コンゴ:性暴力被害2600人超に——15歳未満の被害162人

2018年11月02日掲載

国境なき医師団(MSF)は、コンゴ民主共和国(以下、コンゴ)中央カサイ州の州都カナンガ市において2017年5月~2018年9月に治療した性暴力被害者が2600人に上ったと発表した。15歳未満の被害者162人が含まれ、22人は5歳未満だった。患者の多くが被害後1ヵ月以上経ってから受診しており、実際の被害者数はさらに多いとみている。 

武装した男に夫を殺された後に、レイプされた女性。© Ghislain Massotte/MSF武装した男に夫を殺された後に、レイプされた女性。© Ghislain Massotte/MSF

カサイ地方では、2016年8月から広い範囲で武力衝突が発生。多くの人びとが命を奪われ、家を失った。MSFは、2017年5月からカサイ地方での緊急援助を開始し、性暴力被害者や、栄養失調の子ども、外傷患者らに医療援助をしてきた。同年9月からは、現地のニーズを受けて、性暴力被害者の治療に重点を置いてきた。地域住民に対してMSFの取り組みを呼びかけることで、来院する性暴力被害者が増え、現在では月平均約200人を治療している。 

8割が武装した男たちによるレイプ

MSFが2017年5月以降に治療した2600人のうち、8割が武装した男たちによるレイプ被害を訴えた。被害者には男性32人も含まれていた。中には、武器を突き付けられ、他の人をレイプするよう強要された人もいた。

コンゴのMSF活動責任者カレル・ヤンセンスは、「こうした数字は、ここ1年余りの深刻な暴力の現状を示しています。毎日のように、性暴力被害者から衝撃的な証言を耳にします。いかに被害者が社会と切り離され、生活も元の状態に再建できないまま、前に進めなくなっているかを物語っています」と話す。

MSFはグループ・セッションのほか、心の傷の深い患者には個別に心理ケアを提供している。2018年3~9月で、患者835人が個別カンセリングを受けた。うち半数は、家族を殺害されたか、自宅などを略奪または破壊された、またはその両方を経験していた。さらに10人に1人は、殺人または暴力行為を目撃していた。 

迅速な治療が不可欠

一方、MSFで治療を受けた被害者の4人に3人が、被害後1ヵ月以上経ってから受診していた。多くが「無償で治療を受けられることを知らなかった」「施設までの交通費が出せなかった」などの理由を挙げた。だが、性暴力を受けた場合には、72時間以内に治療を受ける必要があるとされている。HIV(ヒト免疫不全ウイルス)などの性感染症を効果的に予防するためには、迅速な治療が欠かせない。

MSFプロジェクト・コーディネーターを務めるフランシスカ・バプティスタ・ディ・シルヴァは「被害者が子どもであろうと成人であろうと、適切な公共サービスが限られている現状では、被害者の保護と社会経済的な援助が引き続き重要だ」と訴えている。 

MSFは1977年からコンゴで活動を続けてきた。紛争や暴力の被害者、住まいを追われた人びと、コレラやはしか、HIV/エイズなどに感染した人びとに医療を提供している。MSFは過去数十年にわたり、コンゴにおけるエボラ出血熱対応でも最前線に立ってきた。2017年だけで、コンゴ国内17カ所での性暴力被害者の診療件数は6300件を超えた。 

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