援助従事者への安全に関する安保理決議採択後、MSFはアルヤン・エルケルの即時解放に向けた取組みをロシア政府に強く要請

2003年08月28日掲載

安全保障理事会による人道援助従事者の保護に関する決議の採択を受けて、MSFはアルヤン・エルケルの即時解放を求め、この決議を履行するため断固たる行動をとるようロシア政府に要請する。国際人道援助団体のボランティアであるアルヤン・エルケルは2002年8月12日、北コーカサス地方のダゲスタン共和国で活動中に誘拐され、現在も消息は不明のままである。

「安全保障理事会が人道援助従事者に対する攻撃は容認できないとする強い政治的意志を打ち出したことは重要である。しかしすべての安全保障理事会加盟国は、プーチン大統領が1年以上にわたりエルケルが捕らわれているという受け入れがたい事実を見過ごしていることに対しての責任を主張し続けなくてはならない。」とMSFインターナショナルの会長、モルテン・ロストルップ医師は話している。

紛争当事者が苦境に喘ぐ一般市民への援助やその状況を証言することを妨げることで政治的主張をしようとする現在の多くの紛争では、援助従事者がますます暴力の標的となっている。国連安全保障理事会とその加盟国は、中立と独立という人道援助活動の性質を尊重し、政治的活動とは明確に一線を画していることを認識する必要が緊急にある。どこにいようともいつでも援助を必要とするすべての人々が保護と援助を受ける権利があるという基本的原則を維持するためにここで具体的な行動がとられることが必要である。

「人道援助従事者に対する攻撃は重大な国際問題です。援助を行う能力が大幅に制限されるため、このような暴力は援助を必要としている人々をさらに苦しめることになります。紛争当事者や国連加盟国が政治的意図を推し進めるために人道援助を利用するといったことを止めない限り、援助従事者の安全は脅かされます。危機に応じて援助活動を道具として利用しようとする傾向が強まれば強まるほど、人道援助従事者の生命が危険にさらされることになるのです。」とロストルップ医師は続けた。

この決議を採択するよりも重要なことは、すべての国連加盟国がこの決議の条項に従って行動する責任を持つということである。

「ロシアはこの決議を採択しました。しかしアルヤン・エルケルの即時解放を実現させる責任は回避され続けています。エルケルが誘拐された時、ロシアの政府関係者2人が現場に居合わせたにもかかわらず、誘拐を防ぐことも止めることもしなかったのです。常任理事国の一つが関係しこれほど長期間受け入れがたい状況が続いていることを国連安全保障理事会は黙認しているのです。国連加盟国はエルケル誘拐事件をプーチン大統領とともに真剣に取り組む必要があります。もはや声明を出すだけでは不十分です。この決議はプーチン大統領にエルケルの無事解放を一刻も早く実現させるよう強く要求するものです。今まさに行動をおこす時です。」とロストルップ医師は語った。

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