ジャパン・イノベーション・ユニットとは

活動現場のニーズを見つけて、イノベーションを起こそう。

世界各地で患者の命を守るために、さまざまな困難に立ち向かう国境なき医師団(MSF)のスタッフ。MSFジャパン・イノベーション・ユニット(JIU)は、援助の最前線にいるスタッフが、課題を発見し解決するためのサポートを提供しています。

イノベーションにおける4大原則

人間中心

人びとのニーズや困りごと、幸福を中心に据えたソリューションを開発します。

共創

イノベーションのユーザーや影響を受ける人が、有意義な役割をもって共に開発に関わることを推進します。

体系的なアイデア開発

問題解決するまでの道のりを、論理的かつ体系的な開発プロセスとして導き出します。

失敗は早めに、倫理的に

検証し、失敗し、学び、再挑戦することで、より優れた解決策を生み出します。またアイデアを検証する際は、人道援助の分野で特に発生しがちなリスクを分析し、その軽減に取り組みます。

ジャパン・イノベーション・ユニットの3つの特徴

問題分析

当事者と共に問題に対する理解を深め、極めていく作業を重視しています。イノベーション・ユニットは、これまで様々な問題分析のツールやノウハウを蓄積してきました。

問題の本質を徹底的に分析しなければ、刺激的ではあるけれど現実的ではないアイデアに終始しがちです。問題を共有し分析を進めることで、その援助活動が抱える様々な制約が明確となり、解決策を探ることはさらに困難となるかもしれません。しかしそれこそが生産的なアイデアを生み出す第一歩となります。

批判的考察

イノベーション・ユニットは、より多角的な視点をもってイノベーションに臨みます。人道援助におけるイノベーションでは、実践的かつ倫理的な課題を避けて通ることはできません。JIUでは私たち自身の批判的な考察や、関わりのある有識者の意見を原動力とし取り組んでいます。これにより設計プロセスや解決策を向上させ、ひいては人道的イノベーション分野で大きな成果を提示し得ると考えています。

専門領域

“人道的イノベーション”は、活動、技術、理論など多岐にわたるジャンルです。また、政治的背景や技術、協力者によって、イノベーションのチャンスやリスクは変容します。この分野ならではの多様さを認識したうえで、イノベーション・ユニットでは4つの具体的な分野に焦点を当てています。これらは、メンバーの専門性や東京という地理的利点に基づき設定したものです。

1. データに基づくイノベーション

現場でのデジタルデータ活用を支える

データのデジタル化は、援助活動の効率性や効果を飛躍的に向上させます。責任を持ってデータの共有を行えば、危機的状況に置かれた人びとが抱えるニーズの調査や分析が強化され、支援の質を向上させることができます。一方で、データ収集にはプライバシー侵害のリスクが伴います──紛争や災害の被害者にとって、匿名性が失われれば、身の安全も損なわれかねません。

イノベーション・ユニットは、医療系と非医療系のイノベーターで構成され、国境なき医師団(MSF)の活動現場で上層レベルの調整役を果たした、経験豊富なスタッフが大部分を占めています。私たちのチームは、それぞれの活動現場でデジタルデータを有効活用し、かつリスクを最小限に抑えるための方策を導き出すプロセスを全面的にサポートします。東京を拠点とするイノベーション・ユニットには、地の利もあります。日本は責任あるデータ共有において主導的な立場にあり、促進のために世界の様々なイニシアチブへの支援も行っています。

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2. 物流・調達のシステム

物流・調達システムの改善

万全な物流や調達のシステムがなければ、物資が不足し、すぐさま援助活動に支障をきたします。国境なき医師団(MSF)は援助を必要とする人びとの近くで活動するため、特に現地にたどり着く手前の距離において配達の困難が生じます。現場の近接地は、紛争や避難、インフラの欠如などの理由により、到達が極めて難しい場所であるためです。

イノベーション・ユニットは、人道援助を目的としたサプライチェーン(供給網)の信頼性を高めること、そしてコスト削減に取り組んでいます。MSFの現地活動を支える物流や調達を改善するため、技術的なものと同時に、新たな供給業者や流通ラインといったシステム的なイノベーションの模索においても、サポートを行っています。東アジアという私たちの地理的条件は技術やシステムの革新を追求するうえで大きな利点となっています。

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3. 新生児ケア

新生児ケアの改善に向けたソリューション開発

新生児ケアは長年、リソースや専門的な訓練の不足により、人道援助活動の中で優先されることがありませんでした。そのためこの医療分野には、新たなアイデアによってケアを向上させる余地が大いに残されています。

イノベーション・ユニットは、国境なき医師団(MSF)内の医療部門や小児・新生児ケアの専門家と緊密に連携してきました。双方の専門知識や実践的な経験、さらに当ユニット独自のイノベーションに関する知見を兼ね合わせることは、ソリューション開発に強力な効果をもたらします。このような連携により、MSFのプロジェクト全体にわたる新生児ケアの改善を図っていきます。

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4. 組織・システムの設計

組織の働き方を変える

援助団体が活動する環境は、いま多様化しています。テクノロジーによって生じた新たな可能性や脅威に直面する一方で、政治の先行きは世界的にますます見えづらくなっています。あらゆる変化に取り巻かれた人道団体は、この新たな環境に応じて、自らの組織構造や活動方法を積極的に変革しなければなりません。

組織の改革は、特に難関とされるものです。イノベーション・ユニットのメンバーは、国境なき医師団(MSF)の内外を問わず、活動地と本部において長年にわたる管理・運営レベルの経験を持ち合わせています。これまで蓄積してきた知見に基づいて、組織的な課題を診断し、最善の解決策を見出し、実現させるためのサポートを行っています。

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お問い合わせ

国境なき医師団 ジャパン・イノベーション・ユニット

MSFジャパン・イノベーション・ユニットは、MSFの医療活動に革新的なソリューションのアイデアを提供しています。企業として、あるいは専門家として、私たちのプロジェクトにとって、そしてMSFの患者さんにとって有益なアイデアをお持ちの方は、ぜひご連絡ください。皆さまからの革新的なご提案をお待ちしています。