遺言書を書く ―遺言書の書き方と注意点―

遺贈寄付をするには、法的に有効な遺言書を作成していただくことが必要です。
遺言とは、自分が生涯をかけて築き、かつ守ってきた大切な財産を、最も有効・有意義に活用してもらうために行う、遺言者の意思表示です。
遺言書には、公証役場で書いてもらう「公正証書遺言」と、ご自分で書く「自筆証書遺言」の2種類がありますが、国境なき医師団では、法律的な不備が起きにくいという観点から、公正証書遺言をおすすめしています。

1.公正証書遺言とその書き方

まず、公正証書遺言からご説明します。

公正証書遺言とは

公正証書遺言とは、遺言者が、公証人の面前で、遺言の内容を話して伝え、それに基づいて公証人が、遺言者の真意を正確に文章にまとめ、公正証書遺言として作成するものです。

公証人は裁判官、検察官、弁護士などの法務実務に30年以上かかわってきた人のなかから選ばれ、法務大臣が任命する公務員です。公証人が執務する事務所を公証役場と言います。

公正証書遺言の特徴

作成方法 公証役場で、遺言者が、2名以上の証人の立ち会いのもとで、公証人に遺言内容を口述します。公証人はこれを文章にまとめ、最後に本人、証人、公証人が署名捺印します。
作成場所 公証役場
証人 2人以上の証人の立ち会い
日付 年月日まで記入
署名・押印 本人、証人2名、公証人
印鑑 本人は実印、証人は実印・認印どちらでも可
封印・保管 封印不要。公証役場が原本を保管し(最大20年)、遺言者と遺言執行者が正本、謄本を保管します。
遺言者死亡後の家庭裁判所の検認 不要
執行 家庭裁判所の検認が不要で、速やかに遺言が執行されます。
費用 「手数料(全国共通)」をご参照ください。
長所 公証人は、法律の専門家で、正確な法律知識と豊富な経験を有していますので、方式の不備で遺言が無効になるおそれがありません。また、原本が必ず公証役場に保管されますので、遺言書が破棄されたり、隠匿や改ざんをされたりする心配も全くありません。
短所 手数料がかかります。

公正証書遺言の作成に必要な書類

基本的には以下のものとなりますが、最初の相談にすべてが必要というわけではありません。くわしくは、ご相談先の公証役場にお問合せください。

1. 遺言者本人の確認資料(原則として印鑑証明書と実印)

2. 遺言者と相続人との関係がわかる戸籍謄本

相続人が甥、姪など、その本人の戸籍謄本だけでは遺言者との続柄が不明の場合は、その続柄の分かる戸籍謄本もお持ちください。

3. 受遺者(遺言者の財産の遺贈を受ける者)の住民票

遺言者の財産を相続人以外の者に遺贈する場合は、その受遺者の戸籍謄本ではなく住民票をお持ちください。なお、受遺者が法人の場合は、その法人の登記簿謄本をお持ちください(公に認知されている公益の団体の場合は、不要です。)。

4. 固定資産税納税通知書又は固定資産評価証明書

遺言者の財産に不動産が含まれている場合にお持ちください。

5. 不動産の登記簿謄本

証書に所在・地番等不動産を特定する事項を記載するために必要です。特に、証書中で不動産の特定をしない場合は、不要です。

6. 証人の確認資料

遺言公正証書作成の場合、その場に立ち会う証人2人が必要ですので、その方について、住所、職業、氏名、生年月日のわかる資料をお持ちください。
この証人については、誰でもなれるものではなく、推定相続人、受遺者とそれぞれの配偶者、直系血族等の利害関係人や未成年者等は証人になれません。適当な証人がいないときは、公証役場で証人を手配することもできますので、公証役場にご相談ください。

7. 遺言執行者の特定資料

遺言執行者とは、遺言の内容を実現する者であり、遺言書に原則として記載する必要があります。通常相続人又は受遺者が遺言執行者になりますのでその特定資料は不要ですが、それ以外の方を遺言執行者とする場合は、その方の住所、職業、氏名、生年月日が確認できる資料をお持ちください。

