治療の中断は健康に深刻な影響を及ぼしかねない。何週間も医療を受けられず、深刻な合併症を引き起こすケースもある。
 
また、MSFは避難した人びとに食料や救援物資を配布している。その多くは同伴者のいない未成年者、高齢者、障害がある人など、最も弱い立場にある人たちだ。
 
一時的被占領地域再統合省との協力の一環として、同省のコールセンター職員に心のケアの研修を提供。このコールセンターは、国内避難民やウクライナ政府の支配地域外に残る人びとのニーズに応えている。

ウクライナ各地でのMSFの活動

MSFはウクライナ全域で主要都市に拠点を置いて活動している。

ウクライナ全域

<物資の搬送>
800トンを超える医療品や救援物資をウクライナに緊急搬送した。
 
<医療列車>
  • ウクライナ国鉄と共同開発した2両編成の特別医療列車(その後段階的に8両編成に増設、短いものも患者家族の移動に活用)で患者のケアに当たった。この医療列車で、多くの患者の対応でひっ迫した前線近くの病院から、遠方で受け入れに余裕のある病院へ患者を搬送した。
  • 基礎的な医療を提供する車両では、50人までの患者を搬送が可能だ。集中治療室の機能を備えた車両もあり、重症の患者にも対応。26人前後の患者を搬送できる。
  • 3月31日から12月19日の間に、2両の列車は2607人の患者と78人の孤児を搬送した。9月末までの患者の43%が外傷患者、10%が集中治療を要する患者だった。
前線近くの病院から遠方へ患者を搬送する<br> 医療列車=2022年5月 © Andrii Ovod<br>
前線近くの病院から遠方へ患者を搬送する
医療列車=2022年5月 © Andrii Ovod

首都キーウとその周辺

  • 7月にキーウで、内務省が運営する病院で理学療法の支援を開始。MSFの理学療法士は医療者へ実地研修を行い、現地の理学療法への対応力を高めている。
  • ホストーメリやキーウ郊外の地域では、心のケアや心理社会面の支援を続けている。
  • 戦争で大きな被害を受けた地域から避難してくる人びとや特につらい経験をした人びとに真っ先に対応することが多い鉄道職員に対し、セルフケアや心理的応急処置に関する研修を実施。
脚の手術を受けた患者のケアに当たるMSFの理学療法士<br> (キーウ)=2022年9月 © Hussein Amri/MSF
脚の手術を受けた患者のケアに当たるMSFの理学療法士
(キーウ)=2022年9月 © Hussein Amri/MSF

ウクライナ中部

  • ウクライナ中部では、医療物資を提供し、医療従事者や救急隊員への研修を実施。
  • クロピウニツキーでは、避難所における救援物資の配布のほか、グループや個人を対象に心のケアも行っている。性別・ジェンダーに基づく暴力の被害者にサポートをより受けやすくするため、産科病院を支援。
  • 冬の始まりには、困難な状況にある家庭にやかんや暖房器具、薪などを提供し、寒い時期を乗り越えるための支援を行った。
避難生活を送る人びとの心のケアの活動を行うMSFの<br> 心理療法士 © Jose Colon Toscano/MSF
避難生活を送る人びとの心のケアの活動を行うMSFの
心理療法士 © Jose Colon Toscano/MSF

ウクライナ南部

  • アポーストロベでは地元の病院と協力し、救急救命室の受け入れ対応力を高めるとともに、多数の負傷者を一斉に受け入れられるよう支援を実施。
  • クリビーリフでは、リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)、心のケア、健康推進など、基礎的な医療を提供する移動診療の運営を開始。
  • 救急車での搬送を実施。クリビーリフ周辺と、へルソン州のウクライナ支配地域の病院や医療施設の間で患者を搬送した。
  • コチュビーフカでは、病院に搬送する前に初期治療を行う容体安定化ポイントを運営。この地域の患者の多くは地雷で負傷した人びとだ。
  • ミコライウでは複数の病院に医療物資等を提供するほか、水と衛生に関する支援を行った。また、数百人の医師や看護師に、患者の重症度、緊急度などによって治療の優先順位を決めるトリアージの研修を行った。移動診療も行い、基礎的な医療や心理カウンセリングを提供した。
  • ミコライウ周辺の農村部の3カ所では、戦闘により心に深い傷を負った人たちがいることから、心のケアの支援も行った。
  • へルソンでは、地域がウクライナ軍に奪還された後に最初の国際NGOとして現地へ入り、主に慢性疾患のある人のケアに当たった。
ヘルソンでの移動診療=2022年11月 <br> © Karin Ekholm/MSF
ヘルソンでの移動診療=2022年11月 
© Karin Ekholm/MSF

