アフガニスタン:紛争発生から72時間、そのときMSF病院は?

2015年10月02日掲載

病室に入りきらず事務室や検査室で治療を受ける患者たち 病室に入りきらず事務室や検査室で
治療を受ける患者たち

アフガニスタン北部のクンドゥーズ州で、2015年9月28日に政府軍と反政府勢力との紛争が起き、巻き込まれた多数の負傷者が国境なき医師団(MSF)の外傷センターに運ばれてくる事態となった。外傷センターで医療者のまとめ役となっているマスード・ナシム医師に、紛争直後から72時間の現地や病院の状況を聞いた。

<ナシム医師の話>
9月28日の朝、叫び声や砲弾の音が高まっている中、MSFの外傷センターに到着しました。昼ごろにはセンター周辺が前線となり、施設の門前で戦闘が発生。砲弾やロケット弾、飛行機の音が鳴り響きました。

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非常時でも冷静に治療を続ける

銃弾が何発か敷地内まで飛んで来て、集中治療室の屋根を貫通したものもあります。ただ、そのような状況下でも、紛争当事者がセンターやスタッフの活動を尊重したことから、業務の継続が可能でした。

これまでに受け入れた負傷者は296人で、そのうち64人が子どもでした。また、296人のうち74人が重体でした。患者の多くは銃創でした。腹部、四肢、頭部にひどいけがを負った人びとを、外科医たちが懸命に治療し続けました。

センターの対応能力は完全に限界です。通常のベッド数は92床ですが、緊急に150床まで増設しました。事務室と検査室にも患者を運び込み、床に敷いたマットレスで容体の安定を図っています。

スタッフと医療物資の補充が……

医療チームは休みなく救急措置を続けています。2日間で90件の手術をしました。センターで活動しているスタッフは、アフガン人が400人、外国人が10人。一睡もせず勤務し、疲れ切っています。スタッフが活力を回復する時間の確保と増員を実現しようと模索中です。

センターは2011年8月に開業し、これまでにも紛争で負傷したたくさんの患者を受け入れてきたため、スタッフは経験豊富で適確です。ただ今回は、短時間で多数の負傷者が押し寄せるのではなく、重体の患者が途切れることなく搬送されてくる点がこれまでと異なります。物資を補充したり追加したりする時間が確保できません。

スタッフと医療物資の追加をしたいのですが、紛争にはばまれて大変苦労しています。こうした状況が長引けば長引くほど、困難は増していくでしょう。これだけ大勢の患者に対応を続けていけるかどうかとても心配です。

地域で唯一の病院として

この辺りでは、機能を保っている医療施設はMSFの外傷センターだけです。現在は州都全域から負傷者を受け入れています。老若男女を問わず、民間人も戦闘員も区別せず、全員が治療対象です。民族や政治的帰属も関係ありません。唯一の条件はセンター入り口で武器を手放すことです。アフガニスタン北東部で他に類を見ない外傷専門治療施設の存在に大きな誇りを感じています。

私はアフガニスタン人です。戦闘、砲撃、銃弾とともに育ってきました。センターのチームの人員も大半がそうです。誰の顔にも恐怖は見えません。しかし、たとえ慣れているとしても、身近で戦闘が続けば、当然不安になり、普段の行動も思考も遮られます。表には現れなくても、身体はそれを感じているのです。

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