シエラレオネ:母子の医療無償化政策に寄せる期待

2010年04月30日掲載

シエラレオネ政府が、2010年4月27日から妊産婦、授乳中の母親や5歳未満の子どもを対象に医療を無償にする政策を実施する。国境なき医師団(MSF)は、この政府の取り組みを歓迎し、新しい政策によって弱い立場にある人びとが医療を受けやすくなることを期待している。

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貧困が命を奪う状況を変えるために

マラリアで重態になったが、治療を受けて快復した少女。(2008年4月撮影) マラリアで重態になったが、
治療を受けて快復した少女。(2008年4月撮影)

「シエラレオネ政府が妊産婦や子どもに対する医療費の請求をやめると決めたことに、私たちはとても満足しています。非常に大きな健康問題を抱えている国では、医療の利用率の向上は優先課題であるべきですから」と、同国におけるMSFの活動責任者スチュアート・ジンブルは語る。

シエラレオネは今も極度の貧困に直面しており、健康水準が世界で最も低い国の一つとなっている。乳幼児の4人に1人が5歳になる前に命を落とし、女性の8人に1人が妊娠や出産に伴う合併症により亡くなっている。また国民の半分以上は、1日1ドル未満で生活している。

MSFは1986年以来シエラレオネで活動を続けている。MSFはボーという町で母子医療の病院を運営し、病院内に栄養失調児用の集中栄養治療センター、小児病棟、および妊娠合併症専用の手術室を備えた産科病棟を設置している。また、この地域の診療所5ヵ所と農村部の簡易診療所30ヵ所で、保健省が提供する医療を支援している。

MSFはシエラレオネやその他の貧困国において、命を救う医療を受ける上で患者にとっては医療費負担が大きな障害となっていることを目にしてきた。医療費の自己負担がもともとごく低額であった場合でも、MSFが無償の医療提供を開始した後には、マラリアの診断と治療を受ける子どもの数が10倍に増えている。

大きな壁を越え、安定供給という次の課題へ

5歳になるアブドゥラマンはマラリアで3日間、高熱とけいれんに苦しんだ後、ボーにあるゴンダマ診療所でMSFの治療を受けた。(2008年4月撮影) 5歳になるアブドゥラマンはマラリアで3日間、
高熱とけいれんに苦しんだ後、
ボーにあるゴンダマ診療所でMSFの治療を受けた。
(2008年4月撮影)

「医療を無償にすることによって、弱い立場にある人びとの受診を阻む問題のすべてが解決するわけではないかもしれませんが、大きな壁の一つは取り除かれます」とジンブルは語る。

ジンブルは、弱い立場の人びとに無償の医療を提供することは困難な課題であるとも付け加えた。
「この政策は、必要な医薬品、設備、医療従事者を、へき地も含めて安定的に供給できて初めて実現します。このような困難な課題を克服するには、今後も努力を続けなければなりません」

ジンブルはこう結んだ。
「私たちは、シエラレオネ当局がこの政策を成功させるために尽くしてきた努力を見てきました。さらに、この政策によって医療を最も必要とする人びとがもっと医療を受けられるようにするために、政府が国際社会から適切な援助を継続的に受けられるよう願っています」

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