ウクライナ北部

  • ハルキウでは患者が相談できるホットラインを運営。継続的な薬のニーズに応えるほか、オンラインで診療・心のケアに応じている。ボランティアが、市内および州内の人びとの家に薬を届けている。
  • ハルキウ市内および近郊で避難民を受け入れている避難所で移動診療を行い、心のケアや、リプロダクティブ・ヘルスなどをはじめとした基礎医療を提供している。ハルキウでは、冬の気候と公共交通機関の不足により、患者が医療を受けられる場所まで移動することが難しくなっている。上気道感染症やぜんそくの悪化など、急性疾患の増加が見られる。
  • ジトーミルでは、結核患者に食料や衛生用品のセットを提供するほか、心のケアを行っている。結核病院に、結核などの薬や検査用品、患者の食事などを提供した。
  • 保健当局と協力し、結核患者と密接に接触した子どもたちの追跡調査を開始した。
ハルキウでは戦闘から逃れる多くの人びとが地下鉄の駅構内に<br> 避難。MSFは移動診療を行った=2022年4月 <br> © Morten Rostrup/MSF
ハルキウでは戦闘から逃れる多くの人びとが地下鉄の駅構内に
避難。MSFは移動診療を行った=2022年4月 
© Morten Rostrup/MSF

ウクライナ東部

  • 戦闘の前線に近い地域や避難先となっている地域で高まる人道ニーズに応えるため、ウクライナ東部での活動を拡大した。
  • MSFは、救援物資を提供するとともに、移動診療を運営して診療を行っている。慢性疾患患者の治療や、重症患者の搬送、ドネツク州とルハンスク州を逃れてドニプロ周辺の約40の避難所にいる人びとへの心のケアなどに対応している。
  • ドニプロでは診療所を運営し、性暴力の被害者へのケアや避妊など、リプロダクティブ・ヘルスにおける支援を実施。SNSを通した情報提供も行っている。
  • ザポリージャでは、マリウポリやその他の地域の激戦地から逃れてきた人たちのために、受付センターや30以上の避難所で移動診療を行い、診療のほか、慢性疾患患者の治療や処方薬の調剤・配薬、重症患者の病院への紹介、心のケア、救援物資の提供などを行っている。
  • 戦闘の前線が移動を続ける中、戦闘地に近い住民が総合的な医療を受けられるよう、MSFは当局と連携して救護所を設置するなどして緊急対応力を高めた。
  • 戦争が続くと心理面への影響が重くなるため、戦闘の前線付近で働く人びとを対象に心のケアを拡大した。
ドニプロの避難所で過ごす子どもとMSFのヘルスプロモーター<br> =2022年6月 © Alexander Glyadyelov 
ドニプロの避難所で過ごす子どもとMSFのヘルスプロモーター
=2022年6月 © Alexander Glyadyelov 
  • ドネツク州の前線に近い医療施設に、物資の提供や研修を行っている。現在は、ドネツク州で唯一の救急病院であるスラビャンスク病院の救急外来への支援に力を入れている。この病院では、小児科の入院・外来部門の支援も行っている。
  • 州内の医療施設に電気や清潔な水を供給するための支援も行っている。
  • ドネツク州とルハンスク州内各地の病院に手術の技術指導など継続的な研修を実施。
  • 救急車による患者の搬送も行っている。ドニプロやポクウロスクからの病院間搬送は、戦闘の激化に伴いニーズが高い。前線近くにある11カ所の病院から、同市内でも比較的離れた場所や鉄道の駅など離れた場所で治療できる医療施設へ患者を移送している。9月までに、400人以上の患者をMSFの救急車で搬送。病院からMSFの医療列車に搬送した患者もいる。
  • ウクライナ東部の多くの病院で、医療物資の提供のほか、負傷者の一斉受け入れに関する研修を実施。これらは、バフムート、ドニプロ、クラマトルスク、マリウポリ、ミルノハラード、オリヒウ、ポクロウスク、ザポリージャの病院で行った。
  • 自宅や地域のスペースに留まって厳しい状況で地下生活を送る人びとを、ボランティアネットワークを通じて支援。慢性疾患の治療や、飲用水、携帯電話や電灯の充電池の提供などを行っている。
東部での戦闘が激化する中、MSFの救急車8台は、前線近くの<br> 病院からドニプロなど遠くの医療施設に患者を搬送し続けて<br> いる =2022年7月 © Natalia Chekotun/MSF
東部での戦闘が激化する中、MSFの救急車8台は、前線近くの
病院からドニプロなど遠くの医療施設に患者を搬送し続けて
いる =2022年7月 © Natalia Chekotun/MSF

