海外派遣スタッフの声

初回派遣から時を経て、再び活動地へ:岩川 眞由美

ポジション
小児科医
派遣国
南スーダン
活動地域
ヤンビオ
派遣期間
2014年6月~2014年12月

MSFの海外派遣に再び参加しようと思ったのはなぜですか?また、今回の派遣を考えたタイミングはいつですか?

初めてMSFの活動に参加したのは1998年の中国のプログラムでした。そこから約15年間は日本の病院に勤務していましたが、日本で勤務している間にも、ずーっとMSFに参加する「希望」を持っていました。60歳になった時、今後の体力を考えて、これ以上は先延ばしにできないと思いました。今回の派遣については、「海外派遣は1年のうち6ヵ月」という自分の原則と、「(東京・浅草出身なので)5月中旬の浅草三社祭は自宅で」という自分の条件でタイミングを図りました。

派遣までの間、どのように過ごしましたか? どのような準備をしましたか?

英語力維持のため、アメリカの友人宅で3週間すごしました。また、MSFのトレーニングで「栄養不良児に対する治療」について勉強しました。前回、イラクへの派遣の準備期間には、長崎大学熱帯医学研究所の短期研修を受けました。

過去の派遣経験は、今回の活動にどのように活かせましたか? どのような経験が役に立ちましたか?

過去の派遣経験から、「自分で決めた定期的運動や勉強の繰り返しが作る生活ペース」「コミュニケーションを徹底的に図ること」の重要性を学びました。異なる文化や環境の中での生活や、多国籍スタッフとの共同生活は、大変なのではと思われるかもしれませんが、この二点を守ることで、とても楽に過ごせました。

今回参加した海外派遣はどのようなプログラムですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?

南スーダンの西エクアトリア州・ヤンビオにある、MSFの地域中心的医療を行う病院で、小児科を担当しました。主な疾患はマラリア、肺炎などでした。比較的大きなプログラムで、海外派遣スタッフはおよそ14人で、現地スタッフは200人近く働いていました。

派遣先ではどんな勤務スケジュールでしたか? また、勤務外の時間はどのように過ごしましたか?

ヤンビオの病院で治療にあたる筆者(左) ヤンビオの病院で治療にあたる筆者(左)

朝7時に宿舎を出発し、徒歩で病院へ通っていました。3kmほどの通勤です。夜勤を担った現地の医療スタッフから引き継ぎを受け、昼1時まで病棟で診療、その間、緊急患児や、特別な患児の診療を外来で行いました。昼食のため、いったん宿舎に帰り、午後2時から、また同様の業務です。夜間は、緊急患児や重篤化した患児の診療のため、オンコールで毎日対応しました。また、産科での新生児管理も担当しました。

月曜から土曜の6日間勤務し、基本的に日曜日がお休みでした。朝、仲間とジョギングし、洗濯や昼ごはん作り、あるいは市場に買い出しに行きました。一緒にバドミントンやパーティーもしました。

現地での住居環境についておしえてください。

トゥクルと呼ばれるわらぶきの家に各自が個室で住んでいました。部屋には、蚊帳がつってある小さなベッドと机があります。共通のトイレとシャワーもありました。

活動中、印象に残っていることを教えてください。

現地のスタッフとともに 現地のスタッフとともに

ヤンビオに住む部族の人びとは明るく優しく、毎日の生活の中で喜びを見つけて、家族を大切にして暮らしています。そして、「死」を自然の一部として、受け入れているのが印象的でした。

緊急で運び込まれた場合は別ですが、治療中や治療後に容態が悪化した時、「蘇生」医療は、ご両親から拒否されることが多かったです。「先生、もうこの子は、神様に愛されています。先生には感謝しています。でも、もうやめてください。ありがとうございました」と言って、お子さんを大切に抱えてお家に帰って行かれました。私は、悲しさと自分の不甲斐なさで胸がいっぱいでした。医師として、医療の限界と「謙虚であること」の意味を思い知りました。

今後の展望は?

MSFで活動し続けることはもちろんですが、前回、今回と2回続けて英語を主要言語として使うプログラムでしたので、次回は、フランス語を使うプログラムに参加したいと思いました。当然、活動地の国も変わりますし、プログラムを運営している5つのオペレーション・センター(※)によるプログラムの進め方の違いも経験したいと思っています。フランス語を勉強しています。

  • MSFのプログラムは、フランス、オランダ、ベルギー、スイス、スペインの5ヵ国にある5つのオペレーション・センターが運営しており、それぞれが現地のニーズに基づいて必要な職種を世界各国のMSF事務局へ連絡しています。各事務局のフィールド人事部が、最適なスタッフをオペレーション・センターへ推薦します。

今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス

「海外派遣」に応募することも「実際に海外で活動すること」も、現在の日本での日常を捨てて、自分で決めて自分で実行するわけです。ジャンプするのなら、思い切り良く、高くジャンプしてください。

MSF派遣履歴

派遣期間
2013年8月~2014年2月
派遣国
イラク
プログラム地域
ナジャフ
ポジション
小児科医
派遣期間
1998年1月~1998年6月
派遣国
中国
プログラム地域
広西チワン族自治区
ポジション
外科医

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