海外派遣スタッフの声

現地の若手医師を指導 イエメンの次代を担う医療者の活躍に期待:久留宮 隆

ポジション
外科医
派遣国
イエメン
活動地域
ハミール
派遣期間
2018年7月23日~8月23日

国境なき医師団(MSF)の海外派遣に再び参加しようと思ったのはなぜですか?また、今回の派遣を考えたタイミングはいつですか?

今回が14回目の派遣です。1年半前に子どもが生まれ、しばらく手が離せなかったので昨年は行けませんでしたが、少し余裕ができたのでまた参加しました。 

派遣までの間、どのように過ごしましたか?どのような準備をしましたか?

いつものように病院の仕事をしながら、活動に備えました。 

過去の派遣経験は、今回の活動にどのように活かせましたか?どのような経験が役に立ちましたか?

MSFの専用機で現地入りするMSFの専用機で現地入りする

これまでに戦傷外科は数多く経験していますし、整形外科治療、特に血管外科や筋皮弁などの手技も過去ナイジェリアなどで行ったことがあるので特に問題はありませんでした。ここには8年前にも来たことがあり、顔見知りのスタッフもいたため、心地よく活動できました。 

今回参加した海外派遣はどのようなプロジェクトですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?

ハミールの町ハミールの町

イエメンの紛争に伴う外科プロジェクトです。病院は以前に比べて規模を拡大し、外科だけではなく、低栄養や新生児集中治療室(NICU)、産婦人科、コレラなど感染症に対する対応も加わり、300人ほどの現地採用スタッフを抱える大きなプロジェクトとなっていました。手術症例の半数以上は銃創で、次いで交通事故、さらには虫垂炎といった急性腹症などです。 

派遣先ではどんな勤務スケジュールでしたか?また、勤務外の時間はどのように過ごしましたか?

手術風景手術風景

まず朝5時半頃に起きて前日の記録やまとめを行い、食事は7時頃、そして8時15分前には宿舎を出て病院へ。そこで早朝のメディカルミーティングを行います。それが終わると回診を行い、当日の手術予定を確認した後に手術を始めます。午前の手術が終わると、いったん宿舎に帰って昼食をとるのですが、手術の時間により昼食の時間はバラバラです。

午後からは残りの手術や、午前中に来院した準緊急の症例などの手術を行います。もちろん、すぐに手術の必要な救急症例は予定手術を延期して即座に行います。 

現地での住居環境について教えてください。

個室が準備されていて、極めて快適でした。赤道に近い砂漠地帯ですが気温はそれほど高くなく、むしろ日陰などでは寒さを感じるほどでした。 

活動中、印象に残っていることを教えてください。

海外派遣スタッフとのオフタイム海外派遣スタッフとのオフタイム

現地で長年働いている外科医以外に新しく採用する外科医3人をトレーニングし評価しました。やはり若い人たちを指導するのは楽しいです。年齢差を気にせずに何でも質問するように伝えていました。治療方針などに関して気兼ねなくディスカッションする事ができて良かったです。若い現地医師たちのこれからの活躍に期待しています。 

今後の展望は?

このようなプロジェクトでは、やはり診断が非常に重要です。もちろん経過、受傷機転や理学所見などから、かなりの範囲で診断が推測できる事は多いのですが、今後は超音波検査を用いて、より正確な診断や評価を行う事が医療の質改善に有用と思われます。日本での超音波専門医・指導医の資格をもっと活動に生かせるよう、今後はこれら超音波検査の指導にも関わっていければいいなと思います。 

今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス

外科チームのメンバーと外科チームのメンバーと

MSFの活動は派遣地によって状況もスタッフ数も全く異なり、その中での外科医の役割もさまざまです。よく言えば非常にバラエティーに富んでいるため、フレキシブルな対応が求められます。つまり、自分の力量や判断によって患者さんのアウトカムに大きな違いが出てくる可能性があります。外科医であっても、産科、整形外科を含む基本的な技術以外に、血管外科や筋皮弁のテクニック、さらには脳神経所見からの正確な診断、出血への適切な対応や全身状態の把握などが大きく予後を左右します。これらにきちんと対応できるよう普段から頭を柔軟に、適切な判断を下せるような訓練が必要です。 

MSF派遣履歴

派遣期間
2004年5月~2004年8月
派遣国
リベリア・モンロビア
ポジション
外科医
派遣期間
2004年10月~2004年12月
派遣国
シェラレオネ・マグブラカ
ポジション
外科医・小児科医
派遣期間
2009年1月~2009年3月
派遣国
ナイジェリア・ポートハーコート
ポジション
外科医
派遣期間
2009年8月~2009年10月
派遣国
スリランカ・マニク農園
ポジション
外科医
派遣期間
2010年11~12月
派遣国
イエメン・アムラン州ハミール
ポジション
外科医
派遣期間
2011年3月
派遣国
日本・宮城(東日本大震災) 
ポジション
外科医
派遣期間
2011年11月~2012年1月
派遣国
パキスタン
ポジション
外科医
派遣期間
2012年9~10月
派遣国
ナイジェリア・ポートハーコート
ポジション
外科医
派遣期間
2013年12月~2014年1月
派遣国
シリア・アレッポ
ポジション
外科医
派遣期間
2014年10~11月
派遣国
中央アフリカ共和国・バンギ
ポジション
外科医
派遣期間
2015月4~5月
派遣国
ネパール(ネパール地震)
ポジション
外科医
派遣期間
2015月11~12月
派遣国
コンゴ民主共和国・ルツル
ポジション
外科医
派遣期間
2016年4~5月
派遣国
日本(熊本地震) 
ポジション
医師