海外派遣スタッフの声

活動を通じて、やりがいを再確認:塩澤 幹雄

ポジション
外科医
派遣国
イエメン
活動地域
アルカイダ
派遣期間
2016年2月~3月

国境なき医師団(MSF)の海外派遣に再び参加しようと思ったのはなぜですか?また、今回の派遣を考えたタイミングはいつですか?

2年前のパキスタン、フィリピンへの派遣経験が大変いい経験だったのですが、同時に「ほかのMSFのプロジェクトも楽しいものなのか?もう一度行って結論を出したい」と思っていました。

2015年末、幸運にも現在の職場で外科医が増員となり人的余裕ができたのですが、今年4月からの異動が決まったので、年末、異動前のこの時期を逃しては二度と行けないかもしれない、と考え、派遣の意思を事務局へ伝えました。

派遣までの間、どのように過ごしましたか? どのような準備をしましたか?

英語はBBCニュースなど、Podcastを利用して移動時間に聞いたり、アメリカ人の友人にレッスンをしてもらったりしました。また、産婦人科の先生にお願いして、帝王切開があれば助手をさせてもらいました。現地は厳しい環境にあることは理解できていましたので、ジムに行って身体を鍛え、あとは、地味ですが虫歯の治療も済ませました。

過去の派遣経験は、今回の活動にどのように活かせましたか? どのような経験が役に立ちましたか?

2014年にパキスタンに外科・産科プロジェクトとして1ヵ月、フィリピンへ台風被害に備えて10日間派遣されました。パキスタンでは多くの帝王切開を経験したので、わずかですが自信が持てました。また、MSFの活動の中ではどのように病院などが運営されているか把握できていたので、余計な心配もせずに済みました。

今回参加した海外派遣はどのようなプログラムですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?

タイズから患者が救急車で搬送されてくる タイズから患者が救急車で搬送されてくる

イエメンの紛争は国内の宗派対立と政治的対立が組み合わさり、さらに武装勢力や、サウジアラビアなど外国の存在も要因に加わって複雑になっています。サウジアラビア主導の連合軍が行っている空爆では、多くの一般市民が犠牲になっています。

今回のプロジェクトは、イエメンのタイズで一般市民への被害が増大したために、新たな病院プロジェクトとして2016年2月から立ち上げられました。日本人外科医の渥美智晶医師が2016年1月からこの病院プロジェクトの準備に尽力し、自分はその後任として入りました。赴任時にはタイズからの患者搬送が始まっており、到着当日から銃創患者に対する開腹手術がありました。

空爆で負傷しタイズから搬送された乳児の治療にあたる 空爆で負傷しタイズから搬送された乳児の治療にあたる

病院では、MSFから派遣されたポルトガル人のプロジェクト・コーディネーター、スイス人の看護部長、カナダ人のロジスティシャン、ポーランド人のアドミニストレーター、アルジェリア人の麻酔科医、メキシコ人の手術室看護師、同じくメキシコ人の救急担当医、ニュージーランド人の救急担当看護師らが、多くのイエメン人スタッフと協力して病院を運営していました。イエメン人スタッフとは現地通訳が英語からアラビア語に通訳して意思の疎通を図っていました。

午前8時から病棟回診・処置が始まり、それが終わり次第、予定手術を開始しました。イスラム教の国でしたので金曜日には予定手術を入れないようにしましたが、実際にはいつも緊急手術が入っていました。手術が終われば、夕方に回診をしてスケジュールは終了です。

派遣先ではどんな勤務スケジュールでしたか? また、勤務外の時間はどのように過ごしましたか?

やけどの患者さんに対応する筆者 やけどの患者さんに対応する筆者

緊急患者に手術が必要と判断されれば時間にかかわらず手術となりますので、時間があるときに病院内の宿舎で食べているか寝ているかして、体力を温存していました(若くもないので……)。慣れない腱縫合や骨折の患者も多く、宿舎で勉強も必要でした。

現地での住居環境についておしえてください。

病院内の職員住宅を改装した住居をあてがわれたので、快適に過ごすことができました。食事も、料理担当のスタッフが作るチキンライスやシフォンケーキは絶品でした!

手術室のエアコンが壊れており、汗だくでの手術となり、手術の途中で水分補給をする必要がありましたが、おかげでやせました。

活動中、印象に残っていることを教えてください。

社会的・個人的な制約がある中でチャンスを見いだして行けた活動であり、家族や職場など周囲にも迷惑をかけていましたので「次の機会は無いかもしれない」と考え、精一杯やると同時に楽しもうと思っていました。ハードな内容でしたが実際に楽しめました。家族、職場の同僚にはとても感謝しています。

今後の展望は?

活動に行く前の「ほかのMSFプロジェクトも楽しいものなのか?」という疑問についてですが、イエメンでの活動を終えた後の結論は「やはりMSFの活動はやりがいがあり、楽しい(◎)。」というものでした。

今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス

銃創の手術をした患者さんが無事に退院 銃創の手術をした患者さんが無事に退院

1ヵ月の活動がどの程度イエメンの人びとに寄与するかは分かりませんが、まずは悩む前に行動する「百考は一行にしかず」ということで、良かったと思います。自分のために行ってみてはどうでしょうか?

職場、家庭の環境が整えるための努力が必要ですが、苦労に見合う楽しみがあると思います。

MSF派遣履歴

派遣期間
2014年12月
派遣国
フィリピン
活動地域
レイテ
ポジション
外科医
派遣期間
2014年9月~2014年10月
派遣国
パキスタン
活動地域
ハングー
ポジション
外科医