予防接種

しんぞー先生
しんぞー先生

予防接種(よぼうせっしゅ)は痛いからキライ! そう思っている子はきっと多いよね。でも、予防接種は自分の命はもちろん、周りの人を守るためにも大切なんだ。

予防接種ってなに?

予防接種(よぼうせっしゅ)とは、病気にかからないようにするために、あらかじめワクチンを体の中に入れることです。

ワクチンは、病気の原因となるウイルスや細菌(さいきん)を弱くしたり、無害にしたりしたもの。ワクチンを体の中に入れると、「免疫(めんえき)」という力がつき、体がその病気に対する「たたかい方」を覚えます。すると、次に本物のウイルスや細菌が体の中に入って来たとき、免疫が働いてそれらをやっつけてくれるのです。そのおかげで、病気にかかりにくくなったり、かかっても軽くすんだりします。

予防接種は病気から身を守るために、もっとも効果の高い方法だと言われています。毎年200~300万人の命が、予防接種によって守られているとされています(世界保健機関)。

ブルンジの難民キャンプではしかの予防接種を受ける男の子=2025年4月24日 © Dorine Niyungeko/MSF
しんぞー先生

日本では当たり前の予防接種。でも、世界には予防接種を受けることができなくて、病気が流行したり、多くの命が失われている場所がたくさんあるんだ。

なぜ予防接種を受けられないの?

世界には、予防接種を十分に受けられない子どもたちがたくさんいます。2023年だけでも、世界で1450万人の子どもが一度も予防接種を受けておらず、2100万人の子どもが必要な回数の予防接種を受けていませんでした。

その理由に、紛争(ふんそう)や貧困があげられます。予防接種を受けていない子どもたちの半分以上は、争いが起きていたり、国の仕組みがうまく働いていない地域に住んでいます。そういった場所では、病院や医師の数が少なく、医療(いりょう)を受けることさえむずかしくなっています。

その結果、はしかやジフテリア、髄膜炎(ずいまくえん)、コレラなど、予防接種を受けていれば防げるはずの病気で、たくさんの人びとの命や健康が危険にさらされているのです。

しんぞー先生

コンゴ民主共和国では2022年、はしかにかかった人が30万人をこえ、6000人が亡くなってしまったんだ。パレスチナのガザ地区ではポリオという病気が広がり問題になったよ。どちらも予防接種で防げる病気。でも、接種できないことで、命を落とす人が増えているんだ。

コンゴ民主共和国で、はしかの子どもを診察(しんさつ)する国境なき医師団のスタッフ。コンゴ民主共和国では、はしかの流行が度々起きている=2021年2月20日 © Franck Ngonga/MSF
国境なき医師団がスーダンに設置した病院で、はしかの子どもと共に過ごす母親たち=2025年5月11日 © Thibault Fendler/MSF

国境なき医師団の取り組み

予防接種さえ受けていれば──そんな状況(じょうきょう)を防ぐために、国境なき医師団はさまざまな国や地域にワクチンを届け、予防接種を行っています。戦争や災害などから逃げてきた人びとが集まる難民キャンプでは、病気が広がらないように大規模な予防接種を行うこともあります。

国境なき医師団がチャドで行ったジフテリアの集団予防接種の様子=2024年1月29日 © Johnny Vianney Bissakonou/MSF
予防接種を受けた証明書を手に笑顔を見せるコンゴ民主共和国の子どもたち=2024年6月3日 © MSF
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時にはジャングルの奥深くの村へワクチンを届けることも。どうやって運んでいるのかな? 詳しくは下記を見てね!
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