中央アフリカ共和国:幼児の死因1位、マラリア対策の現状

2014年09月29日掲載

MSF診療所に入院した子どもたちに寄り添うコリーヌさん MSF診療所に入院した子どもたちに寄り添うコリーヌさん

雨期の中央アフリカ共和国では、マラリア流行がピークに達している。同国では、慢性的な医療危機が浮き彫りとなっており、紛争と暴力で状況がさらに悪化している。

ビニールシートで覆われたマットレスに横たわるケトゥラさん(9歳)。目は半開きで、息が荒い。母親が冷たい水に服を浸して、41度近くある熱をなんとか下げようとしている。1週間前から体調を崩しているケトゥラちゃんには、重症マラリアの症状がすべて表れている。国境なき医師団(MSF)のスタッフが、30分毎に体温を測る。解熱剤も投与した。

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無償の医療援助で救われる命

MSFのマラリア検査を受ける子ども MSFのマラリア検査を受ける子ども

ケトゥラさんと同じベッドに寝ているのは、妹のオセアーヌちゃんだ。マラリアにかかっているが、熱はケトゥラさんほど高くはない。ほかにも4人の子どもたちが横になっている。ここは、首都バンギのPK5地区にあるMSFの診療所の1室。すぐには帰宅できないほど弱っている子どもは、治療開始後もここで経過観察をする。

母親のコリーヌさんは「子どもたち蚊帳の中で寝かせても、マラリアを避けるのは無理です。ここ最近は、家族の誰かがマラリアにかかっている状況でした。子どもたちの苦しそうな様子を見るのは、親としてつらいことです」と話す。

MSF診療所は子連れの人びとで埋まっている。スタッフが子どもたちに素早く血液検査をしてマラリアかどうかを調べる様子を、親たちは無言で見守っている。マラリアの診断が確定すると、投薬量を計算するために子どもの体重を量る。また、この国の幼児によく見られる呼吸器感染症などの兆候がないか、看護師が診察する。

コリーヌさんは「この地域では、子ども1人分のマラリアの治療薬が5000 CFAフラン(約1100円)もします。そんなお金はありません。子どもたちが何度もマラリアになるのでなおさらです。MSF診療所に来るのも、4度目なんです」と話す。コリーヌさんには、入院している2人のほか、家に残してきた子どもが3人いる。

遠隔地の医療ニーズはなお膨大

ただ、こうしたMSFの無償の医療援助を何度も受けることができるのは、コリーヌさんたちが首都に住んでいるからだ。MSF診療所では、先週だけで800人の子どもたちを診療した。

しかし、バンギ以外の地域では、医療を受けること自体が難しい。MSFは全国各地の病院や診療所で活動しているが、地域によってはMSFが唯一、質の高い医療を無償で提供しているというケースもある。MSFは、毎月数千人の子ども達を治療しているが、治療なしには命を落とすリスクが極めて高いと思われるケースも多い。

中央アフリカ共和国では例年、雨期と共にマラリアの患者数が急増する。政情不安で終わりの見えない危機状態に陥っている同国では、医療面の問題が深刻だ。中でも、マラリアは幼児の死因第1位となっている。

MSFのパピー・ニンバタ医師は「5歳未満の子どもはまだ抗体ができていないので、早めの治療が特に重要なのです」と説明する。PK5地区のMSF診療所に重症の子どもが運び込まれると、いつも彼が担当する。

ニンバタ医師がジュリオ君(11歳)の少年を診察していたときのこと。熱が40.8度もあり、重症マラリアだけでなく、肺炎と貧血も併発していた。非常にやせており、体重は23 kgしかない。母親によると、ほとんどお金がない中で6人の子どもを養わなければならず、たいていは1日に1食しか食べることができないそうだ。

こうした状況でも、ジュリオ君、ケトゥラちゃん、オセアーヌちゃんの3人は、熱さえ下がれば、薬を持って家に帰ることができる。この子たちもその親たちも、この国では"運がいい"——それが現実だ。

MSFは、1997年から中央アフリカ共和国で活動を続けている。スタッフ数は2300人以上で、各国事務局からの派遣が300人、現地採用は2000人を超える。2013年12月には、活動プログラムを10件から21件に倍増させて援助規模を拡大した。さらに、6つの緊急プログラムを立ち上げ、チャド、カメルーン、コンゴ民主共和国などの周辺国に滞在する中央アフリカ共和国出身の難民にも援助を提供している。

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