10人の女性たちは拉致され、何度もレイプされた——暴力が"日常"と化した国のいま

2018年03月29日掲載

心のケアを受ける被害女性
心のケアを受ける被害女性

武装勢力の男性 武装勢力の男性

中央アフリカ共和国東部ボサンゴア市で国境なき医師団(MSF)が運営する病院に搬送された女性10人が、組織的なレイプの被害に遭ったことを明かした。

女性たちは、ブッシュで水汲みや洗濯、農作業をしていた時に武装勢力の男らに拉致されたという。何とか逃げ切れた人もいたが、他の女性たちは武装勢力の拠点へと連れ去られ、解放されるまでの間に何度もレイプされた。

今回発覚した事件は氷山の一角に過ぎない。ここ中央アフリカ共和国では女性へのレイプをはじめ、一般市民への暴力が日常茶飯事と化している。

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ナイフで切りつけられた被害女性も

ボサンゴアのMSF病院 ボサンゴアのMSF病院

レイプ事件は2月17日、ボサンゴア市から56km離れたキリウィリ村で発生。それから2週間後の3月3日、被害女性たちは援助団体のバイクに運ばれ、MSFのボサンゴア病院を訪れた。

来院がこれほどまでに遅れたのには理由がある。いつまた襲撃に遭うか分からない一触即発の状況、性被害者に対する社会からの抑圧、再び性暴力を受けるのではないかという恐怖……さまざまな障壁が、被害女性の受診を阻んでいる。

MSFの医療チームは速やかに応急処置をし、婦人科ケア、破傷風と肝炎の予防接種、心理・社会的サポートを行った。レイプ被害によるHIV感染を予防するためには72時間以内に治療する必要があるが、この重要な処置は残念ながら間に合わなかった。

MSFのボサンゴア病院で被害女性を治療した助産師スルマヌ・アモワンはこう語る。「女性たちはそれぞれに被害体験と向き合っていたものの、みんな想像以上に傷ついていました。呆然自失だったり、恐怖でこわばっていたり……事件を語るのがとてもつらいという女性もいました。ナイフによる生々しい傷があった人もいます。見るのも恐ろしく、胸が痛みました。MSFの産婦人科チームは女性たちを根気よく丁重にケアし、安全で人目につかない空間を提供しました」

被害を打ち明けられない女性たち

少女が被害に遭うことも少なくない 少女が被害に遭うことも少なくない

MSF病院を訪れた女性たちの証言によると、実際にはもっと多くの人がレイプ被害に遭ったという。しかし、村では性暴力の被害者に対する偏見が根強く、村八分になることを恐れて受診できずにいる。

今回の事件の背景には、国内で長引く宗教間対立がある。2016年末に紛争が再燃して以来、無差別な暴力行為は広がる一方だ。

MSFの活動責任者ポール・ブロックマンはこう説明する。「組織的なレイプ事件に衝撃を受け、痛ましく思います。この残忍な事件は、中央アフリカ共和国の人びと(なかでも虐待に遭いやすい女性と子どもたち)が過酷な現実にさらされていることを浮き彫りにしています。救急処置を必要とする女性が他にも大勢おり、心配です」

隠れた性暴力被害

昨年9月以降、レイプなどの性暴力被害によりMSFのボサンゴア病院で治療した患者は合計56人に上る。しかし、実際の被害者数は記録よりもずっと多いだろうとブロックマンは警鐘を鳴らす。

「性暴力は増加中です。何年も前にレイプされ、最近になって初めて医療を受けた患者の報告もありました。紛争の過熱、保健医療スタッフの減少、インフラの崩壊が深刻なこの国で、被害者がレイプに声も上げられず、苦しみ続けることになるのではないかととても懸念しています」

MSFは性暴力に遭った人に国内各地で医学的ケアと援助を提供。首都バンギのシカ病院では2018年以降、市外の患者も含め月平均300人のレイプおよび性暴力被害者を治療した。同じくバンギのカストール産科病院では月平均20人、グバヤ・ンドンビアの施設では月平均10人の性暴力被害者を治療し、12月末から支援している地域病院でも通算147人の性暴力被害者に対応している。

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