ウクライナ西部

  • ビンニツァの避難所で移動診療を運営。慢性疾患の患者の診療や治療の継続支援、薬の提供、重症患者の病院への搬送、心のケア、救援物資の配布などを行っている。
  • ビンニツァではまた、東部の戦闘の前線地域から避難してきた高齢の慢性疾患患者を受け入れるため、医療施設の一部を改修した。
  • 汎用リスト
  • 7月には60床の病院で理学療法の支援を開始。キーウでの活動と同様に、急性期のニーズに対応する現地の能力を高められるよう、臨床での研修や治療を行っている。
  • ウージュホロドとイワーノ・フランキーウシクでは、現地の心理療法士や救急隊員を対象に心のケアに関する研修を実施。また、避難生活を送る人びとに、グループや個人を対象とした心のケアを開始した。
  • イワーノ・フランキーウシクでは、戦争で避難中の医師が運営している、避難民を対象とした診療所を支援。
  • ウージュホロドでは、公共の避難所に滞在している人びとのための移動診療の運営を開始。
  • ウージュホロドやイワーノ・フランキーウシク近隣の農村部で避難している人びとへの支援として、医療施設への物品寄贈や救援物資の配布を行っている。
  • 7月から11月にかけて、ザカルパッチャ州の12カ所で移動診療を展開し、3643件の診療を行った。慢性疾患と呼吸器感染症を患う人びとが多く訪れた。
地雷で右足を失い、理学療法を受ける女性(ビンニツァ)<br> =2022年11月 © MSF/Nadiia Voloboieva
地雷で右足を失い、理学療法を受ける女性(ビンニツァ)
=2022年11月 © MSF/Nadiia Voloboieva

近隣国における活動

2022年、ウクライナから近隣諸国へ逃れた人びとへも医療援助や心のケアを提供した。

ロシア

ベラルーシ

ポーランド

終了した活動

ハンガリー

モルドバ

スロバキア

モルドバに逃れた人びとへの支援。子どもたちの心のケアの活動も=2022年3月 © Peter Bräunig/MSF
モルドバに逃れた人びとへの支援。子どもたちの心のケアの活動も=2022年3月 © Peter Bräunig/MSF

資金・ロジスティクス・人材における対応

資金

MSFの活動は民間からの多大な寄付に支えられている。2022年2月に戦争が激化して以来、世界中で6200万ユーロ(約89億6100万円*)を超える寄付が寄せられた。
 
ウクライナの状況は急速に変化し不確実性が高いため、長期的なプログラム計画や予算を立案することは難しい。戦争が激化した当初から多大な資金援助を受けたため、MSFは多くの個人または法人寄付者に、ウクライナでの活動に特化しない寄付としていただくよう協力を求め、現地のニーズに合わせて柔軟に援助活動を行えるよう努めた。MSFは、現地のニーズに基づいて資金を調達する方針を取っている。
 
2022年のMSFの活動には、約4200万ユーロ(約60億7100万円*)の資金が充てられた(2023年2月時点推計値)。2023年もMSFの活動は続くため、2022年11月までに集まったウクライナ向けの資金に加えて引き続き資金が必要になるが、MSFは特定の地域や活動に使途を限定しない形の寄付を充てる予定だ。

