南アフリカ共和国:危機的な状態が続くジンバブエからの難民 —MSFが懸念を表明—

2010年05月13日掲載

国境なき医師団(MSF)は、ジンバブエから南アフリカ共和国へ逃れる難民や移民たちへの襲撃や強奪、レイプ被害の急増に深い懸念を表明する。こうした人びとは、南アフリカに逃れた後も正式な居住者としての認定がなく、劣悪な住環境の中で健康状態が脅かされ続けている。

ジンバブエからの越境時に性暴力の被害に遭う危険性が高い事実はより広く周知されるべきであり、人びとが危険を冒すことなく合法的に南アフリカに居住できるよう、正式な認定取得への手段を早期に講じる必要性がある。非人道的な環境での生活を余儀なくされている難民や移民、脆弱な立場にある南アフリカの人びとには、緊急シェルターや基礎医療へのアクセスが確保されなければならない。

南アフリカでMSFは、ジンバブエとの国境付近の町ムシナとヨハネスブルグにおいて、難民や移民に医療を提供している。

MSFは2009年6月に、南アフリカで危機的な健康状態に直面し、苦しい現状を生き延びている難民たちの窮状を警告した調査報告書を発表した。それから約1年が経過しようとしているが、人びとの悲惨な状況は改善されることなく、無視され続けている。

性暴力、劣悪な住環境、警察による嫌がらせ、外国人排除と連動した暴行の脅威、必須不可欠な保健医療からの疎外など、ジンバブエから南アフリカへ逃れてきた多くの人びとを取り巻く環境は、深刻さを増している。

ムシナで活動するMSFチームの証言によると、2010年初頭から、南アフリカ、ジンバブエ双方の国境付近では、暴力的なギャングらによる襲撃、強奪とレイプ被害が急増している。MSFは、同年3月1日から現在までに71人の性暴力被害者を治療し、1月から4月までの総計では103人に治療を提供した。

ヨハネスブルグでは、月間平均2300人の患者へ診察を行っている。MSFは、患者たちが不衛生で過密な住環境の影響を受け、深刻な健康リスクを負っている窮状を目撃している。セントラル・メソジスト教会に寝泊りする人もいるが、多くは、電気や水、基本的な衛生環境が欠如した廃墟同然の建物で生活を送っており、人びとの健康と安全は脅威にさらされている。

南アフリカにおけるMSFの活動責任者、マイケル・ル・ペィは語る。
「この1年、私たちの患者を取り巻く状況に進展はあったのでしょうか?ほとんどなかったと言っていいと思います。いまだに人びとは命の危険を冒してまでもジンバブエの国境を越え、南アフリカを目指しますが、その途中ではギャングらによって衝撃的な人数がレイプ被害に遭っています。多くが行き着くヨハネスブルグでも、合法的に生活するための正式な認定を受けられず、自らの健康を危険にさらす生活が続いています」。

MSFは1999年から南アフリカで活動し、ムシナとヨハネスブルグ、ケープタウン近郊のカエリチャにおいて、医療・人道援助活動を続けている。2007年からは基礎医療の提供と、二次医療および専門医療機関への移送も行っている。また、性暴力を含む暴力被害者と、感染症の流行時に救急医療を提供している。

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