海外派遣スタッフの声

意欲的な仲間と腰を据えた活動で大きな達成感:小口 隼人

ポジション
ロジスティック・コーディネーター、活動責任者
派遣国
パキスタン
活動地域
イスラマバード
派遣期間
2013年3月~2014年4月、2014年5月~2014年7月

国境なき医師団(MSF)の海外派遣に再び参加しようと思ったのはなぜですか?また、今回の派遣を考えたタイミングはいつですか?

2013年9月から4ヵ月間した参加したシリアでの活動が、自分のなかで十分にやりきれた、と納得のいくものではなかったので、腰を据えて仕事をしたいと考えていました。そんな時にパキスタンの活動のオファーがあったので、参加を決意しました。結果的にパキスタンでは1年以上、働きました。

派遣までの間、どのように過ごしましたか? どのような準備をしましたか?

MSFのウェブサイト上のパキスタンについての記事や、『パキスタンを知るための60章 エリア・スタディーズ』(広瀬崇子、山根聡、小田尚也/明石書店)という本も購入して派遣に備えました。パキスタンがどのような経緯でインドから分離独立をしたか、ということを簡単に学びましたが、派遣されてからパキスタンの社会背景を理解するのに役立ちました。

過去の派遣経験は、今回の活動にどのように活かせましたか? どのような経験が役に立ちましたか?

パキスタンへ派遣される前に、現場ロジスティシャンとして6回、ロジスティック・コーディネーターとしては3回の派遣を経験してきたので、それぞれの活動で得たMSFのロジスティックスの経験や知識をパキスタンの社会・文化事情に合わせて活かすように心がけました。

どんな過去の経験が一番役に立ったことといえば、活動を通じてロジスティックスのチームをある程度まとめることができるようになったことでした。どのようにチームをマネジメントすればいいのか、どのようなプロセスで問題を解決すればいいのか、どのように彼らのモチベーションやスキルを保ち、もしくは上げることができるのか、自分なりのビジョンを持って行動に移すことができるようになったことです。

今回参加した海外派遣はどのようなプログラムですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?

主に母子保健、暴力やテロ行為による救命救急・緊急手術またその後のケア、国内避難民への医療支援でした。

パキスタンでのロジスティック・コーディネーターは、7人のロジスティック・スタッフをマネジメントするのが主な仕事だったので、彼らとのミーティングが多かったです。セキュリティー対策にも多くの時間を費やしました。それ以外では、主に月間レポートの作成、仕事や研修プランの作成、提案、フォローアップや他団体との情報交換を行っていました。

また、パキスタンでの活動を統括する活動責任者のポジションで、後任を待つ間の約1ヵ月、自分が活動責任者を担いました。

派遣先ではどんな勤務スケジュールでしたか? また、勤務外の時間はどのように過ごしましたか?

イスラマバードにあるイギリス大使館が運営しているサッカークラブに所属していたので、勤務終了後や週末にはサッカーをしていました。芝生のグラウンドで夜間照明施設もあるかなり恵まれたサッカー環境でした。

また、イスラマバードは都会で何でもあるので、買い物や外食や博物館も楽しめました。パキスタンの現地スタッフたちと一緒にクリケットの試合を観に行ったり、自分たちでチームを作り試合をしたこともありました。

現地での住居環境についておしえてください。

MSFのイスラマバードの住居環境は申し分なかったです。ほとんどの部屋にシャワーとトイレが各自ついており、インターネット、テレビ、広いキッチン、冷暖房完備、パキスタン製のしゃれた家具などがあり、快適そのものでした。水や電気の問題も特になく、今までの派遣の中で一番良い住居環境でした。

活動中、印象に残っていることを教えてください。

離任の際、同僚から記念にパキスタン式デコレーションが贈られた 離任の際、同僚から記念にパキスタン式デコレーションが贈られた

パキスタンではほぼ毎日、どこかで誰かがテロ行為によって亡くなっていましたが、現地スタッフはそのような逆境に屈することなく、笑顔を絶やさずにいます。その精神的な強さに感銘を受けました。