手数料(全国共通)

出典:日本公証人連合会ホームページ新規ウィンドウで開く
目的の価額 手数料
100万円以下 5000円
100万円を超え200万円以下 7000円
200万円を超え500万円以下 11000円
500万円を超え1000万円以下 17000円
1000万円を超え3000万円以下 23000円
3000万円を超え5000万円以下 29000円
5000万円を超え1億円以下 43000円
1億円を超え3億円以下 4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額
3億円を超え10億円以下 9万5000円に超過額5000万円までごとに1万1000円を加算した額
10億円を超える場合 24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算した額

2.自筆証書遺言とその書き方 

遺言とは、自分が生涯をかけて築き、かつ守ってきた大切な財産を、最も有効・有意義に活用してもらうために行う、遺言者の意思表示です。
遺言は、遺言者の真意を確実に実現させる必要があるため、厳格な方式が決められており、その方式に従わない遺言はすべて無効になってしまうのでご注意ください。(日本公証人連合会ホームページ新規ウィンドウで開くより)

自筆証書遺言とは

自筆証書遺言とは、遺言者が基本的にすべて一人で自筆し、作成する遺言書です。

自筆証書遺言の特徴

作成方法 遺言者が、遺言書の内容に加え、捺印日および氏名まで一人で自筆し、作成します。ただし、財産目録は手書きでなくてもよく、その際は別紙にて用意し、一枚ごとに署名・押印するとともに、遺言書との一体性がわかるようにしておく必要があります。
作成場所 決まりはありません
証人 不要
日付 年月日まで記入
署名・押印 本人のみ
印鑑 実印・認印・拇印のいずれも可
封印・保管 法務局の遺言書保管制度を利用する場合 法務局の遺言書保管制度を利用しない場合
遺言者本人が遺言書を作成し,管轄の法務局(遺言書保管所)に申請の予約をした上で,直接本人が出向いて保管を申請します。 保管方法は特に決まっていませんが、遺言者の死後、確実に発見されることが必要です。
遺言者死亡後の家庭裁判所の検認 不要 必要
執行 家庭裁判所の検認が不要で、速やかに遺言が執行されます。 家庭裁判所の検認を受けた後、遺言が執行されます。
費用 手数料がかかります 不要
長所

紛失・亡失を防ぐことができます。

  • 自宅で保管すると紛失・亡失するおそれがあります。
  • 遺言者の死亡後,発見されないおそれがあります。

他人に遺言書を見られることがありません。

  • 他人に見つかった場合,勝手に開封されてしまうおそれがあります。
  • 他人に破棄されたり,改ざんや隠匿されるおそれがあります。

相続人や受遺者等の手続が楽になります。

費用がかからず手軽
短所

法務局への保管申請に費用がかかります。
(手数料は法務省ホームページ新規ウィンドウで開くで確認または保管先の法務局にお問合せください

  • 例:遺言書の保管申請1件3,900円(東京都法務局))
法令上の要件を満たしていなかったり,内容に誤りがあると無効になります。遺言書が発見されないことや、偽造、改ざん、廃棄などの恐れがあり、トラブルを招くことがあります。

自筆証書遺言の記載例

遺産からの寄付の方法や注意点などをご説明した資料をご用意しています。

パンフレットに掲載されている内容は以下の通りです。(一部)

  • 国境なき医師団とは?
  • 遺贈寄付までの流れ
  • 公正証書遺言とその作り方
  • 自筆証書遺言とその書き方
  • 遺贈Q&A

お問い合わせ

国境なき医師団 遺贈寄付ご相談窓口

遺贈寄付専任スタッフがお手伝いします。

国境なき医師団には、幅広い知識と相談経験豊富な専任のスタッフがいます。
遺言書の書き方から、手続き上のことまで、遺贈のことなら何でも、お気軽にご相談ください。