エボラ出血熱:ギニアのMSF施設でエボラ治療薬の臨床試験開始

2014年12月27日掲載

ギニアのエボラ治療センターで臨床試験が開始 ギニアのエボラ治療センターで臨床試験が開始

エボラ出血熱の治療効果が見込まれる薬の臨床試験が12月17日、ギニアで始まった。この試験はフランス国立保健医学研究所(INSERM)が主導し、ギニア東部に位置するゲケドゥ県の国境なき医師団(MSF)エボラ治療センターで行う。いずれの実験薬もエボラ患者に希望を与えるものであるが、MSFは慎重に経緯を見守っていく。実験薬の有効性と安全性は証明されておらず、また証明されたとしても、西アフリカの3ヵ国で拡大を続け甚大な被害をもたらしている今回の流行への終止符になるとは言えない。

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可能な限り多くの患者を試験の対象に

この臨床試験では、MSFのエボラ治療センターで治療を受ける陽性患者を可能な限り多く対象とすることを目指し、対照群(実験薬を投与されない患者の集団)を設定しない。エボラは致死率が高く、試験により拡大が見込まれる生存の可能性から一部の患者を疎外すれば、道義に反するためだ。対照群の代わりとして、今回の臨床試験開始前に同治療センターが受け入れた患者と、被験者の経過を比較する。最初の結論が得られるのは2015年の第1四半期以降の見込み。

ゲケドゥ県のMSFエボラ治療センターの新規患者にはもれなく、実験薬の投与が受けられること、希望すれば臨床試験に参加できることが通知される。試験による新しい治療を望まない患者は、実験薬を投与しない従来通りの支持療法を受ける。

安全性と有効性が証明されれば次の段階へ

ゲケドゥ県での臨床試験で用いる薬は、日本の富士フイルムホールディングス(HD)傘下の富山化学工業が開発した抗ウイルス薬ファビピラビル(商品名アビガン)。動物実験でエボラへの有効性を示し、人体でもエボラ以外のウイルス感染症治療薬として安全性が確認されている。ただ、人体におけるエボラへの効果は研究されてこなかったため、エボラ治療薬と呼べるか否かは、今回の臨床試験の結果を待たなければならない。

ファビピラビルの安全性と有効性が証明されれば、臨床試験は次の段階へ進められ、ほかのエボラ治療センターの患者も投与対象となるだろう。当該国の管轄局と、独立の倫理委員会の了承を得られれば、西アフリカでさらに大勢のエボラ陽性患者が同様の治療を受けることになる。

流行終息には並行した活動継続が必須

安全で有効なエボラ治療薬は多くの患者の命を救うだろう。しかし、それだけで流行を縮小させるまでには至らない。今後も、専門施設への患者の早期受入、感染者と接触した人の適切で徹底した追跡調査、状況に応じた健康教育、衛生対策などの活動が、流行終息のための最重要手段となっていく。ワクチンや新しい診断技術を含む、その他の治療法の研究も引き続き必要である。

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