南スーダン: 右腕をなくしても——銃撃に巻き込まれた5歳の女の子

2016年09月06日掲載

右腕を失う重傷を負ったが一命をとりとめたニアちゃん 右腕を失う重傷を負ったが
一命をとりとめたニアちゃん

紛争が続く南スーダン。2016年に入って再び情勢が悪化し、7月には戦闘が再発。大勢の市民が巻き込まれている。国境なき医師団(MSF)の治療を受けているニアジュバちゃん(通称ニア、5歳)も、過酷な体験をした1人だ。

姉(8歳)と自宅近くで遊んでいると、突然、銃撃が始まった。危険を察知した姉はニアちゃんを抱え上げ、ブッシュに逃げた。その途中、流れ弾がニアちゃんの右腕にあたった。

姉はパニックになり、ニアちゃんが死んでしまったのではないかと怖くなった。抱いていた妹をその場に下ろし、自分の身を守るために避難した。横たえられたニアちゃんの出血はおびただしく、やがて意識を失った。

記事を全文読む

祖母が発見、奇跡的に一命をとりとめる

それから2晩が過ぎ、ニアちゃんを探し回っていた祖母が、ブッシュの中でようやくその姿を見つけた。右腕に大けがを負っていて、大量に出血していた。ニアちゃんは最寄りの診療所に運び込まれ、そこから空路で首都ジュバに搬送された。

受け入れたMSFの副医療コーディネーター、ハメド・ルコンゲ医師は「右腕はひどい状態でした。銃弾で肩関節の3分の1が損傷し、右手が壊死しかかっていました。不潔な環境で二晩を過ごしたからでしょう。その上、大量出血が原因で深刻な貧血を起こしていました」 と振り返る。

外傷外科医、麻酔科医、手術室看護師などで構成されるMSFの医療専門家チームは緊急手術を迫られた。「容易な決断ではありませんでした。片腕だけで成長していくという社会生活上の影響を避けようとすれば、命は救えなかったのです」とルコンゲ医師は肩を落とす。

「右腕をなくしていても成長する姿を見たい」

MSFチームはニアちゃんの両親と相談し、右腕を切除することで合意した。また、6人から1.7リットルの献血を集めた。

「右腕を完全に切り離しました。すべての組織です。銃創だったため、感染予防のための経過措置のあと、手術から約1週間を経てようやく傷口を縫合しました」

ニアちゃんの父親は「MSFがいなかったら、娘は命を落としていたでしょう。娘を亡くしてしまうより、右腕をなくしていても成長する姿を見たいと思いました」と話す。

南スーダンでは、2016年7月に再び情勢が悪化し、武力衝突が発生。MSFのもとではニアちゃんを含む201人が外科処置を受け、そのうち54人が大手術だった。また、MSFは戦闘発生からこれまでの間に、ジュバ全域の移動診療で合計2万1000人以上を治療している。

関連情報