シエラレオネ: 誰もが恐れるもう1つの病気とは?

2015年01月28日掲載

検問所で体温測定を受ける通行人 検問所で体温測定を受ける通行人

シエラレオネのイサトゥ・コロマさんとアンジェラ・テイラーさんは、ある病気をとても心配している。

検疫下に置かれた家の周囲にテープが張り巡らされ、検問所ではボランティアが体温計を振りかざしている。学校は閉鎖され、路上には他人と触れ合わないように求める標識。発熱を引き起こし、ときに命を脅かす。亡くなった人は約3000人、症例数は約1万件。

この国の現状を見ると、誰もがエボラ出血熱だと思うだろう。しかし、彼らが恐れている病気は「マラリア」だ。

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スラム地区の住民の祈り

首都フリータウンの人口過密地域 首都フリータウンの人口過密地域

シエラレオネでは、2013年のマラリアの症例数が170万件以上に上った。世界保健機関(WHO)の統計では、この年、国内で4326人がマラリアで亡くなっている。

首都フリータウンの中でも人口過密なスラム地区。今にも崩れそうな建物。複数の世帯の計24人が共同生活を送っている。イブラヒム・セセイさんが「この女の子はマラリアにかかっています。こちらの女性も、そちらの男性も」と指し示す。

コロマさんが腰を上げた。「私も、何度もマラリアにかかっています。よく病院に通っていました」。この建物でひしめき合う住民にとって、日々の悪夢はエボラではなく、マラリアなのだ。

テイラーさんも「マラリアは昔も今も大きな脅威です」と話す。テイラーさんには4人の子どもがいる。
これまで、マラリア治療のたびに2万5000シエラレオネ・レオン(約6ドル※)の支出を強いられてきた。「確かにエボラも大問題です。感染しないよう祈るしかありません」

  • 2012年のシエラレオネの1人あたりGNI(国民総所得)は580ドル(世銀統計)

エボラによく似た初期症状

MSFと保健省は協力して抗マラリア薬の配布を行った MSFと保健省は協力して抗マラリア薬の配布を行った

コロマさんとテイラーさんが持っている抗マラリア薬は、1月16日~19日にかけてMSFと保健省が配布した180万人分の一部だ。配布したのはアーテスネート/アモジアキン合剤で、マラリアの予防と治療の両方に用いられる。

配布目的は2つ。マラリア感染の抑止と、エボラ流行で大きな負担がかかっている保健医療施設の混雑回避だ。エボラとマラリアの初期症状は発熱、だるさ、頭痛など症状が似ている。そのため、多くのマラリア患者がエボラかもしれないと思い、エボラ治療センターにやってくる。一方、地元の診療所では、マラリア患者が職員からエボラ感染を疑われ、治療を断られるケースも起きている。

抗マラリア薬を大規模に配布するためには多大な労力が必要だ、さらに、エボラの流行で難しさが増している。地域の保健担当者5000人以上が、119ヵ所の診療所から薬を運び出し、フリータウンとその郊外で、住宅1軒ごとに配布している。配布所を設けないのは、人ごみや長蛇の列を避けるためだ。

今回の配布は、2014年12月に続く第2回。第1回は保健省と国連児童基金(ユニセフ)の支援する活動の一環で、配布対象者は250万人に及んだ。

マラリアの"終わり"は来るのか

コロマさんとテイラーさんの住む地区で、深刻な病気は「マラリア」だ。エボラが1件だけ確認されたことはみんな知っている。テイラーさんが「女性の看護師でした。そちらの方に住んでいましたが、亡くなってしまったんです」と教えてくれた。

この会話を聞いていた人が割って入った。「このエボラ流行はいつ終わるんですか?」
尋ねられたMSFスタッフは肩をすくめる。誰も定かな答えを知らないのだ。ただ、エボラが去っても、マラリアはなくならないだろうことを住民たちは知っている。

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