フィリピン:被災各地で医療援助を本格化

2013年11月18日掲載

けがが細菌感染を起こしている患者も増えている けがが細菌感染を起こしている患者も増えている

フィリピンの台風30号で被害を受けた島々では、物資供給体制が今も混乱を極めている。しかし、国境なき医師団(MSF)の援助活動は本格化しており、11月18日現在、152人の外国人スタッフが現地入りしている。

MSFは主要都市以外の地域の状況調査を継続しつつ、多くの場所で緊急医療援助を開始している。現在、サマ—ル、レイテ、パナイの3島を中心に活動しているが、さらにマスバテ島でもニーズ調査を開始した。

今後は、さらに活動規模を拡大する予定で、スタッフや救援物資を搭載した輸送機が現地へと向かっている。

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けがの細菌感染の症例多数——サマ—ル島

MSFの緊急対応チームは、台風30号が最初に上陸したサマ—ル島東部のギワンで医療援助活動を行っている。開始初日の診療件数は600件。ほとんどが細菌感染したけがや裂傷の患者だった。MSFチームはフィリピン人医師2人とともに治療にあたっており、地元住民もボランティアとして出来る限りの援助活動を行っている。

ギワン病院は半壊で修繕不可能な状態。MSFチームは廃墟の中で活動しつつ、仮設のテント病院の設置作業を進めている。数日以内には、水や衛生機材を積んだ輸送機1機、被災者の仮設住居として配布するテント1700張を積んだ輸送機1機など、数機の輸送機が到着する予定だ。

MSFの緊急対応コーディネーターであるナターシャ・レイズ医師は「ギワン病院は屋根がなくなり、電気機器も壊滅です。レントゲン、手術室などすべてを備えた50床の病院でしたが、風がコンクリートさえも破壊しました」と説明する。

テント式仮設病院の設置急ぐ——レイテ島

台風30号で壊滅状態となったタクロバン市 台風30号で壊滅状態となったタクロバン市

タクロバン市では、医師、看護師、ロジスティシャン、心理療法士などがチームに加わり、空気膨張式テント病院を設置する準備を進めている。テント病院は高潮で甚大な被害を受けた海岸沿いのべサニー病院の隣に設置する。救急処置室、入院病棟、手術室、術後処置病棟、産婦人科、分娩室、心理社会的援助活動、血液バンク、レントゲン、隔離病棟などを備え、包括的医療を提供する予定だ。

タクロバン市から12キロ南方に位置するパロでは、MSFスタッフ3人のチームが1次医療を提供している。一方、レイテ島西部のオルモックとその周辺では、医師、看護師、物資調達の専門家、心理療法士などで構成される複数のチームが、移動診療を提供しながら、医療ニーズの把握に努めている。チームは、被災者が集合している避難所を中心に基礎医療を提供している。

レイテ島西部ではほとんどの家屋が破壊されている。東部は医療施設の大半が被害を受け、物資も不足しており、被災状況がより深刻だ。

一方、ドラグ(人口約4万8000人)では、下痢患者の増加が報告されている。患者の搬送に必要な燃料がないため、救急搬送システムが機能していない。現地のMSFチームは、救援物資を配布するとともに、医療施設への援助提供を計画している。

外来診療所を設置へ——パナイ島

イロイロ州北部や沖合の島々では、市街地の90%が破壊されている。MSFは緊急ニーズに重点的に対応し、移動診療で1次医療を提供すると同時に救援物資の配布も行っている。MSFの医療援助が緊急に必要とされている地域を特定するために、パナイ島の他の地域でも医療ニーズ調査を続けている。ロハス市では、カルテスとエスタンシアに外来診療所を開設する予定だ。

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