コンゴ民主共和国:北西部ボガで病院攻撃──3年かけて建てた病院の破壊 8万人の医療奪う

2021年06月10日掲載

コンゴ民主共和国北西部のイトゥリ州ボガ市で6月7日、国境なき医師団(MSF)が支援する総合病院が武装グループによる攻撃を受け、推定で民間人10人を含む12人が犠牲となった。病院は集中治療室や蘇生室など複数の建物が焼かれ、薬局や医療品備蓄倉庫が略奪されるなど、完全に破壊された。負傷した9人はMSFが支援している別地域の病院に搬送された。この攻撃は、同州で続く武力衝突を背景に意図的に行われ、MSFは、長年にわたる医療体制確立の努力を一瞬で消し去ったとして強く憤るとともに、全ての紛争当事者に患者の保護と医療・人道援助活動の尊重を訴える。 

焼失したボガ総合病院内部=6月8日 コンゴ民主共和国保健省提供焼失したボガ総合病院内部=6月8日 コンゴ民主共和国保健省提供

病院損失の影響は長期化する懸念

ボガ総合病院は、周辺保健区域の医療不足を補うため、MSFが2017年から2020年にかけて建設を支援してきた。同区域唯一の医療施設であり、8万人以上の市民の命のよりどころとなってきた。この病院が破壊された影響は甚大で、栄養失調の子どもたち数百人を対象にした治療用栄養プログラムが継続できなくなるなど、弱い立場にある人びとの医療へのアクセスを今後長期にわたって奪うことを意味する。

MSFの現地活動責任者フレデリック・ライ・マナンツァは、「この施設が地域住民にとっていかに重要であるかを粘り強く訴えてきたにもかかわらず、数時間ですべてが煙のように消えてしまいました」と憤る。「MSFはこの数カ月間、一貫してイトゥリ州の治安の悪化に警鐘を鳴らしてきました。治安の悪化は、栄養失調児や、女性の畑仕事を妨げる性暴力の増加をもたらしています。紛争地の病院は、保護された中立的な空間でなければなりません。紛争に関わるすべての当事者は、患者と医療・人道的活動を尊重しなければなりません」

MSFは、この攻撃が戦地における医療の保護を定める国際人道法に違反するものであり、地域に長期的な悪影響をもたらすと厳しく非難するとともに、紛争に関わる当事者全てが地域医療を守ることの重要性を理解していない限り、医療・人道援助従事者は、常に施設を再建してはまた破壊されるという不条理で終わりのないサイクルに直面すると深く憂慮している。 

略奪を受けたボガ総合病院内部=6月8日 コンゴ民主共和国保健省提供略奪を受けたボガ総合病院内部=6月8日 コンゴ民主共和国保健省提供

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