アフリカ、エイズ治療:薬の供給と援助資金が削減、患者の生活は危機に

2009年07月21日掲載

一日15錠以上の薬と注射が、HIV/エイズと薬剤耐性結核に二重感染しているノンドゥシモの命をつないでいる。南アフリカ、2009年7月撮影。 一日15錠以上の薬と注射が、HIV/エイズと薬剤耐
性結核に二重感染しているノンドゥシモの命をつな
いでいる。南アフリカ、2009年7月撮影。

南アフリカ、マラウイ、ウガンダ、コンゴ民主共和国(DRC)、ジンバブエ、ギニアなど、少なくとも6カ国のアフリカ諸国では、抗レトロウイルス薬(ARV)や他の重要な医療物資の供給が削減され、HIV陽性患者の生活が危機に直面している。命を救うために必要なHIV治療薬の供給は、調達資金の不足や供給管理の問題により、遅延、中断、あるいは一時停止状況にある。国境なき医師団(MSF)は、19日、南アフリカのケープタウンで開催中の国際エイズ学会第5回HIV病理・治療・予防会議(IAS2009)に先立ち、資金拠出機関、及びその援助パートナーは消極的な姿勢を見直し、具体的な措置を緊急に講じるべきであると呼びかけを行った。

援助資金と医薬品の供給削減は、破滅的な状況を招きかねない。新規患者の治療開始が遅延又は中止された場合、HIV治療薬を緊急に必要とする多くの患者の命が危険にさらされる。既に治療を開始している患者の場合には、服薬の中断や薬の減量投与により、治療の失敗や薬剤耐性のリスクが懸念される。この数ヶ月、MSFのエイズ治療プログラムも直接的な打撃を受けている。

南アフリカ共和国では、金融危機の影響で保健関連の政府予算が削減され、短期間での代替資金調達も難しい状況にある。MSFの同国における活動責任者、エリック・ゴメール医師は、こう述べる。「ARVの不足から、MSFのまわりでは多くの医療施設が患者の受け入れを停止しています。患者の待機リストは日々増え続けており、ARV治療開始前の死亡リスクが高まっています。これまで、比較的良好に機能していたARV治療プログラムが、たった数週間でこのような窮地に追い込まれ、信じがたい気持ちです。MSFがこの不足を埋めることはできないでしょうし、また、(NGOが)国際社会の責務を肩代わりすることについては、真剣に疑問を感じます。」

マラウイでは、世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)の資金拠出の遅延で、既に深刻なARV供給不足が引き起こされており、その結果、いくつかの医療施設ではARVの在庫が枯渇している。現在、マラウイ保健省はリスク回避の為、MSFと他NGOの協力を得て、ARVを各施設に再配布している。MSFも患者に安定した治療を行うため、追加でARVの予備在庫を購入した。MSFは現在、新規患者への治療が提供可能だが、現実的には、活動縮小のリスクと背中合わせである。ウガンダ、DRC、ジンバブエ及びギニアで活動を行うMSFチームも、治療薬の枯渇に直面している。

世界基金や米国大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)等の主要な国際機関による援助は、既に予算限度額に達し補充は未確定である上、各国間の資金援助は遅滞している。また、国内資金の不足、供給・購買管理の問題が治療薬の在庫枯渇に輪をかけている。

MSFのオペレーション・ディレクター、メイニー・ニコライは語る。「MSFは各国政府と援助パートナー、及び国際機関が、HIV治療への資金援助やARVとその他医療品供給に対する具体策を講じていない事を、非常に憂慮しています。とても危ない橋を渡っているのです。ARVなくしてHIV/エイズ治療を行うことはできません。各国政府と援助資金拠出機関は、即時に資金を拠出し、効果的な方法で医薬品の供給問題の解決を図るべきです。」

現在、発展途上国に暮らすHIV/エイズ陽性患者のうち、300万人以上がARV治療を受けている。一方で推定700万人は、治療を必要としているにも関わらず医療へのアクセスがない。MSFはHIV/エイズ治療プログラムを世界30カ国で行い、14万人以上の成人と小児のHIV陽性患者にARV治療を提供してきた。

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