事務局職員インタビュー

日本から海外へスタッフを派遣 世界中の同僚と国境を越えて共に働く

  • フィールド人事部 HRオフィサー 宍倉 真理子

    これまで自分の直感に従い、人との出会いを大切にキャリアを歩んできたという宍倉真理子。現在はフィールド人事部で、年間約100人のスタッフを世界中の現場へ送り出している。2018年には、ロヒンギャ難民を援助する緊急プロジェクトに参加し、バングラデシュのオフィスで2カ月にわたり働いた。

ワクワクするかしないか、直感で選んできたキャリア

国境なき医師団(MSF)の前に、3つの仕事をしています。1つ目は石油会社で、海外から買い付けた原油を日本に輸送する仕事に携わりました。2つ目は、できたばかりのウイスキーの輸入代理店で、受注からイベント運営まで担いました。3つ目はフリーランスでミュージシャンのブッキングマネジメントをしました。

特に明確なキャリアプランによるものではなく、「ワクワクする」「この人と仕事してみたい」という感覚を大切に、興味を持った仕事を選択してきました。

2011年の東日本大震災がきっかけで、音楽業界でずっと一緒に働いてきた米国人のミュージシャンが帰国することになり、音楽の仕事に区切りをつけることになりました。

音楽業界でスーダンのチャリティソング企画に携わったことをきっかけに国際協力に関心を持ち、たまたまMSFの求人広告を見つけて「これだ」と感じたのです。MSFは以前から知っていて、募集していた総務部の仕事内容は自分の経験を生かせそうだったので、迷いなく応募しました。

MSF入団前は音楽業界でミュージシャンのマネジメントに携わった(本人左)

どうキャリアを築くかを自分で選べるのがMSFの魅力

2013年に総務部の職員として入団しました。オフィスのほぼすべての人と接点があったので、どこの部署がどんな仕事をしているのか、早い内から知ることができたのは良かったです。

2016年に、フィールド人事部でスタッフの海外派遣を担うデパーチャーオフィサーの募集があり、MSFの核とも言える海外派遣スタッフを直にサポートしたいと思い、応募して部署を変わりました。MSFでは、ほかの仕事がしたかったり、より高い職責を目指したりしたければ、募集がかかったときに応募することができます。どうキャリアを築くかを自分で選べるのは魅力です。

また、スキルを磨くために興味のあることを外部機関で学ぶ際も、補助をしてくれたり、上司がアドバイスしてくれたりします。自分のために勉強することが、チームや組織への貢献につながるという考えがあるのです。

同じ思いを共有する仲間と働けることが大きな喜びに

派遣スタッフに航空券やビザを手配し、ワクチンや必要書類のサポートをする業務を担ってきました。MSFでは、欧州に5つあるオペレーションセンターとアフリカにあるオペレーション組織が活動に関する意思決定を行っています。MSF日本のフィールド人事部は、オペレーションセンターや各活動地の首都にある事務所と連携し、スタッフを現地へ派遣するのです。

2020年からは、外科医、産婦人科医、麻酔科医の派遣のマッチングをしています。「ある活動地で、こういう経験を持った医師を、いつからいつまで派遣してほしい」という情報に基づき、MSF日本に登録している医師を探して日程や条件を調整するのです。

欧州や各地の事務所とは時差もあり、情報も複雑なので、調整や確認に時間がかかります。また、スピード感が求められる一方で、雇用契約や付随する手続きの法律に関わる部分は専門家の意見も聞きながらじっくり考え抜く必要もあり、慣れるまでは大変でした。ただ、おおらかなフランス人の上司や、大ベテランのチームメイト、別の国で同じ派遣業務に当たるスタッフにいつも相談でき、一人じゃないという安心感があります。

派遣先から帰国したスタッフから「すごくいい経験ができた」「次もまた行きたい」と言われた時にはとても嬉しく、また頑張ろうと思えます。また、フィールド人事部には現地の活動の情報が多く来るので、MSFのダイナミズムを直接感じられます。

MSFは世界中に38の事務局を持ち、国境を越えて多くの国で活動しているのですが、各国にある事務局も連携し合い、スタッフ同士も「国境を越えて」協力しながら仕事しています。皆が、MSFに貢献したい、困っている人を助けたいと同じ目的を持って働いているので、仕事がうまくいった時は全員でよかったねと共感できるのは大きな喜びです。

スタッフの海外派遣をパリで担うスタッフと

バングラデシュでの業務を通して、MSFの機動力と組織力を実感

2018年、日本の事務局に籍を置きながら海外の活動に参加できる制度を使い、バングラデシュのロヒンギャ難民支援の緊急プロジェクトに、人事や財務を担うアドミニストレーターとして参加しました。首都ダッカにある事務所で、難民キャンプへ行く派遣スタッフのコーディネートをしたのです。

難民キャンプがどんどん拡大しており、人も物も激しく動いている時期でした。のべ数百人のスタッフの飛行機と車の手配や、ダッカでの宿泊所の割り当てなどをしたのですが、渡された携帯電話にはさまざまな人から24時間電話がかかってきて、大変な毎日でした。

ただ振り返ってみると、MSFの機動力と組織力のダイナミズムを目の当たりにする貴重な経験でした。世界中から集った専門家が、現地スタッフと協力しながら、目の前の問題を解決するために働いていました。

いままでは他のスタッフの話や、資料を通して理解していたのですが、今回はMSFがどう現場で仕事しているのかを自分の目で見られたのです。「こんなにすごい組織で自分は働いているんだ」と誇りに思いましたし、「現地はこういう点で苦労をしているんだ」など仕事への理解も深まりました。

バングラデシュの現地スタッフとともに仕事に当たった

積極的であることが歓迎されるMSFには無限のチャンスがある

MSFでは、世界中のオフィスに共通のワーキンググループが多くあり、興味があれば参加できます。私はグローバル人事情報システムのプロジェクトに参加し、トレーニングでブリュッセルへ行ったり、オンラインの定例会議に参加したりして、各国のスタッフと情報交換しています。このような通常業務以外の仕事への参加も奨励されているのです。

また、MSFはオープンな雰囲気で、意見があれば自由に発言することができ、積極的であることが常に歓迎されています。自分はこういうことがやりたいという人にとって、チャンスは無限に広がっていると思います。

事務局職員募集に関するよくあるご質問

Q 語学力はどの程度必要ですか。

原則として、ビジネスレベル(会議で意見を言える、英語で簡単なレポートを書ける程度)の英語力が必要です。

Q 医療・人道援助にまつわる専門性は必要ですか。

募集職種によりますが、入職の段階では必ずしも求められません。しかし、入職後ぜひ興味を持って勉強し、人道援助への理解を深めてください。国境なき医師団では、海外現場から帰国したスタッフによる報告会や、さまざまなレクチャー、外部向け講演会などを催しています。

Q 入職後の研修について教えてください。

オリエンテーション(座学)とオン・ザ・ジョブ・トレーニングを組み合わせた研修が1カ月程度行なわれます。その他、自身のスキルを高めるため、外部研修などに参加できる「自己啓発援助制度」もあります。

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