ナイジェリア: 紛争下で住民を苦しめる栄養危機——MSF、バマで緊急援助

2016年09月12日掲載

MSFのハキム・カルディ

ナイジェリア・ボルノ州で栄養危機が続いている。国境なき医師団(MSF)は2016年8月にバマ(州都マイドゥグリから南東へ75km)にチームを派遣し、緊急援助を行った。

バマでは政府軍と反政府勢力「ボコ・ハラム」が戦闘を繰り返しており、これが栄養失調の患者が増える原因となっている。MSFのプロジェクト・コーディネーターを務めるハキム・カルディに、現地の状況とMSFの取り組みについて聞いた。

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バマで緊急援助を行う必要があると判断したのはなぜですか。

さびたトタンで作られた仮設住居

バマはカメルーンとの交易の拠点として栄えた地域ですが、現在はゴーストタウンとなっています。政府軍とボコ・ハラムの戦闘が繰り返されたため、住民がマイドゥグリに避難したからです。ボコ・ハラムの戦闘員は現在もバマからわずか数kmの位置に陣取っています。

地域のいたるところで避難者の集団を目にします。彼らは政府軍の保護下にある避難キャンプに滞在しており、その人数は1万5000人ほどと推定されます。ほとんどは女性と5歳未満の子どもです。家屋からとってきたトタン板で仮設住居を作り、そこで生活しています。生計を立てることは難しく、食糧をはじめすべてのものを援助に頼らざるを得ません。

バマでは6~7月にも援助ニーズの調査や患者の緊急搬送を行いました。チームを派遣したのは8月17日から4日間で、目的は5歳未満の子どもの病気と死亡率を減らすことです。栄養失調の子どもたちでもそのまま食べられる栄養治療食や配給用の食糧(豆、食用油、BP5と呼ばれる高エネルギー・高タンパクのビスケット)を持参しました。1ヵ月分の食糧と適切な治療を提供することで目的達成を目指しました。

具体的にどのような活動を行ったのですか。

MSFのスクリーニングと物資の配布に長蛇の列を作る避難者

まず、避難キャンプの外に拠点を設けました。政府軍が宿舎となる建物を貸してくれたのですが、そこには電気が通っていませんでした。現地では午後6時から翌朝7時まで外出禁止となっていたため、活動は7時ちょうどから始めました。

それでもすでに順番待ちの長い行列ができていて、最後尾は見えないくらいでした。女性と子どもばかりの行列です。早速、栄養治療が必要な子どもを見分けるスクリーニングと治療を開始しました。同時に、5歳未満の子どもがいる家族に食糧を配布しました。

バマには、これから2ヵ月で2回訪問し、前回同様の治療と食糧配布を行う計画です。ただ、運営しやすいプロジェクトとは言えません。活動を続けるには政府軍による調整が不可欠ですし、自由に移動するわけにも行かないからです。マイドゥグリからバマへは、安全上の理由からヘリコプターで移動しなければなりません。食糧や医薬品を運ぶトラックも、軍の護衛なしには現地入りできないのです。

現地ではどのような疾患がみられますか。

栄養状態の簡易検査を受ける子ども
腕輪が赤い部分を示すと重度の疑いがある

最大の問題は栄養失調です。8月の活動では、5歳未満の子どもを計3293人診察し、そのうち513人に栄養治療を行いました。言い換えれば、診察を受けた子どもの15 %が栄養失調に陥っていたということです。重度の急性栄養失調は4%を超えていました。

ただ、こうした現状でも、前回の訪問時(7月13日)よりはわずかながら事態に改善がみられました。この時は重度急性栄養失調が警戒水準である15%に達していましたから。

栄養失調の他にも、マラリア、皮膚感染症、下痢などの症状が多くみられました。雨期が始まり、マラリアを媒介する蚊が増えてきています。

保健省と国連児童基金(ユニセフ)が運営している診療所が1軒ありますが、薬が不足しているので患者はほとんどいません。2週間ほど前にはナイジェリア空軍が小さな病院をキャンプの入り口に開院しましたが、ここにも患者がつめかけている様子はありません。

避難者はどのような環境で生活しているのですか。

MSFはマラリア予防のためにベッド用蚊帳を配布しました。ただ、問題解決には程遠い状況です。多くの世帯はさびたトタン板などを寄せ集め、雨漏りがする仮設住居に住んでいます。ビニールシートやテントを持っている人もいますが、窓がないため、屋内はものすごい暑さです。

8月の活動中に約40人の女性と子どもが到着しました。彼女たちはキャンプ内に住む場所を見つけられず、地面にマットを敷いてそこを居場所とするしかありませんでした。

MSFはボルノ州の保健当局に対し、キャンプの滞在者を対象に、はしか、肺炎、コレラの予防接種を実施するよう要請しました。栄養失調の患者がこうした病気に感染すると命にかかわることもあるからです。

清潔な水が不足していることも問題です。井戸は9基ありますが、実際に使えるのは7基だけです。MSF以外にも複数の団体が援助活動を行っていますが、それぞれ局所的でニーズを網羅するには至っていません。

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