海外派遣スタッフの声

短期の派遣でもやりがいを実感:矢嶋知己

ポジション
外科医
派遣国
ナイジェリア
活動地域
ポートハーコート
派遣期間
2009年6月~2009年7月

なぜMSFの海外派遣に参加したのですか?

現在40歳ですが、初めて、国境なき医師団(MSF)を知ったのは、医学生の時でした。新聞・テレビなどの報道でその活動内容を見聞きし、憧れに似た感情を抱いていました。国境なき医師団がノーベル平和賞受賞した1999年、私は一般外科医として修練していました。MSFの活動がさらに広がっていることを知り、いつか一般外科医として活動に参加したいと考えるようになりました。一般外科医として、ある程度、自信を持てるようになった昨年、世界で医療を受けられず困っている人々の役に立ちたいと思い、MSFの海外派遣に応募しました。

今までどのような仕事をしていたのですか? また、どのような経験が海外派遣で活かせましたか?

テメ病院の正面。100床を越える外傷患者のための救急病院。

札幌市および札幌市近郊の病院で、外科医として働いてきました。腹部の手術が専門で、癌の患者さんを診察することが多いです。活かせた経験については、さまざまな国から派遣された多くのスタッフとの共同生活だったため、学生時代競技スキー部で仲間と一緒に過ごした合宿生活の経験が大いに役に立ちました。もちろん、専門職としての外科医のさまざまな経験は、患者さんを診療する上で大事な部分だったと思います。

今回参加した海外派遣はどのようなプログラムですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?

ナイジェリア南部のポートハーコート市で、紛争、暴力、事故などで傷ついた人びとの治療をするプログラムです。人口が100万人を超える大都市でしたが、治安がとても悪く、また多くの住民が貧困で苦しんでいるため、多数の患者さんが治療費無料のMSFのテメ病院外傷センターに集まってきていました。具体的には、銃で撃たれたり、ナイフで刺されたり、交通事故などで傷ついた重症患者さんの治療で、一日の多くの時間は手術室で患者さんに向き合っていました。

週末や休暇はどのように過ごしましたか?

「週末は、仲間とリラックスした時間を過ごすことができました」

4週間と短い滞在期間だったため、休暇はありませんでした。週末は、病院帰りにスーパーマーケットに好きな食べ物を買いに行ったり、宿舎の近所のレストランに食事に行ったり、リラックスできる時間がありました。特に印象に残っているのは、6月末で交代する海外派遣スタッフのための歓送迎パーティーでした。宿舎2棟の間のスペースで開かれ、多くのナイジェリア人の現地スタッフと一緒に楽しみました。

現地での住居環境についておしえてください。

バストイレ付きの十分に広い部屋で、蚊帳付きベッド、扇風機、シーリングファンと、とても恵まれたものでした。個室でプライベートは保たれ、夜間は自家発電機で常時発電され、ほぼいつも電気が使える状態でした。洗濯、掃除はハウスキーパーさんが、昼食と夕食はコックさんが作ってくれたため、ハードな仕事のあとも、気持ちよく余暇の時間を過ごすことができました。

良かったこと・辛かったこと

宿舎の部屋。「蚊帳の中で休みますが、
なぜか、いつも虫に刺されていました」

良かったこと

  • 多くの患者さんの治療・手術を行って、少しでも現地の患者さんたちの役に立つことができたと実感できたこと。
  • 「困っている人たちを助けたい」という同じ気持ちを持ち、世界中から集まった海外派遣スタッフと出会い、一緒に仕事ができたこと。
  • とても陽気で仕事をきっちりやり遂げる、多くのナイジェリア人の現地スタッフと楽しく仕事ができたこと。

辛かったこと

  • ナイフで全身を10ヵ所以上深く刺された出血多量の患者さんが、手術後、手に入りにくい血液型だったため輸血する血液が足りず、亡くなったこと。
  • 北海道で生まれ育ち、札幌という涼しい土地に普段暮らしているので、ナイジェリアの暑さには本当に参りました。毎日汗だくで何度も手術着を着替えましたが、あせもができました。

派遣期間を終えて帰国後は?

最終日に手術室で看護師と記念撮影。「とても陽気で、
チームワークがすばらしいスタッフでした」

MSFの派遣に際し、働いている札幌道都病院から休職として快く送り出していただけたので、帰国後もすぐに仕事を再開しました。忙しい毎日に戻り、ポートハーコートのことをなかなか思い出す時間がなく、もう早、遠いことのように感じています。機会があれば、これからもMSFの活動に参加し続けたいと思っています。

今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス

短期間の派遣でしたが、多くのすばらしい人びとに出会うことができ、かけがえのない友人もできました。派遣までの過程を考えると尻込みしてしまいますが、勇気を持ってぜひ一歩踏み出してください。MSFの活動に参加したいと熱意を持って周りの人に伝えたら、みんなサポートしてくれますよ。