中央アフリカ共和国:子どもたちの予防接種率、紛争で大幅減——MSFの対応は?

2016年03月25日掲載

中央アフリカ共和国で、国境なき医師団(MSF)が保健省と連携し、大規模な予防接種活動を展開している。2013年の公式記録では、この国の予防接種率は非常に低く、推奨されている予防接種をすべて完了している子どもは、1歳未満ではわずか13%にとどまっている。MSFの活動責任者を務めているティエリ・デュモンに話を聞いた。

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この予防接種活動には、どのようなワクチンが含まれていますか。

子どもが接種しやすいように飲むタイプも使用している

この予防接種はMSFがこれまでに中央アフリカで実施した中で最大の集団接種です。ポリオ、破傷風、ジフテリア、百日咳、B型肝炎、はしかと肺炎と髄膜炎の特定菌株といった複数の病気から、5歳未満の子どもを守ることを目指しています。

財政面、ロジスティック、人材にいたるまで膨大な資源が必要です。一部のワクチンは完全に効力を発揮するまで複数回に分けて打つ必要があります。そのため、MSFは予防接種の機会を複数回にわけて実施しています。

南西部のベルベラティとその周辺地域には、16の移動診療チームを派遣し、43会場に、医療従事者約370人、健康教育担当、車やオートバイ数十台を配置しました。その結果、5日間で1万4000人に接種できました。交通手段がない人びとのもとにはこちらから出向く必要があるため、交通が不便な農村地帯では現在も活動を続けています。

MSFはなぜこれほど大規模な集団予防接種を実施しているのですか。

子どもたちはみんな注射が嫌い……
ときには暴れる子を押さえなければいけないことも

紛争が2013年末に始まってから、この国は深刻な医療不足への対処を余儀なくされてきました。人口の約半数は常に緊急援助を必要としています。予防接種率は大変低く、推奨されているワクチンを全て接種した1歳未満の子どもは、わずか13%にとどまっています。

2012年から2014年の間に、はしかへの免疫を完全に獲得した子どもの数は64%から25%に落ち込みました。流行性疾患のリスクは非常に高く、そのことはワクチンで防げる病気で亡くなった子どもの数に表れています。できるだけ多くの子どもを守ってあげることが必要です。

国家予防接種プログラムは難題を抱えています。多くの診療所はまともに機能していませんし、治安と輸送面の問題は、医療物資の供給をさらに難しくしています。その上、最貧困層の世帯にとって医療費を負担することは全く無理なのです。

この集団予防接種活動で既に7万3000人以上の子どもが接種を受けました。現在も、各地域で推進しています。

課題はありますか。

“家庭内の会話”のコントで住民をひきつけ、
予防接種は楽しいものだと伝える啓発活動

なによりもまず、ロジスティック面ですね。ワクチンの効力を保つには低温管理が不可欠です。気温が40度近くにまで上がる地域で、コールドチェーン(低温管理・輸送システム)を維持しなければならないのですから大変です。

また、機材や消耗品を都市部から非常に遠い地域、しかも交通不便な場所まで運ばなければなりません。6月に雨期が到来すると、集団予防接種はさらに難しくなります。道路は通行不可能になるためです。

また、治安も大きな課題です。ベルベラティ地域の情勢は落ち着いていますが、他の地域では現在も散発的に武力衝突が起きています。また、町外れの路上などには武装強盗が出没するため、活動は大きな町に限られてしまいます。

こうした状況のなか、MSFは家庭向けの啓発活動に力を入れています。地域の指導者と密に連携し、MSFの診療所で定期予防接種を続けています。プログラムの目指すところはただ1つ、子どもたちを長年にわたり、予防できる病気から守ることです。

MSFは1996年から中央アフリカで活動を続け、現在は230人以上の外国人スタッフと2400人以上の現地採用スタッフを投入している。2013年以降、危機的状況への対応として医療・人道援助の規模を2倍に引き上げた。現在、国内では20件の援助プログラムを運営。小児科、定期予防接種、母子保健・産科医療と外科のほかHIVと結核治療を提供している。

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