テロはあらゆる場所で起こり、予測不可能なので、私がシリアの活動中に経験した空爆に対する恐怖よりも、正直不安なものでした。現地スタッフはそのようなテロに対して、もちろん一定の恐怖を感じつつも、なるべくいつも通りの生活を送ろうと努力していました。

ペシャワールでMSFが運営するプログラムを訪問したときに、病院の300mほど先で爆発事件があり、その爆音に、何とも言えない恐怖と緊張感を味わいました。ほかの海外派遣スタッフも、かなり恐怖を感じていたようです。

現地スタッフが抱えている苦悩や悲しみは、並大抵のものではありません。ある新聞で読んだ統計によるとパキスタン国民の9割以上が自分の身の安全に不安を感じているそうです。パキスタンが抱えている諸問題やそれらの解決は一筋縄ではいきません。

テロ行為は彼らが今まで築き上げて来た社会、文化、教育、経済などに多大な損失を与えてしまいますが、現地スタッフの前向きな姿勢や仕事ぶりを見ていると、パキスタンの未来は明るいし、困難を極めても彼らならよりよいパキスタンを築くことができるはず、と感じます。

そんな彼らをこれからも応援したいし、また一緒に働くことができれば、私のやれることを精一杯やらせてもらいたいです。パキスタンの人たちが、身の安全が脅かされることない日を1日でも早く迎えられるように願っています。

今後の展望は?

今回、パキスタンでのロジスティック・コーディネーターとしての仕事は、私に多くの貴重な経験と大きな自信を与えてくれました。やはり、長期間滞在してじっくりと仕事することができ、意欲的な同僚に恵まれたことで、こういう良い結果が得られたのだと思います。

2007年からMSFで働いていますが、今回ほどの達成感を得られたのは初めてだと思います。「石の上にも3年」といいますが、私には3年では足りなかったようです(笑)。ロジスティック・コーディネーターとして納得のいく仕事ができたので、この後はまずキューバ旅行をして休養した後に、次回の派遣はプログラム責任者としてMSFの活動に戻りたいと考えています。新しいポジションで新しい挑戦をしたいと思っています。

今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス

MSFの海外派遣の魅力は、人それぞれに感じ方が違うと思いますが、私の場合は、異なる国のスタッフとともに、国境を越えて、医療を必要としている人たちに届けることができるという喜びは言葉にすることができません。

これは海外派遣スタッフだけではなく、事務局スタッフでも一般の人たちでも経験できる喜びですし、それぞれにできることをそれぞれのやり方で実行するのみだと思います。

MSF派遣履歴

派遣期間
2012年9月~2013年1月
派遣国
シリア
活動地域
ポジション
ロジスティック・コーディネーター
派遣期間
2012年3月~2012年7月
派遣国
マラウイ
活動地域
リロングゥエ
ポジション
ロジスティック・コーディネーター
派遣期間
2011年2月~2011年10月
派遣国
スリランカ
活動地域
コロンボ
ポジション
ロジスティック・コーディネーター
派遣期間
2010年5月~2010年11月
派遣国
スーダン
活動地域
アウェイル
ポジション
ロジスティシャン
派遣期間
2010年1月~2010年3月
派遣国
ハイチ
活動地域
ポルトープランス
ポジション
ロジスティシャン
派遣期間
2009年4月~2009年11月
派遣国
コンゴ民主共和国
活動地域
北キブ州
ポジション
ロジスティシャン
派遣期間
2008年6月~2009年1月
派遣国
スーダン
活動地域
南ダルフール
ポジション
ロジスティシャン
派遣期間
2007年5月~2008年3月
派遣国
スーダン
活動地域
西ダルフール
ポジション
ロジスティシャン