特集 シリア内戦10年 【動画】追いつめられる市民 安全な場所はどこにもない
- 学校、市場、そして命綱である病院さえも──。内戦が激化するに伴い、シリアでは市民の暮らす地域までもが攻撃の対象となりました。
- 多くの思い出が詰まっている家を離れて他の地域へ移っても、治療を求めて病院に駆け込んでも、安全が保障されることはありません。そんな中、何とか生き延びてきたシリアの人びとの叫びを聞いてください。
故郷を離れるということ
アナスさんが生まれ育ったのは首都ダマスカス近郊、東グータ地区。2018年に政府軍と同盟国による激しい攻撃が続き、多くの市民が犠牲となりました。当時人びとに与えられた唯一の選択肢は、「故郷からの退避」。アナスさんが、そのときの苦悩を振り返ります。
一番つらかったのはバスに乗った瞬間です。自分の人生の全てを過ごした故郷からの退避が現実となったからです
アナス・カルブトゥリさん(写真家)
がれきと化した病院
反体制派が統制する地域では、「テロとの戦い」の名の下、病院や医療者が政府軍などからの攻撃の対象になっています。MSFが支援する病院も例外ではありません。2016年、サウード医師が目にしたのは、がれきの山となった病院、そして患者や同僚の死でした。
この町で病院へ行くと、治療どころかケガをしたり、殺されたりする恐れがあります。医療者も危険を承知で働いています
マゼン・サウードさん (医師)
たとえ自宅に残っても
反体制派の「最後の砦」といわれる、北西部イドリブ県。多くの人が安全を求めて町を去る中、風刺画家のアマニさんは、障害のある母とともに自宅に残り、創作活動を続けています。ここでの暮らしは、常に緊張に満ちていると語ります。
心の中では周囲の騒音にいつもおびえています。バイクの音は「ミサイルかも」と思ったり、大きな音だと「爆発かも」と……
アマニ・アリさん (風刺画家)