事務局職員インタビュー

ファンドレイジング部吉田 幸治(ディレクター)

人道支援のため81億円を集めるプロ
企業で培ったマーケティングや
経営企画のスキルを生かす

国境なき医師団(MSF)は独立性・中立性を保つため、活動資金の95%を民間からの寄付でまかなっている。寄付金収入は世界2000億円近く、うち日本事務局は81億円を集めた(2017年)。この資金調達(ファンドレイジング)を担う部門を率いる吉田ディレクターに、キャリア観と仕事のやりがいを聞いた。

入職のきっかけ

外資系コンサルを経て転身。迷いはなかった

私にとって、働く意義は3つあります。生活の糧、自己の成長、そして社会への還元です。

20~30代は、IT企業やコンサルティング会社で、マーケティング、経営企画や新規事業開発を経験しました。新卒から10年ほどは報酬や成長を重視していたんです。スキルアップして実績を出すこと、役職と収入を上げることが目標でした。しかし、何のために生き、仕事をするのかに悩んだ時期でもありました。

もともと、仕事で得たものを社会へ還元したい思いは常にありました。私たちは、戦後の日本に生まれただけで、非常に恵まれています。世界に目を向ければ、朝起きたときに、安全に夜を迎えられる保証すらない人がたくさんいる。たまたま彼らが自分ではなかっただけなのです。こうした人びとのために自分の人生を使おう、と決めました。40歳のときヘッドハンターから現職を紹介され、転職を決意。収入は大幅に減る条件でしたが、迷いはありませんでした。

主な業務内容

医療・人道援助に関わる活動資金を調達

MSFは緊急医療・人道援助団体です。自然災害や紛争など人命が脅かされる緊急事態が発生した場合は48時間以内に現場へ駆けつけます。その機動力を支えるのが、個人や法人から寄せられた活動資金。私のチームの使命は、支援者に対して、活動地にどんな課題があり、解決のために寄付がどうして必要かを訴え、ご支援をいただくことです。

欧米では、ファンドレイジング関連の書籍が広く出版され、大学院の教科にもなっています。ファンドレイザーという職種も市民権を得ています。ですが、日本ではまだまだ。ですから、民間企業から営業やマーケティング、カスタマーサービスのプロフェッショナルを集め、育成しています。約20人からなるファンドレイジング部のメンバー全員が民間企業出身です。

ファンドレイジングは、単に「寄付を下さい」とお願いすることではありません。日本の人たちに、苦境にある人びとの現実と、その苦悩を和らげるために国境なき医師団が医療援助をしていることを知ってもらいます。そこからMSFの活動に賛同あるいは参加していただくことにつなげます。

寄付をしなくても、困ることはありません。寄付することは、食べ物や服や旅行のように、自分の欲求を直接には満たしません。そういう意味で、ファンドレイジングは、企業のマーケティングより難易度が高いと言えるでしょう。ですから、高度なスキルと豊富な実績をもつ優秀な人たちに、大きなやりがいを感じられるNGOに来ていただきたいと願っています。

活動地へ出向き、現場で生の声を聞くことも

職場の雰囲気と魅力

ダイバーシティを重んじるフラットな組織

「仲間が世界中の現場で活動し、命を救っている」ことは誇りです。仕事にはやりがいがあり、「必要な金額を集められないと、助けられる人びとが減る」というプレッシャーを自分に課して取り組んでいます。

職員の男女比は3:7と女性の比率が高いですが、性差を感じさせないフラットな組織です。他人の意見をリスペクトする風土があり、会議などで積極的に発言することが求められます。

公用語は英語。マネジメントチームはフランス人、イギリス人、イタリア人など多国籍メンバーで構成されています。ファンドレイジング部のメンバーも、各国の事務局とワーキンググループを作り、定期的に会議や情報交換をしています。

最低でもTOEIC700点程度の英語力は必要ですが、ノンネイティブがほとんど。度胸や積極性が大切ですね。

全体会議の様子

今後の展望

NGOの信頼性を高め、日本に寄付文化を根付かせる

一人でも多くの命を救えるよう、少しでも多くの寄付を集めることが日々の目標です。また、長期的な課題は、世界で苦境に立たされている人たちがいる事実をより多くの方に知っていただくことです。

さらにNGO/NPO業界に対する認知度や信頼度を高め、日本に寄付文化を根付かせることもMSFの使命です。そのために他団体との情報交換や協業にも取り組んでいます。将来的には、資金調達する拠点をアジアに増やすことも見据えています。

「ファンドレイザー」として極めたい方、持てるスキルを社会に還元したい意欲の高い方にはぜひ来ていただきたいですね。問題があったら「自分ならどうするか」と自問し、能動的に判断して動ける人を歓迎します。自己実現の手段やキャリアパスとして、MSFを選んでいただければと願っています。

キャリアパス

1992年
大学卒業後、教育系の企業に就職。経営管理を6年担当
1998年~
欧州IT企業で経営企画や新規事業開発、欧米系コンサルティング会社、米国IT企業でアジアパシフィック地域のマーケティングを担当
2011年
MSFMSF日本事務局に入職

※掲載内容は取材当時のものです。

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