リベリア:MSFエボラ治療センターで新薬臨床を開始——オックスフォード大

2015年01月08日掲載

エボラ治療薬の臨床試験の会場となっているMSFエボラ治療センター エボラ治療薬の臨床試験の会場となっている
MSFエボラ治療センター

エボラ出血熱の治療に効果が見込まれる実験薬の臨床試験が、2015年1月1日、リベリアの首都モンロビアの国境なき医師団(MSF)エボラ治療センター「ELWA-3」で始まった。英・オックスフォード大学が主導し、抗ウイルス薬「ブリンシドフォビル」のエボラ治療への安全性と有効性を見極める。

今回の臨床試験では、ELWA-3でブリンシドフォビルの投薬を受けている患者と、受けていないがELWA-3でその他の治療を受けている患者との経過を比較し、有効性を判断する。通常の臨床試験では、試験薬の代わりにプラセボ(偽薬)を投与する対照群を設定して効果を比較するが、今回はその設定はしない。エボラ流行の深刻さを踏まえると、対照群となった人びとに、試験薬と信じさせたプラセボを投与することが非倫理的だと考えられるためだ。

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エボラ治療の"希望の星"に

臨床試験の責任者を務めるオックスフォード大学のジェイク・ダニング医師は「ブリンシドフォビルは、エボラ以外のウイルス感染症に関する臨床試験で千人以上に投与され、安全性が確認されています。また、エボラウイルスに感染した細胞を用いた実験室試験では有効性が示されています。ただ、人体内のエボラウイルスへの有効性はまだ不明です。そこで今回の臨床試験が必要になるわけです」と説明する。

血液検査でエボラ陽性が確認されたすべての新規患者は、十分な説明を受けた上で、この臨床試験に参加できる。実験薬での治療を望まない患者には投与せず、従来と同様の標準的な対症療法を行う。

MSF医療コーディネーターのブレット・アダムソンは「有効性の見込まれる薬はいずれも希望の星です。対症療法以上のことができる可能性があり、私たちの期待も高まっています。総合的に見れば、同国内の流行への終止符となる大きな好機を迎えています」と話す。

感染の連鎖を断ち切る努力も

一方、「今回の実験薬が有効性を示しただけでは、エボラ流行の終息とはいかないでしょう」とも指摘。リベリアでは今も感染の連鎖が起きており、全体像の把握ができていない。組織的・包括的な対応が求められており、予断を許さない状況だからだ。

ブリンシドフォビルの安全性と有効性が確認されれば、試験は次の段階に進み、他のエボラ治療センターの患者も投与対象となる予定だ。今回の臨床試験は、MSF、リベリアの医薬品・医療製品規制庁(LMHRA)、リベリア大学、オックスフォード大学が構成する倫理委員会の承認のもとで行われている。

MSFは、リベリアでは2014年7月からエボラ流行に対応している。首都モンロビアのペインズヴィル地区の治療施設(50床)と、ニュークルータウン地区リデンプション病院脇の1次受入施設(10床)を運営。また、市全域で健康教育活動を展開している。これまでに投入したスタッフは、外国人・現地スタッフ合計約1400人。治療した患者は1600人以上にのぼる。

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