欧州当局による新抗結核薬「デラマニド」承認について

2013年11月23日掲載

欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)は11月22日、結核治療薬として50年ぶりに開発された新薬「デラマニド」を、条件付で販売承認するように勧告した。大塚製薬(東京都千代田区)が開発したもので、通常の結核だけでなく、薬剤耐性結核(DR-TB)への治療効果も期待されている。

DR-TBとは、治療薬に耐性を持った結核菌に感染している状態を指す。複数の1次選択薬が効かない症例は「多剤耐性結核(MDR-TB)」、MDR-TBの症状がさらに進んで複数の2次選択薬も効かなくなっている症例は「超多剤耐性結核(XDR-TB)」と呼ばれる。現状のDR-TB治療法では、毒性が高い、治療期間が長い、治療費が高い、治癒率が低いなど、治療を進める上で多くの深刻な課題がある。

現在、デラマニドの臨床第3試験が進められている。CHMPの決定により、EUでは、成人のMDR-TB患者が、現状の治療に耐えられないなどの理由から効果的な治療計画を立てられなかった場合に、デラマニドを使用できるようになる。EU加盟国の中でも、ブルガリア、エストニア、ラトビア、リトアニア、ルーマニアなどではMDR-TBの罹患率は非常に高い。

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国境なき医師団の見解

「EMAの承認は画期的です。より安全で効果的なDR-TB治療を求めている人びとにとって、デラマニドは治療環境を大きく進歩させるでしょう。ただ、これはDR-TB治療全体の一部分に過ぎないことも事実です。患者が待ち望んでいるものは、まったく新しい多剤併用療法の確立です。結核治療の発展は急務であり、デラマニドと他の結核治療薬を併用した臨床試験を早急に実施する必要があります。

この新薬の可能性を具体化し、普及を促進するためには、新しい多剤併用療法の検証に向けて幅広く連携することが求められます。また、結核の高まん延国を中心に新薬の登録を進め、国の結核対策プログラムの枠外で新薬の価格が決められてしまわないことを保証する必要があります。

新薬の使用が、「コンパッショネート・ユース(人道的使用)*」プログラムなどを通じて早い段階で実現すれば、現在の治療がうまく行かずに苦しんでいる重症患者が救われるでしょう。大塚製薬がこうした制度の承認を検討する事を強く願います」

国境なき医師団 必須医薬品キャンペーン メディカル・コーディネーター
ジェニファー・コーン医師

*人道的配慮から、生死に関わる病気の患者に対し、販売承認に先立って未認可薬の使用を認める制度

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