Special Interviews

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世界から集まったプロフェッショナルが同じ目標に向かって活動する。南スーダン・ベンティウ=2016年撮影 © Amandine Colin/MSF

病床から国際交渉まで
―多彩なプロ集団が可能にする医療・人道援助活動

国境なき医師団(MSF)は、この50年間、さまざまな人道危機に対応してきました。活動現場では高い専門知識や技術が求められますが、MSFは常にそうした専門性を育み、また、高い専門性を持つ人材を数多く惹きつけてきたことで、世界でも有数の医療の専門家集団へと成長してきました。

活動現場にはあらゆる医療ニーズがあります。それら一つ一つに応えていくためには、同じ目標に向かって献身的に活動する多様な専門家が必要です。MSFには、文化や背景も異なる多様なスタッフがいることで、固定概念にとらわれず、直面している課題に建設的に取り組めるのだと思います。また、現場では状況に適応する能力も求められます。

MSFの医療活動の中で、重要な出来事はいくつもあります。1975年、カンボジアから逃れてきた難民に対する隣国タイでの援助活動は、今日のMSFの特徴である、より専門的アプローチと、独自の物資調達システムを確立するきっかけとなりました。また、1999年には、HIV/エイズ患者の多くが高価な治療薬を入手できない問題を受けて、アクセス・キャンペーンを立ち上げ、低価格でありながらも、安全かつ有効なジェネリック薬品の普及を実現しました。

MSFの活動は、患者さんが横たわる病床から政策立案の国際舞台にまで及びます。私たちが声を上げなければ、世界から忘れ去られてしまう危機に瀕する人びとに医療援助を届け続けるため、そして、命をつなぐ薬や医療品を誰もが手に入れることができるようにするため、声を上げ続けることはMSFにとって非常に重要なのです。

photo© MSF

インターナショナル医療コーディネーター
ミリアム・ヘンケンス

1982年から87年にかけ、アフリカやアジアでMSFの援助活動に参加。MSFベルギーの医療部門長を経て、現在はインターナショナル医療コーディネーターとして世界各地にあるMSF医療部門の調整を担っている。1988年に米国のジョンズホプキンス大学で公衆衛生学修士を取得。

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