エボラ出血熱:最前線のスタッフにワクチンと治療薬を

2014年10月27日掲載

世界保健機関(WHO)が、2014年10月23日にエボラ出血熱のワクチンの確保と資金援助についてのハイレベル会合を招集したことを受け、国境なき医師団(MSF)は、試験段階のワクチン・治療薬を最前線のスタッフへ届ける計画の速やかな実践を求めている。その推進には相応の努力と誘導策が必要だ。

MSF医療ディレクターのベルトラン・ドラゲ医師は「WHOは、エボラ流行の緊急対応にあたっている人びとをエボラワクチン・治療薬の第1被験者に含むと発表しました。これはMSFが求めていた方針です。発表内容が西アフリカで速やかに実践されることを求めます。ワクチン・薬の有効性が確認され次第、一般の人びとを対象とした大量導入へとつながらなければなりません」と話す。

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ワクチン・治療薬の開発と診断技術の向上が急務

エボラワクチンと治療薬の開発が急務となっている エボラワクチンと治療薬の開発が急務となっている

ドラゲ医師はさらに、エボラ対策とエボラ以外の病気・けがに対する最低限の保健医療の確保に、エボラ流行地域の保健省、援助団体、住民が協力して取り組んでいることを指摘。「至るところで限界寸前の努力がなされています。そうした自分たちへの保護策が一切講じられないままでは、対応を維持することは極めて困難です。安全で有効な治療薬やワクチンが、その保護策となるでしょう」と指摘する。

MSFは、保健医療従事者、流行地域の社会福祉職員、衛生専門家・救急車運転士・健康教育担当スタッフ・追跡調査担当者・埋葬担当者など、エボラ対策に携わる人びとが、優先的にワクチンの被験者となるべきだと考えている。エボラ以外の病気に対応する医療スタッフも、早い段階でワクチン試験の対象となることが望ましい。

今回のWHO会合はエボラワクチンに焦点を置いたものだが、保健医療従事者が効果的かつ効率的に業務を行うため、新たな診療方法の導入が緊急に求められる。

また、ドラゲ医師は「安全で有効な実験薬の開発と導入を急ぐことも重要です。非常に高い致死率にもかかわらず、根治療法のないエボラとの闘いに臨む医師や看護師の焦燥感は募るばかりです」と警鐘を鳴らす。

治療薬が完成し、患者の生存率が向上すれば、新規感染の抑止にもつながるとみられる。診断技術の安全性と即効性の向上は、検査のスピード化につながる。マラリアなどエボラとよく似た症状の病気を素早く見分け、そうした急患に対しても、救命治療も含めた安全で有効な治療を提供できる。

確約した支援提供を迅速に!

WHOのマーガレット・チャン事務局長がスイスのジュネーブに招集した会合には各国政府、産業、資金援助、医療援助、学術研究などの代表者が出席。エボラワクチンの臨床試験の設計・実践、承認手続き、融資、インセンティブも議題となった。

MSFは、2014年3月にギニアから始まったエボラ流行にいち早く対応。MSFの治療で回復した患者は、10月第4週で1000人を超えた。今回の会合に出席したMSFは、具体的な決定に乏しかったことを「遺憾」とし、関係各位が責任を放棄することのないようにと釘を刺した。

確約されている支援についても実施が遅れている。また、新たな流行の予防策となり得る治療薬・ワクチンは、今回の流行対策の要となるだけに、重要性が大いに高まっている。

MSF必須医薬品キャンペーンのエグゼクティブ・ディレクターであるマニカ・バラセガラム医師の話

今回の流行は予断を許さないものです。終息の見込みがつかず、新たな土地への感染や新たな流行の発生も否定できません。それだけに、ワクチンと治療薬は今回の流行を押しとどめ、今後の流行を予防・制御する要なのです。

各国政府と産業界には中心的な役割を果たしていただきたいと思います。産業界がリスクを負う一方で、各国の政府がインセンティブを設け、そのリスクを最小限に抑える必要があるでしょう。

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