海外派遣スタッフの声

緊急対応!シリアで地雷や仕掛け爆弾の被害者を治療:真山 剛

ポジション
救急専門医
派遣国
シリア
活動地域
ラッカ
派遣期間
2017年11月~2018年2月

国境なき医師団(MSF)の海外派遣に再び参加しようと思ったのはなぜですか?また、今回の派遣を考えたタイミングはいつですか?

以前MSFの同僚から「MSFの活動を理解するには複数回現場を経験する必要がある」と言われたのが心に残っており、今後もMSFと関わって行くかどうか、その判断を下すうえでもう一度チャレンジしようと決心しました。

派遣までの間、どのように過ごしましたか?どのような準備をしましたか?

前回、イラクの活動で書いた通り、勤めていた病院を退職し、バックパッカーとして世界を旅していました。半年のブランクで医師としてはギャップができましたが、そのぶん、海外のどこでも生活できる鈍感さを身につけました。

過去の派遣経験は、今回の活動にどのように活かせましたか?どのような経験が役に立ちましたか?

前回の派遣地がシリアの隣国イラクだったため、現場の情勢や基本的な医療レベルを把握するのに時間はかかりませんでした。とはいえ、仕事量や住居環境は別次元であり、前回の派遣がいかに恵まれた環境であったかを思い知りました。

今回参加した海外派遣はどのようなプロジェクトですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?

戦闘で破壊されたラッカの町に民間人が戻り始めた 戦闘で破壊されたラッカの町に民間人が戻り始めた

2017年10月下旬に、過激派武装組織「イスラム国(IS)」より解放されたシリア北部のラッカで、救急診療所(ER)と外来診療所(OPD)を設立するという緊急援助活動でした。

場所の選定、敷地のレイアウト、医療用品の搬入、現地スタッフの採用から始まり、実際に患者を受け入れるまで約1週間かかりました。自分は現地スタッフの指導と緊急・重症患者の対応を担っていました。ERはレントゲンもない簡素な施設ですが、毎日多数の地雷傷病者を含めた重症患者の初期対応をし、2時間かけて後方病院へ搬送しました。同時に、隣接するOPDでは毎日約200人の患者を現地スタッフが診察しており、その指導も行いました。

派遣先ではどんな勤務スケジュールでしたか?また、勤務外の時間はどのように過ごしましたか?

毎朝行われるERのチーム・ミーティング 毎朝行われるERのチーム・ミーティング

朝7時にERでチーム・ミーティングがあり、そのまま夕方6時まで急患対応をしていました。その後は宿舎で事務仕事を行い、夜の10時には就寝するようにしていました。

派遣当初は外国人の医療スタッフが自分のみで、毎晩のオンコールもあり想像以上の激務でした。途中から外国人スタッフが急増し、最終的には医師3人と看護師2人でERとOPDを管理することになり、かなり楽になりました。

ERは無休のため、定期的な休みはなかったものの、休暇制度を利用して3日間ラッカから離れ、トルコ国境の街でリラックスしました。こちらは同じシリアでも住居環境が格段に良く、宿で映画を見たりカードゲームをしたり、夢のような3日間でした。

現地での住居環境について教えてください。

緊急プロジェクトということもあり、あまり快適ではありませんでした。ヒーターのない部屋を4人でルームシェアし、トイレは屋外にアラブ式が1つあるのみ。宿舎がオフィスを兼ねていたので仕事のオン・オフがはっきりしませんでした。途中で新しい宿舎に引っ越してからは、ヒーターも備わり若干快適にはなりましたが、何度か体調を崩してしまいました。

活動中、印象に残っていることを教えてください。

緊急対応の嵐が去った後のER 緊急対応の嵐が去った後のER

印象に残ったのはやはり、ISが残した地雷や仕掛け爆弾で負傷した患者です。多くはラッカに戻って来た民間人です。自分の活動期間中に300人以上の地雷負傷者を診察しましたが、約50%は緊急手術を要するため後方病院へ搬送、15%は即死、5%はERで看取りました。

お茶仲間だったMSFの現地スタッフも、休日にがれきを片付けようと旧家に戻った際、地雷で命を落としました。

ある朝、一家全員が地雷の被害で搬送されてきました。残念ながら母親は即死、父親は片足がなく即搬送、幼い子ども3人は幸い軽症でしたが、両親のことで混乱しきっていました。夕方になり、幸い彼らの面倒を見てくれる人が見つかりましたが、その後彼らがどうしているのか、父親は助かったのか、心配でなりません。

今後の展望は?

財布と相談のもと、またバックパッカーとして旅しながら、今後のプランを考えたいと思います。ただし、自由時間は最長2年と決めているので、2019年には日本に戻る予定です。

今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス

メディアのインタビューを受ける機会も メディアのインタビューを受ける機会も

派遣中に体調を崩してしまった時は、1人で抱え込まず、早めにチームに伝えましょう。僕は薬を片手に仕事を続けた結果、どんどん体調が悪化し、2週間後にはベッドから出られなくなってしまいました。R&Rをもらったことで幸い体調も徐々に回復し、普段のパフォーマンスに戻りました。

日本人の悪い癖か、なかなか「休みたい」と言い出しづらかったのですが、結果的には早く休暇を取れば良かったと後悔しています。どのような場所にいようと、自分の体あっての仕事だということを忘れないで下さい。

MSF派遣履歴

派遣期間
2016年8月~2016年11月
派遣国
イラク
活動地域
スレイマニヤ
ポジション
救急専門医
派遣期間
2016年6月~2016年8月
派遣国
リビア
活動地域
ポジション
救急専門医

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