中央アフリカ共和国: 病院襲撃から1年、それでも援助を続ける理由

2015年05月01日掲載

元気な女の子を出産したクリステルさん 元気な女の子を出産したクリステルさん

紛争が続き、治安が悪化している中央アフリカ共和国では、中立の立場で活動している援助団体でも危険にさらされることがある。今から1年前の2014年4月26日、ウハム・ペンデ州ボギラで国境なき医師団(MSF)が運営している病院に武装強盗が侵入。MSFスタッフ3人を含む19人が殺害された。

そうした悲劇に直面しながらも、MSFはボギラで医療・人道援助活動を続けている。ただ、現地の混乱と暴力はやむ気配がなく、MSF以外の医療提供者もいない。

いつもの金曜日、午前9時半。ボギラでMSFが支援している診療所。クリステルさん(19歳)が元気な女の子を出産した。

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夜間に50km先から来院する妊婦も

MSFの診療所で赤ちゃんに予防接種を受けさせる母親たち MSFの診療所で赤ちゃんに予防接種を受けさせる母親たち

クリステルさんは合併症もなく、第2子となったその赤ちゃんは3000g。昼食までに一般的な予防接種を済ませ、母子そろって帰宅できるだろう。次の来院は産後健診のときだろう。

2015年1~2月、クリステルさんをはじめ約90人の女性がこの診療所で出産した。クリステルさんの自宅は病院の近くだが、多くの女性は遠方から来院している。出産だけでなく、出血・感染症のような合併症の治療を求めて来院するケースも少なくない。移動手段は自転車か、バイクか、徒歩。治安上の懸念が強まる夜間に50kmも離れた自宅からやってきた女性もいる。

ラシェル・ンドワヤン助産師は「私はMSFとともにボギラで命の危機と闘っています。無償の医療の提供により、その闘いを進めることが最も重要です」と話す。ンドワヤン助産師も6人の子どもの母親だ。

マラリア陽性の5割が乳幼児

ボギラでMSFが支援している診療所 ボギラでMSFが支援している診療所

19人が殺害された事件のあと、MSFは活動の縮小を決定。病院だった施設は診療所の規模に縮小され、現地スタッフが、リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)、予防接種マラリア栄養失調HIV/エイズ結核などの外来診療を提供している。地域には、ほかに医療を受けられる場がない。

診療所のスーパーバイザーを務めるエリゼー・タンドは「子どもの主要な病気の1つがマラリアです。マラリア陽性の患者の50%が5歳未満でした。気道感染症もよく見られます。寄生虫感染症を伴い、若年層の患者では下痢との合併症状もあります。作物の収穫のために農地で過ごしたり、暴力からの避難のためにブッシュで過ごしたりする時間が多いことから、人びとの健康に影響が及んでいるのです。この診療所に来るための外出さえ、不安がる人もいます」と話す。

MSF、援助の新しい方法を模索

武装勢力による襲撃のうわさがあると、そのたびに地域の人びとはブッシュに隠れる。国内の多くの地域で見られるように、ボギラでも治安の混乱がMSFチームの移動を阻み、避難者との接触も難しくしている。

そこで、MSFは新たな方法を模索している。ボギラ周辺では専門スタッフが、マラリア患者を初期段階で特定する医療施設4ヵ所を支援している。重症の患者は車で2時間の距離にあるパウアの町のMSF病院に紹介している。

MSFはボギラで2007年に活動を開始した。2014年の診療件数(19万4157件)で、マラリア診療が占める割合は80%以上に達した。分娩介助は453件だった。中央アフリカでは1997年から活動を続け、現在、外国人スタッフ約300人と現地スタッフ約2000人を配置している。2013年12月以降は、緊急事態への対応として医療プログラムを約20件に倍増させた。隣国のチャド、カメルーン、コンゴ民主共和国でも、中央アフリカ人難民を対象とした援助プログラムを展開している。

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