事務局職員インタビュー

チームメンバーの力を結集し、人道危機の現状を社会に伝える

  • 広報部 エクスターナル コミュニケーションズ・マネジャー 那須 眞澄

    PR代理店、航空会社、製薬会社で広報業務のキャリアを積んだ後、国境なき医師団(MSF)の広報部門のマネジャーとして入団。メディアやイベントなどさまざまなチャネルを活用し、人道危機に直面する人びとの声を社会へ伝える「証言活動」にチームで取り組んでいる。

迷いの後で見つけた広報というキャリア

学生時代に就職活動をするタイミングで、就職自体に迷いを感じていました。自分を見つめるためにバックパックの一人旅をしたとき、米国でエイズ患者を支える活動をしている医学生に出会ったのです。同い年ぐらいの女性が、スキルを持ち、人に手を差し伸べるボランティアをしていることに衝撃を受けました。

自分も何か人の役に立つことをしたいと思いましたが、当時の私はスキルを何も持っていないことを思い知らされました。まずは社会に出ようと決意して就職活動を始め、さまざまな情報を扱う広報の道でスキルを磨くことにしました。

最初はPR代理店で働いて広報の手法を一通り学んだ後、外資系航空会社の広報部に転職して10年ほど働きました。日本支社の広報専属は自分だけだったので、イベントやメディア対応、リスク管理まで広報に関するあらゆる仕事に懸命に取り組みました。その後、家族を亡くした経験から、命を守る仕事に関わりたいと思って製薬会社へ転職して7年ほど働きました。その時、企業広報担当として大勢の社員を巻き込みボランティア活動をするCSR(企業の社会的責任)プロジェクトの立ち上げに携われたのも後に役立つ経験となりました。

家庭の事情で1年間仕事から離れた後に出会ったのが、MSFの求人でした。MSFが医師以外の人を探していると知って驚きましたが、職務内容を読んで自分が広報のキャリアで培ってきたスキルを活かせる、まさに今やるべき仕事と感じました。人生の節目で、「人の役に立つことをしたい」「命を守る仕事に関わりたい」と思ってきた自分にとって、MSFで働くことは人生を豊かにしてくれると思い、2017年7月に入団しました。

メンバーと共に悩み、議論し尽くす

MSFは医師とジャーナリストにより設立された団体で、世界で起きている人道危機に直面する人びとの声を「証言」することを、医療援助と並ぶ使命としています。MSFで広報の仕事をするということは、この「証言活動」を行うということです。

具体的には、メディア、イベント、講演会、子ども向け教育プログラムなど、さまざまなチャネルを使って伝えています。物理的にも心理的にも遠いところで起きていることと、日本の方々との距離をどのように縮めるか。チームメンバーと知恵を絞り、ボランティアの方の力も貸していただきながら業務に携わっています。広報部には、メディア、イベント、PRなどの分野でキャリアを積んできたプロフェッショナルたちがいます。私はこれまで培ってきた経験やスキルを活かしながら、チームをまとめ、さまざまなチャネルを使い分けながら、相乗効果を上げるようにしています。

MSFの活動資金のほとんどは寄付で支えられており、できる限り少ない支出で最大の効果を上げる必要があります。議論を重ね、メンバーで知恵を出し合いながら工夫しています。

各メンバーはそれぞれ熱い思いを心に秘めてMSFで働いています。私はマネジャーとして、メンバーが高いモチベーションを維持して実力を発揮できるようサポートすることが大切だと考えています。人がやる気を失うのは、一つは自分が壁にぶつかったとき一緒に悩んでくれる人がいないときです。もう一つは、自分がいいと思って提案したアイデアが頭ごなしに否定されたときです。

メンバーが悩んでいるときは一緒になって悩み、アイデアを出してくれたときはどうしたらベストな形で実現できるか議論し尽くす。そのようにありたいと思っています。

チームメンバーとイベントを作り上げる

「心のボタン」を押せた喜び

人道援助には終わりがありません。終わってほしいと願って仕事をしていますが、終わりがないため日々苦心しています。ただ、広報活動をしていくなかで、日本の方たちに「届けられた」瞬間を感じると大きな喜びを感じます。

「エンドレスジャーニー~終わらせたい、強いられた旅路~」という、世界5大陸で起きている人道危機を伝える展示会を2019年に開催したときのことです。訪れた方が、私たちが作ったパネルをご覧になり、それに共感し、涙されていました。その姿を目にしたとき、こちらも心震わされました。私たちの広報活動により、誰かの心のボタンを押せたときは嬉しく感じます。

2019年に開催した「エンドレスジャーニー」展

声を上げずにはいられないという使命感

MSFの証言活動は、これは許せないという強い思いに基づいています。MSF設立50年を迎えた2021年には、その歩みを振り返るキャンペーンにおいて、「私たちは声を上げる。」というメインメッセージを掲げました。これは声を上げずにはいられないという使命感なのです。

どんな政治圧力にも屈することなく声を上げていくことを可能にしているのがMSFの独立性です。政治的にも経済的にも独立しているからこそ、私たちの信条に基づいて声を上げることができるのです。

2021年にはMSF設立50年キャンペーンを展開した

MSFで働いて5年目になりますが、本当に奥深い組織だと感じます。ジレンマと向き合いながら進んでいる組織だからこそ、私も常に学びながら仕事してきました。MSFはメディアも入れないところで活動し、スタッフが世界の人道危機を目撃しています。活動地から届く声を世界に発信せずしてどうするんだという使命感に突き動かされて仕事をしています。まだまだやるべきことはあります。

私たちの証言活動に共感してくださる方にMSFで働いていただき、自分のスキルを存分に開花させていただけると嬉しいです。

事務局職員募集に関するよくあるご質問

Q 語学力はどの程度必要ですか。

原則として、ビジネスレベル(会議で意見を言える、英語で簡単なレポートを書ける程度)の英語力が必要です。

Q 医療・人道援助にまつわる専門性は必要ですか。

募集職種によりますが、入職の段階では必ずしも求められません。しかし、入職後ぜひ興味を持って勉強し、人道援助への理解を深めてください。国境なき医師団では、海外現場から帰国したスタッフによる報告会や、さまざまなレクチャー、外部向け講演会などを催しています。

Q 入職後の研修について教えてください。

オリエンテーション(座学)とオン・ザ・ジョブ・トレーニングを組み合わせた研修が1カ月程度行なわれます。その他、自身のスキルを高めるため、外部研修などに参加できる「自己啓発援助制度」もあります。

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