ロジスティクス

ベルギーのMSF倉庫からウクライナに向けて送られる物資<br> =2022年2月 © MSF
ベルギーのMSF倉庫からウクライナに向けて送られる物資
=2022年2月 © MSF
医療機器や医薬品は、MSFのロジスティックセンター(ベルギー・ブリュッセルとフランス・ボルドー)で準備され、近隣諸国を経由してウクライナに入る。
 
2月に戦争が激化して以来、少なくとも2300万ユーロ(約33億2400万円*)相当の医療機器と医薬品をウクライナ向けに手配。主に、経口薬・注射薬、病院の設備、麻酔に必要な機器、包帯、医療キット、安全・保護具、水と衛生に関する物資、理学療法機器、手術用機器などで構成されている。

人材

2023年2月現在、124人の外国人派遣スタッフと686人のウクライナ人スタッフが、現地での援助活動に従事。医療スタッフ(外科医、医師、看護師、心理療法士など)、ロジスティシャン、アドミニストレーター、また、プロジェクトの運営を担うスタッフで構成されている。
 
以下の地域に拠点を置いてチームを展開している。(2023年2月現在)
•東部:ドニプロ、リマン、ポクロウスク、コスチャンティニウカ、クリビーリフ
•南部:ミコライウ、オデーサ、ザポリージャ、コチュビーフカ、へルソン
•北東部:ハルキウ 
•北西部:ジトーミル
•中部:キーウ、ポルタワ、ビンニツァ、クロピウニツキー
•西部:イワーノ・フランキーウシク、リビウ、ウージュホロド
 
MSFはウクライナ全土の病院と連絡を取り合い、ニーズに応じて物資の提供や研修を実施。ウクライナ国内に備蓄していた医療物資はほぼ全て寄贈し、追加の物資を引き続き提供している。
 
*1ユーロ=144.54円で算出
医療列車で活動するスタッフたち=2022年5月 <br> © Andrii Ovod
医療列車で活動するスタッフたち=2022年5月
© Andrii Ovod

現地スタッフの声

戦争が激化して以来、MSFはウクライナ全土で援助を必要とする人びとを支援する活動を続けている。その活動で特に重要な役割を果たしているのが、ウクライナ出身のスタッフたちだ。自らも家を失ったり、将来に不安を感じたりしている。しかし、困っている人を助けたいという強い思いを持って活動に取り組んでいる。

「ここで働くことは、私にとって単なる仕事ではありません」

「私にとってMSFで働くことは、単なる仕事ではありません。他では支援を受けられない本当に困っている人たちを助けることができ、私の人生に価値を与えてくれています。
 
私たちは戦争初期に占領された村の人たちの相談に乗るほか、行政機関や医療機関への連絡調整などの仕事をしています。多くの人が心に傷を負いました。相談者やご家族の悩みを聞いて必要な支援を始めるときに伝えていることがあります。
 
『いまは異常事態なので、ストレスや不安、不眠など、心や体に反応が起きてしまうのは正常なことですよ』と、相手に分かるように説明しています。それが理解されると、より深刻な心の病気の予防につながるのです。
 
MSFでの仕事は、心理療法士としての経験と、人間としての成長の両方をもたらしてくれます。経験豊富な同僚から学び、世界中から来た文化も異なる人たちにも会える。素晴らしいものです」
(2022年5月)
オクサーナ・ビヒウスカ(29歳)<br> 心のケアチームリーダー(在キーウ)<br> ウクライナ・フメリニツキー州出身
オクサーナ・ビヒウスカ(29歳)
心のケアチームリーダー(在キーウ)
ウクライナ・フメリニツキー州出身

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命を救う活動を、どうぞご支援ください。

寄付をする

寄付でできることの一例:
3000円で 基礎医療セット120人分を用意できます。
5000円で 清潔な水を210人に提供できます。
10000円で 32枚の緊急用簡易ブランケットを提供できます。
30000円で シェルター資材を15家族に提供できます。
※外国為替により変動します。
※国境なき医師団への寄付は税制優遇措置(寄付金控除)の対象となります。

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