アフガニスタン:爆撃で外傷センターを失ったいま......

2015年10月14日掲載

外傷センターでは MSF日本から派遣したスタッフも活動していた(2013年9月撮影) 外傷センターでは MSF日本から派遣したスタッフ
活動していた(2013年9月撮影)

アフガニスタン・クンドゥーズ州で国境なき医師団(MSF)が運営していた外傷センターは、国内北部で唯一、さまざまな外傷に対応できる施設でした。2015年10月3日、米軍の爆撃で患者・スタッフ22名が犠牲となり、施設が破壊された日、MSFはクンドゥーズ州から撤退しました。

なぜ爆撃が起きたのか、国際事実調査委員会(IHFFC)による調査が行われ、患者・スタッフの安全が確実に保障されるまで、活動再開は望めないと考えています。現地に膨大な医療ニーズがあることは、そこで活動していた私たちが誰よりもよく把握しています。

本記事では、MSFのアフガニスタンでの取り組みを改めてお伝え致します。私たちが抱いている重大な疑問と懸念が払拭され、活動再開を検討できる日が来ることを信じて、皆さまに改めてお力添えをお願い申し上げます。

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アフガニスタンでの活動実績(2014年)

爆撃の2日前の外傷センター 爆撃の2日前の外傷センター

MSFは世界60ヵ国以上で医療・人道援助を行っています。アフガニスタンでの活動規模は、プログラム支出額で全体の6番目(34億8000万円)、外来診療件数で全体の7番目(30万6600件)を占めています。

活動拠点は、首都カブール、ホースト州、ヘルマンド州、そしてクンドゥーズ州の4つ。長年にわたる紛争が今なお続くこの国では、公的医療体制が機能していない地域がほとんどで、MSFが地域で唯一の医療提供者だということも珍しくありません。2014年の活動概要はこちら

MSFは2014年2月、調査報告書『医療届かぬアフガニスタン:空論と現実のはざまで』 を発表しました。対象者800人への聞き取りなどを行ったこの調査から、MSFのもとへ向かうまでに、戦闘・地雷・検問・嫌がらせなどさまざまな困難に直面し、時には命を脅かされている人びとが多数存在することが明らかになっています。

クンドゥーズ州の外傷センターとは?

外傷センターで治療を待つ少女
(2013年8月撮影)

戦闘やテロで負傷した患者や、交通事故などの一般外傷の患者に、無償で外科治療を提供していた施設です。2011年に開設し、医療ニーズの高さに応じて2014年に増改築を行いました。2014年の患者数は2万2193人で、手術などの外科的処置は5962件にのぼりました。術後ケア、理学療法、心理ケアの提供にも力をいれていました。

外傷センターで長期入院する必要があった患者の過半数が、爆発や銃撃・砲撃などが原因で負傷していました。この施設は負傷直後の患者の救命救急や四肢の温存治療に対応できる機能を備えていますが、治療を受けた患者の2割が負傷から到着まで12時間以上かかっていました。夜間の移動リスクを避けるため、戦闘を避けるため、移動手段がないためなどがその理由です。

10月14日現在、外傷センターは中央病棟などが破壊され、機能していません。命を取り留めた患者は別の医療施設に移送し、スタッフもすべて退避しました。ただ、現地には膨大な医療ニーズが存在します。唯一の外傷センターを失った人びとのことが気がかりでなりません。

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