アフガニスタン:「春の攻勢」から負傷者急増——クンドゥーズ州

2015年05月20日掲載

紛争の激化で搬送されてくる負傷者が急増している 紛争の激化で搬送されてくる負傷者が急増している

アフガニスタンでは政府軍と反政府武装勢力の間で激しい紛争が続き、北東部のクンドゥーズ州では、州都のクンドゥーズ市と他地区の交通が難しくなっている。国境なき医師団(MSF)は州都に外傷治療センターを設置し、負傷者を受け入れている。

クンドゥーズ州はこれまで、紛争が続くアフガニスタン国内で比較的情勢が安定した州とされてきた。しかし、2014年から戦闘が大幅に増加。タリバンが2015年4月に「春の攻勢」作戦を宣言した以降はさらに激化している。

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紛争で負傷した患者の割合が前年から倍増

男性(80歳)は市場へ行く途中で戦闘に巻き込まれた武力衝突は1時間以上も続いたという 男性(80歳)は市場へ行く途中で戦闘に巻き込まれた
武力衝突は1時間以上も続いたという

「春の攻勢」声明は毎年出されており、今年の宣言から3週間で、MSFの外傷センターでは負傷者204人を治療した。そのうち51人が、女性と子どもだった。患者の多くは銃撃か爆発物によるけがを負っていた。

MSFの外傷センターで活動しているコーディネーターのローラン・ガブリエルは「センターで受け入れた患者のうち、紛争で負傷した患者の割合が、前年の6%から14%と倍増しています。腹部や胸部の重傷など複雑な手術を必要とする患者が多くいます」と話す。

「州都への道に地雷」——MSFの患者が証言

救急処置室に運ばれてくる負傷者数は日によって大きく異なる。5人の日もあれば、35人の日もある。人数に幅があるのは、予測のつかない紛争であることを反映している。また、地域住民が市内の病院に行く際に、さまざまな困難に直面していることも表している。

ガブリエルは「市外では戦闘が続いていて、何が起きているかを正確に把握することは困難です。市内に入るまでに検問所がいくつもあります。MSFのもとに来院した方の話では、州都に通じる道の一部に地雷が敷設されていて、大きく回り道をしないと市内に入れないそうです。重傷を負って来院する患者が多く、回り道などで到着が遅れると命に関わります」と懸念する。

銃撃・殺害の危険と隣り合わせの生活

患者の中には治療が終わっても退院を拒否する人がいる。帰り道にも危険がつきまとうからだ。MSF外傷治療センターに来院する交通事故の負傷者が、4月第1週の109人から5月第1週には60人にまで減っていることからも、州全域で住民が移動を最低限に抑えていることがうかがえる。一方、救急処置室では、医療チームが3週間で1470人の患者を治療するなど多忙を極めている。

MSFの活動責任者を務めるギレム・モリニエは「クンドゥーズ州では、政府軍と反政府勢力の双方の軍事作戦による混乱が1年以上続いており、紛争が慢性化しています。地域の民兵が状況によって手助けする陣営を変えていることも理由の1つです」と説明する。

こうした状況でも住民は生活を続けるしかない。家の庭で遊んでいる時、畑で収穫をしている時、市場に出かけている時など、住民は銃撃や殺害に遭う危険にさらされながら生活している。

MSFはアフガニスタンで1981年から活動している。クンドゥーズ州のほか、カブール市内東部にあるアーメッド・シャー・ババ病院、同市西部のダシュ・バルチ産科病院、東部のホースト州でも産科病院を運営している。

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