海外派遣スタッフの声

マラウイでHIV/エイズの長期プログラム: 酒匂赤人

ポジション
内科医
派遣国
マラウイ
活動地域
チラズル
派遣期間
2010年5月~11月

なぜ国境なき医師団(MSF)の海外派遣に参加したのですか?

以前から国際協力に関心があり、医師になった理由の1つでもありました。周りにMSFに参加したことのある人が何人かいてなじみがあること、いろいろな国の人と働けること、医療以外の部門も充実していること、ある程度大きな規模のプロジェクトを運営していることなどから、MSFに応募しました。

今までどのような仕事をしていたのですか? また、どのような経験が海外派遣で活かせましたか?

都内の病院で研修医を2年間、消化器内科医を7年間していました。その後1年間大学院で保健衛生学修士課程を修了しました。消化器内科の専門性は特に活かせませんでした。何でも自分でできる必要はないと思いますが、大体のことを自分で判断できる程度の臨床経験があれば、現地では十分な気がします。専門家ではありませんが、HIV/エイズや結核はある程度経験があって基本的なことを知っていたため、役に立ちました。

英語はあまりできないので苦労しましたが、バックパッカーとして発展途上国中心に20ヵ国以上行ったことがあり、現地の状況を受け入れて仕事や生活の環境に適応するには、あまり問題ありませんでした。

今回参加した海外派遣はどのようなプログラムですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?

カウンセラーと一緒に患者を診察。

MSFが15年前から行っているHIV/エイズの長期プログラムで、十数人の外国人派遣スタッフ、約200人のマラウイ人現地スタッフが働き、郡病院と10ヵ所の医療施設で保健省のスタッフと一緒に、約2万6000人のHIV/エイズ患者を主な対象に医療を提供していました。外国人派遣スタッフには、医師、看護師、助産師、薬剤師、検査技師、ロジスティシャン(物資調達、施設・機材・車両管理など幅広い業務を担当)、アドミニストレーター(財務・人事管理責任者)、疫学者などがいました。
僕のポジションは病院のHIV/エイズクリニックと結核病棟の医師で、主に保健省の臨床スタッフのスーパーバイザー兼マネージャーとして働いていましたが、通訳と一緒に自分で直接患者さんを診ることもありました。

週末や休暇はどのように過ごしましたか?

週末の休みにマラウイ湖へ。

土日は基本的に休みだったので、仕事や調べ物をしたり、インターネットで日本のニュースを読んだりメールをしたり、バレーボールやバーベキューをしたり、地域を歩き回ったり、車で30分かけて大きな町に買い物に行ったりしていました。月1回くらいのペースで山や湖にも出かけました。

3ヵ月働いたところで1週間の休みをもらえたので、隣国のモザンビークに行きました。活動終了後にはザンビア、ジンバブエ、ボツワナへ、パリでのデブリーフィング後にはスペインに行きました。

現地での住居環境についておしえてください。

治安は比較的安定していたので安心して暮らせましたが、外国人派遣スタッフはオフィスや病院から徒歩10分くらいのところに、警備員つきの3つの家に分かれて住んでいました。昼食はコックが、夕食はみんなが交代で作りました。掃除や洗濯は清掃担当がしてくれました。個室が与えられ、部屋によってはトイレや温水の出るシャワーや扇風機もついていました。ベッドはもちろん感染症予防のため蚊帳つきです。インターネットのスピードは遅いのですが、仕事が終わった後か週末にオフィスでできました。ほぼ毎日数時間停電していました。田舎なので、食料などの買い物は週末に大きな町まで行きました。ただ、派遣前にはかなり劣悪な住環境を覚悟していたため、快適に暮らせました。

よかったこと・辛かったこと

日本と異なる環境で、さまざまな国から来た人と生活をして仕事をしたことは、旅とはまた異なり、非常によい経験になりました。欧米にはほとんど行ったことがなかったので、現地のマラウイ人よりも欧米人スタッフのほうが自分にとっては興味深く、いろいろな発見がありました。日本ではあまりないマラリアやHIV/エイズの診療を経験し、勉強できたことはよかったです。結核病棟で診ていた患者さんが、元気になって外来に来ているのを見ると達成感がありました。あと、仕事でも生活でも英語がもうちょっとできたら、コミュニケーションに苦労しなかったかなとは思います。

派遣期間を終えて帰国後は?

自分にとって非常によい経験で、やりがいもあり、いずれまたMSFの活動に参加したいと思っていますが、家族のこともあり、数年は日本で働こうかと考えています。

今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス

とにかく英語はできるにこしたことはないと思います。できないなりに何とかする能力も大事だと思いますが。海外での経験は、どこの国でも旅でも留学でも何でも、あったほうがよいでしょう。

熱帯病を日本で経験する機会はあまりありませんが、結核やHIV/エイズは日本でも診ることができて途上国でも重要なため、そういった病院で経験を積むのもよいかもしれません。小児科や産科や性行為感染症も内科医として働くうえでは重要だと思います。

海外派遣スタッフということで奉仕の精神は大事ですが、それだけではなく、貴重な経験をしたり海外生活を楽しんだりと自分のために参加すると考えたほうが、ストレスにも対処しやすく、活動もうまくいくのではないでしょうか。

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