南スーダン:「子どもを連れ去られた」「両親が撃たれた」——患者たちの証言

2016年07月15日掲載

MSFの移動診療に列をつくる避難者たち MSFの移動診療に列をつくる避難者たち

南スーダンの首都ジュバで再び紛争が激化し、大勢の住民が避難している問題で、国境なき医師団(MSF)は避難先へ移動診療チームを派遣するなどの緊急援助活動を続けている。

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MSFのプロジェクト・コーディネーターを勤めるリュベン・ポティエに現地の様子とMSFの取り組みについて聞いた。

  • 本記事は2016年7月13日時点の情報です。

<リュベン・ポイエの話>
ジュバでは戦闘が5日も続きましたが、ここ2日は収まっています。武力衝突がないという意味では停戦が守られていますが、銃撃や略奪が頻発しているようです。患者や地元出身のスタッフから、ジュバ市内で治安悪化が深刻化している地域もあると聞いています。

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MSF、避難場所へ移動診療チームを派遣

住民は避難を余儀なくされ、戦闘が収まった今も帰宅を控えています。その結果、家は空き巣に荒らされ、家財を一切合切奪われてしまいました。思い切って帰宅した一部の人びとも、何もかも盗まれていることを知って避難場所に引き返してきています。

市内南部にある聖テレサ教会の敷地も避難場所の1つです。MSFはここにも移動診療チームを派遣しています。避難してきた住民の主なニーズは、食糧、仮設住居、給排水・衛生施設、そして基礎的な医療です。

診療件数は7月12日が150件、13日は377件でした。子どもの栄養失調のスクリーニング検査も行い、重度または急性栄養失調と診断された子どもには栄養治療食を配布しました。

1人で診療を受けに来た子どもたち

患者からは、武装兵が自宅に踏み込んできて家族が撃たれたなど、むごい体験談が寄せられています。避難する途中で家族を失った人も大勢います。私が会った男の子(8歳)は両親を射殺され、身寄りがいなくなってしまったそうです。

妹(3歳)を抱いてやってきた女の子(12歳)も、両親を亡くしたと話していました。移動診療チームからは、子どもが1人でやってきたケースが3件あり、いずれも両親を射殺されたようだとの報告を受けています。

銃撃戦に巻き込まれて負傷した人が大勢います。戦闘から逃げまどってけがをした人も。鉄柵を乗り越えようとしたときの指の切り傷や、頭、腕、脚などの外傷もみられます。

すべてを奪われて裸で避難してきた患者

軍服を着ていない武装集団が自宅に侵入してきて、子どもたちが連れ去られ、衣類などのあらゆる私財も奪われたという話を2人の患者から聞きました。この患者たちは裸で避難してきたのです。近所の人からわけてもらった衣服以外は何も持っていません。

住民たちの体験談はとてもひどいものばかりです。銃撃や爆発、街路を逃げまどう人びとの混乱を耳にし、さらにむごい体験談を聞くと、とても心が痛みます。MSFの現地スタッフを含む被害地区の住民たちが、この状況に非常に強いストレスを感じ、心的外傷を抱えていることは言うまでもないでしょう。