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海外派遣スタッフの声

仲間と励ましあい、傷ついた人びとを治療: 田辺康
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- イエメン
- 活動地域
- アデン
- 派遣期間
- 2012年5月~2012年6月
なぜ国境なき医師団(MSF)の海外派遣に参加したのですか?
MSFは医療に特化したNGOです。医師は多くの症例に恵まれ、日本とは大いに異なる環境の中で医療を実践できますね。非日常の中で、より良い医療のために純粋に頑張る期間を持てるはずです。私にはこのチャンスがものすごくありがたいことと思えます。
今までどのような仕事をしていたのですか?どのような経験が海外派遣で活かせましたか?
日本の外傷センターに勤務しています。外傷医療には、外科系総合診療とでも言うべき広い守備範囲が要求されます。この専門性(メスが好きな何でも屋)はMSFの外科系の活動では大いに活きたと思います。
今回参加した海外派遣はどのようなプログラムですか?どのような業務をしていたのですか?

イエメン南部の町・アデンで、2012年4月から、MSFが外傷センターの運営を開始しました。そのきれいで素敵な病院に外科医として赴任しました。医療援助を行うMSFが受け入れられる範囲として、アデン内からは銃で撃たれた患者のみ、近隣の町からは銃創以外にも外科的治療を要する患者すべて、という基準を設けていました。そのほかの患者は、現地の病院で受け入れていました。
具体的には、地元の2人の外科医と一心同体となり、44日間で276例の手術を行いました。新患手術の60%が銃、16%が爆発の犠牲者。50%が骨折を伴い、96%は臨時手術、10%が致死的重症患者でした。朝から晩まで医療づけで、医者冥利に尽きる日々でした。
週末や休暇はどのように過ごしましたか?

現在のアデンは治安が悪く、病院からの外出は厳密に制限されています。私は特に希望も無かったですから、46日間ずっと病院に寝泊まりして、1歩も外に出ませんでした。金曜日がアラブの休息日ですので予定手術は入れませんでしたが、臨時手術があるため、完全なオフはありませんでした。
余暇の過ごし方で気に入っていたのは、屋上に上がり、体温を大きく上回る気温の中、外の風景をぼんやり眺めること。イスラムの国ですから、モスクから大音響でアザン(礼拝の呼びかけ)やらプリーチ(説教)やらが聞こえてきて、エキゾチックなムードに包まれます。
現地での住居環境についておしえてください。

病院の2階部分がアパートメントになっており、屋外の猛暑をよそに、エアコン・シャワー・トイレ付個室で快適でした。ハエは少しいましたが、蚊は5月を最後に見なくなりました。きっと暑すぎて生きられないのですね。インド系の女性の料理人が作ってくれるご飯も美味しかったです。
私は病院の屋上に夜中に上り、ストレス解消の運動をしていましたが、銃の音がひっきりなしに鳴り響き、空から弾丸が落ちてくる心配がほんの少しありました。
良かったこと・辛かったこと

スウェーデンからやってきた美しいモニカが励ましてくれる
すべてが良かったです。医者としては、日本では1度も診たことの無かった銃の犠牲者を浴びるほど治療することが出来ました。患者さんたちも、地元のスタッフも明るく、たくましく、もちろん敬虔なムスリムで、彼らと過ごし、励まし励まされ、泣き笑いした日々でした。
この国でも日本に対するイメージは大変良いらしく、日本人というだけで、憧憬や尊敬の目で見られました。ムスリムの女性は、目と顔の一部を除けばショールに包まれ神秘的です。でも、イエメンの中では南部のアデンは比較的オープンだそうで、たくさんの女性のナースたちと仲良くしてもらいました。近代化の波の中でムスリムの女性たちがどの様になってゆくのか大変興味深く、今後も友達関係を続けたいと思っております。ほかの派遣スタッフとの交流も刺激的で楽しかったです。
辛かったことは、多くの人々が暴力の犠牲になっている事実です。我々のセンターだけでも毎日数人の新患がやってきました。アデンあるいはイエメン全体では、一体何人の方々が傷つけられているのでしょうか?正確な数を知ることは無理でしょうが、大変な数である事は想像に難くありません。
医療者の出来ることは、起こってしまった傷害に対する後始末が中心であり、根本的解決には余りつながらず無力感を感じます。
派遣期間を終えて帰国後は?
何事も無かったかのように、元の勤務に戻りました。病院や仲間、家族に当分、頭があがりません。
今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス
う~ん、派遣を実現するために色々な困難を抱えている方もいらっしゃるのでは、と思います。でも、1人でも多くの方に、素晴らしい経験を共有して頂きたいと切に思います。粋なアドバイスは出来ませんが、応援させて下さい。
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